新入荷の本『クチーナ・プリエーゼ』を紹介しています。
前回は序文を訳しました。
実は私、料理書の序文が大好きなんです。
写真もリチェッタもない地味な部分ですが、本や著者の情報がぎゅっと詰まっていて、参考になることが多い箇所です。
でもイタリア語では読む気にならないだろうなあと思って、面白い時はなるべく訳そうと考えています。
今回の序文も面白かったですよ。
さすがは有名なジャーナリスト。
やることが前代未聞でした。
何しろ、わずか2ページの間に、両親、おばあゃん、4人のおばさんの名前を出して、彼らの料理がいかに美味しいか褒め称えているのです。
家族の名前を全部書こうという強い決意が感じられます。
そしてさりげなく、孫の名前までちゃっかり書き込んじゃってますよ。
しかも同時に読者に、プーリアの家族や料理って素晴らしいと、強烈に印象づけているのです。
こんなおじちゃんが親戚にいたらいいなあ、しかも料理がうまいなんて・・
さて、それではリチェッタを見てみましょう。
リチェッタの第1章は、オレッキエッテでもテーリアでもありません。
focacce e pizzeフォカッチャとピッツァです。
そしてこう書かれていました。
小麦はプーリアの黄金だ。
Il grano è l'oro della Puglia.
プーリアの人が小麦を語る文章もいいですねえ。
『グリバウドのグランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ』シリーズのプーリアには
こう書いてあります。
イタリア南部で一番広い平野、タヴォリエレTavoliereはほとんど全域で小麦が栽培されている。この黄金色の畑の中央にフォッジャFoggiaがある。
昔ながらの移牧の中心地で、現在でも小麦の重要な市場だ。
フォッジャの語源はラテン語で穴という意味のfossaだ。この穴は、一説によると、小麦の保存用のものだったという。
硬質小麦には乾燥して風が強いプーリアの気候がよく合った。
この溝は水道管や家畜用として使われた。
プーリアは南伊で最大の硬質小麦の産地だ。
広大な小麦畑はプーリアの風景のシンボルになったが、食卓でも、小麦は主役になった。各種のソースをかけたカヴァテッリcavatelliや、トロッコリtroccoli・・・。
オレッキエッテorecchiette 、ラガーネlagane、フジッリfusilli、ミンキアレッディminchiareddhi、サーニェ・ンカンヌラーテsagne 'ncannulate、マッカルーニmaccaruni、フェネシェッキエfenescecchie、ストラッシナーティstrascinatiなど、様々な形のパスタが作り出された。
これらのパスタにはチーメ・ディ・ラパをシンプルにトマトで和えたソースや野菜や魚、肉、がベースのにんにくと唐辛子入りのソースをかけた。
タヴォリエレの小麦畑と風
フォッジャの移牧の風景
『クチーナ・プリエーゼ』の文章はさらにこう続きます。
小麦は地中海の素晴らしい食物とみなされてきた。
白いセモリナ粉や全粒粉に加工して、プーリアのあらゆるシンプルで本物の美味しい料理に使われる。
ノンナ・ニネッタの口癖は、セモリナ粉が1kgあれば金持ちだよ。
ふんわりして美味しいフォカッチャも、色んな具のピッツァも、プーリアの様々な美味しい料理ができるのだから。
フォカッチャやピッツァは、イースト入りやなしの各種の生地から作る。
この本では4種類のベースの生地を紹介しよう。
そして4種類どころか40種類以上のフォカッチャやピッツァのリチェッタが続きます。
ピッツァやフォカッチャはプーリアに大いに普及して、各地で様々なものが作られました。フォッジャのスカナテッダscanatedda、レッチェのトマト風味のピッツィpizzi、黒オリーブ、オレガノ、レーズン入りのプッチャpuccia、大型のパン、カゼレッチョcaserecioは、イタリア中に広まってプリエージpugliesiと呼ばれている。
これらはプーリアの豊かな小麦粉製品の本の一部だ。
なんだかきりがなくなってきたので、今日はこのへんにしておきます。
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「日本語解説」
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クチーナ・プリエーゼ
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