2019年12月13日金曜日

ミラノのグラン・シェフのリゾット

イタリア料理の歴史的な本と言えば、ペッレグリーノ・アルトゥージの『La scienza in cucina e l'arte di mangiare bene』(1891)

この本の中で、アルトゥージは“この料理はミラノ人のように作る必要がある“、と書いています。
具体的には、沸騰したブロードを少しずつ加えながらとろ火で煮込むのがミラノスタイル。

まあ改めてミラノスタイルと言われなくても、リゾットはそうやって作りますよね。
というわけで、ミラノのシェフたちの本を探してみました。
まずはカルロ・クラッコ。
実は、カレの本『Se vuo fare il figo usa lo salogno』という、

とても凝ったスタイリッシュなタイトルだったのですが、意味が伝わらなかったので、「クールにしたいならエシャロットを使う」という直訳にしてしまいました。
実はこれ、ミラノ風リゾットのリチェッタに使われている文章です。

さらに、米については、ロンバルディアの伝統では米は大粒で頑丈なカルナローリを使うが、もっと小粒で楕円形のヴィアローネ・ナノなど違う米を使ってもよい。ただし、この米はマンテカーレがとてもむずかしいので注意が必要だ、とも言っています。

さらに
カルロ・クラッコの地方料理』のロンバルディアの章に登場するリゾット・アッラ・チェルトジーナは、ホテル学校で毎週作るプランゾのメニューの1品で、特に思い入れがあったようです。以前、このブログでも取り上げました。

とにかく、イタリアのホテル学校ではリゾットの作り方をみっちり教えるようですね。

パルミジャーノのリゾットの作り方-チュートリアル

risotto alla parmigiana/材料
玉ねぎ・・1個
バター・・150g
パルミジャーノ・・150g
白ワイン・・1カップ
米(ヴィアローネ・ナノ)・・200g
・玉ねぎをみじん切りにしてバターの半量でしんなり炒める。
・米を中~弱火で炒める。米の粒に膜を作り、煮崩れしにくくする。
・玉ねぎを取り除いて玉ねぎの香りがついたバターを加える。
・白ワインを加えてアルコール分を飛ばし、レードル数杯のブロードをかける。デンプンがブロードに溶け出てクリーミーになる。
・バターとパルミジャーノを加えてマンテカーレする。
仕上げに塩で味を調える。

このマンテカトゥーラが強いので、粒の弱いヴィアローネ・ナノだと崩れてしまう可能性があるのですね。

ヴィアローネ・ナノはヴェネトの米。
ヴェネトもリゾットの美味しい地方ですが、カルナローリが多いロンバルディアのリゾットとは全然違います。
ミラノとヴェネチアで食べ比べてみて。

ちなみに『テイスト・アンド・トラディション1

には、ミラノのダウンタウンは、かつては野菜畑がたくさんあったと書かれています。
さらに運河が張り巡らされていたことからヴェネチアに似ていたと言われていました。
店名にその名残を残す店、トラットリア・デッリ・オルティは、

ナヴィッリ地区で栽培されている野菜を使う店。
この店では、リゾットにサフランだけでなく、卵黄も加えて黄色ととろみを出しているそうです。

リゾットはイタリア料理の中でも初心者向けの料理らしくて、チュートリアル動画もたくさんあります。
リゾットのマンテカーレが完了した状態は、アッラ・オンダalla'onda/波のようと言います。wetでwavyな状態のこと。
アンドレア・ベルトン・シェフのマンテカーレ。
激しいですねー。

冒頭のアルトゥージの本の内容について、『サーレ・エ・ペペ』誌は興味深いことを書いています。
アルトゥージが本を書いた頃のミラノ料理に、トマトはまだ見られない。
南イタリアではすでによく使われていたが、北イタリアでは広まるのに少なくとも100年ほどかかる。
なるほど、北イタリアを制覇した米にトマトが加わるのはまだ先ですね。
 
リゾットの話、次回に続きます。

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“オッソブーコ・アッラ・ミラネーゼ”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年11/12月号p.31を御覧ください。
クレアパッソの地方料理書リスト
クチーナ・プリエーゼ
リグーリアの発酵生地
グイド・エ・グイド
トラディツィオーネ・グスト・パッシオーネ1
1001スペチャリタ
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グリバウドのグランデ・クチーナ・イタリアーナ”シリーズ
クチーナ・ディ・ナポリ
ドルチ・ピエモンテージ
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