フォンティーナはヴァッレ・ダオスタの名産品。
ここは、マッターホルンがあるところ。
地中海からは、あまりにも遠いなー・・・。
正直言ってヴァッレ・ダオスタ料理はお手上げ、と思ってましたが、例によって書架を探したら、あっさりと1冊出てきました。
イタリア料理アカデミーの本『スーゴとソース』
地方料理のソースの本です。しかも、最初のページをめくったら、いきなり、“VALLE D'AOSTA”の文字と、つんつんにとんがった山の写真。
ここは見慣れたイタリアとはまったく別世界。
この本で、ヴァッレ・ダオスタ料理として最初に取り上げているのは、シヴェcivetです。
アルプスの岩場を飛び回るヤギや猪など山のジビエの料理で、肉を地元の赤ワインとハーブで煮るサルミsalmiという料理によく煮ています。特に野うさぎやうさぎ料理が知られています。
salmi di lepre
それでは本のリチェッタをどうぞ。
うさぎのシヴェconiglio in civet
材料/6~8人分
うさぎ・・1羽
粒黒こしょう・・8粒
ローリエ・・1枚
タイム・・1枝
ジュニパー・・2~3粒
イタリアンパセリ・・5房
小さく切った玉ねぎ・・1個分
にんにく・・2かけ
セロリ・・1本
人参の輪切り・・1本文
赤ワイン
・切り分けたうさぎ肉をボールに入れて全部の材料を加えて赤ワインで覆い、2日間マリネする。
・肉と野菜を取り出し、肉は水気を拭き取る。
・フライパンに少量のバターを熱して肉を焼き、小麦粉を振りかけて塩、こしょうする。
・ハーブと野菜の束を加えて肉をマリネ液のワインで覆い、沸騰させる。
・火を弱めて1時間30分煮る。
・肉を取り出して皿に盛り付け、煮汁(スーゴ)をミキサーにかける。
・煮汁を鍋に戻してさっと熱し、肉とゆでたじゃがいもかポレンタにかける。
上の動画では最低4日マリネすると言っています。
スパイスはこしょう、クローブ、シナモン、ナツメグなど。
ハーブはローリエ、ジュニパー、クミン、タイム、ミント、アチェトゼッラなど、地元の草原や森に生えているものや畑で育てたイセージ、タリアンパセリ、バジリコなど。
地物の昔ながらの調味料は澄ましバター。
何時間もかけて溶かしたバターをテラコッタの容器に入れて保存します。
バターはどんな料理にも加えるし、病気の時もバターを食べます。
コーヒーにも入れます。
すり潰したアーモンドを加えるとさらに美味しくなるそうです。
ちなみに昔は農民の暮らしではオリーブオイルよりくるみオイルが一般的でした。寒い山の上ではオリーブオイルは贅沢品だったのです。
トマトも栽培されていなかったので、料理に赤い色が加わるのは南イタリアから人々が移り住むようになってからです。
でも、トマトが伝わると、レストランやアグリトゥーリズモのシェフたちはこぞって取り入れてすぐに広まりました。
山の料理を彩って、ビタミン摂取の点からも重宝されたのは、ブルーベリーなどの野生のベリー類です。
ブルーベリーのジャムは、ポレンタにも合いました。
さらに注目されたのがチーズです。
フォンドゥータはパンにもパスタにも合いました。
考えたこともなかったけど、山の料理で鮮やかな色を出してビタミンを摂取するのは案外難しい。
鹿のサーロインとブルーベリーのソースcontrofiletto almi di lepre
サンブーカのジャムも濃い色。
山の暮らしは大変そうだけど楽しそう。
今日取り上げた本『スーゴとソース』はイタリア料理アカデミーの本だけあって、うんちくが山盛りです。
山の暮らしみたいに読み込むと面白さが倍増しますよ。
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“フォンドゥータ・ヴァルドスターナ”の記事は「総合解説」2017年11/12月号に載っています。
クレアパッソの地方料理書リスト
『スーゴとソース』
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