最初のパンはミラノのミケッタ。
正直言うと、ミケッタより最初にローマでロゼッタに出会ったので、イタリアのパンと言うと、ロゼッタ。
ミケッタはロゼッタにそっくりのパン、という印象でした。
でも、ミケッタは2007年にミラノのDe.Co.に認定された、正真正銘ミラノのパン。
ちなみにDe.Co.はDenominazione Comunaleの略。
特定の地域の名産品にその地域が与えた名前のことです。
記事によると、ミケッタは最近は印象が薄くなりつあるそうで、ちょっと残念。
その詳しい歴史は「総合解説」をご覧いただくとして、ルーツはローマのロゼッタではなく、オーストリアのカイザーゼンメル、つまりカイザーロールです。
ロゼッタのルーツがミケッタなんですね。
ミラノは18世紀初頭から19世紀半ばまで、オーストリアに支配されていました。
この間に、カイザーロールやウインナーシュニッツェルことコトレッタが伝わります。
ちなみにウインナーシュニッツェルの話は、以前、ブログで取り上げていました。
→こちら
カイザーゼンメルは成型の仕方がカッコイイパン。
外見は似てるけど、中にはふんわりしたクラムが詰まっています。
ミラノはイタリアでは、最もヨーロッパらしい街と言われています。
さらに、イタリアで最も外国に開かれた街です。
ニュートンのお手頃価格の地方料理シリーズのミラノ料理の本の序文には、
「・・・バター、生クリーム、マスカルポーネといった脂肪分の多い地元の産物を使った料理はヘルシー志向の現代人に敬遠され、世界中からやてくる外国人が持ち込む外国の食材がミラノ料理に入り込み、本物のミラノ料理は消えつつある。
70年代までは庶民的な値段で典型的なミラノ料理を出すトラットリアがたくさんあった。
サフランのリゾット、ミネストローネ、コタレッタなどのその料理は、ミラノの枠を超えてイタリアを代表する料理になるほどだった・・・」
とあります。
対象的に、ヘルシー志向にぴったりはまった南イタリアの料理が、今やイタリアを象徴する料理です。
確かに、ミラノの料理はリッチな料理です。
イタリアの経済の中心地で、主な農産物は牛肉と乳製品。
さらに薪が豊富に取れた地方で、ストーブにかけて長時間煮る鍋も各家庭に広まっていて、煮込み料理が生まれる下地が整っていました。
オッソブーコのような、肉の高級な部位以外を使った煮込み料理も生まれました。
ケルト人が伝えた豚の飼育も広まり、各家庭で1頭は豚を飼育していました。
豚肉はミラノ料理の王様になりました。
豚肉とサボイキャベツの煮込み、カスーラも、ミラノを代表する料理です。
さらなる特徴は、魚料理がない、あるいはあっても淡水魚かバッカラで、キリスト教の肉食を断つ習慣のために食べられている程度でした。
ミラノ料理によく使われる野菜はカルドン、アスパラガス、サボイキャベツです。
そうそう、ミラノ人はポレントーニと呼ばれるくらいポレンタが好きでした。
ミラノは米の名産地の近くで、パスタより米をよく食べます。
さらにパンも好きです。
こうして見ると、ミラノ人の食事、現代人にかなり馴染んでいましたねー。
オステリアのミラノ料理
北イタリアの料理もなかなかおもしろいです。
-------------------------------------------------------
“イタリアのパン”の記事の日本語訳は「総合解説」2017年3/4月号P.48に載っています。
「書籍リスト」
[creapasso.comへ戻る]
=====================================
0 件のコメント:
コメントを投稿