今日は今月の「総合解説」から、“セモリナ粉と水の手打ちパスタ”の話。
パスタは、乾麺と生麺に分類できますよね。
この2種類は、誕生した理由からして大きく違う歴史を歩んできました。
さらに、生麺には軟質小麦粉のパスタと硬質小麦粉のパスタがあります。
この両者も性質がかなり違うパスタです。
セナトーレ・カッペッリ小麦の時にも話しましたが、このイタリアの小麦が80%の硬質小麦のルーツ、というだけあって、イタリアは硬質小麦粉の食文化が確立しています。
硬質小麦と軟質小麦の違いの一つがグルテンの含有量。
含有量が多い硬質小麦粉は、水を加えると様々な形に成形しやすくなります。
複雑な形の造形も可能なので、硬質小麦粉のパスタが主流の南イタリアでは、3Dの立体的な造形のパスタがたくさん考え出されました。
その一方で、弾力の強さゆえに苦手なのが、薄く伸ばす、ということです。
薄く伸ばすのが得意なのが、軟質小麦粉のパスタです。
軟質小麦粉に卵を加えれば、薄くても煮崩れしない麺になります。
南イタリアに北イタリアのようなタリアテッレが生まれなかった理由は、このあたりにあります。
日本の場合も、うどんやラーメンは、細長い麺として様々なバリエーションが生まれましたが、立体的な造形の麺は、生まれませんでした。
小麦のグルテン含有量が、北イタリアの麺と同じだったという訳ですね。
という訳で、3Dな麺という南イタリア独特の硬質小麦粉のパスタは、日本人のDNAにはあまり馴染みがなく、その割には、手先の器用さが要求される、という、日本人の職人魂を刺激する魅力的な要素も含みます。
硬質小麦粉からは美味しいパンもたくさん生まれました。
ちなみに、硬質小麦粉のパスタとパンの本場として知られるのはプーリアとサルデーニャですが、サルデーニャのパンについては来月号の「総合解説」に面白い記事がありますので、お楽しみに。
バリエーション豊かな形成作業が楽しい硬質小麦粉のパスタ。
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硬質小麦粉の麺は琥珀色を帯びていますが、着色する時はサフランを加えて鮮やかな黄色にするのが一般的。
この他の硬質小麦粉の麺の特徴は、ゆでても腰が残り、小麦の香りが強く、表面がざらざらしていてソースが絡みやすい、など。
これらの点を頭に入れて、「総合解説」のリチェッタを見てみると、平らに伸ばして切るだけ、または型で抜くだけ、という、南イタリアのパスタにしては比較的簡単な成型方法のリチェッタを選んでいるのが分かります。
南イタリアの卵が入らないタリアテッレ、ラーガネの定番のソースはチェーチのソースだそうですが、ナポリ料理を元にしたカラブリア版のリチェッタの動画があったのでどうぞ。
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唐辛子が合いそうですねー。
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“セモリナ粉と水の手打ちパスタ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年4月号に載っています。
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