今日はイセエビの話。
先日、『サーレ・エ・ぺぺ』の“イセエビのベッラヴィスタ”という料理を翻訳しました。
丸ごとのイセエビの真っ赤な殻の上に、輪切りにしたイセエビの身が並び、さらにその上にトリュフのスライスがのったゴージャスな一品です。
でも、豪華な見た目の割に、作るのは簡単で、イセエビよりも付け合せのほうが手間がかかる料理です。
でイセエビはどう料理するかと言うと、クールブイヨンでゆでて殻から出し、輪切りにする。
たったそれだけなんです。本でも、この料理は簡単ですと言ってます。
ただし、un piccolo problemaがあるんだそうです。
ちょっとした問題?
どんな問題かというと、
イセエビは活きているのを買って、自らの手で、生贄にしなくてはならないのです。
生贄って、ちょっと大げさじゃない、と思いそうですが、原文は、sacrificata con le nostre maniですから、原文直訳です。
さらに、
これは動物愛護家なら抗議行動を起こす忌まわしい残虐ざだが、食通にとっては大したことではない。
なんて、めんどくさい説明が、本気で続きます。
オマールをゆでる時も、だいたいこんな往生際の悪い説明が付け加えられます。
スペースがもったいないので、翻訳文では、ばっさりカットしました。
甲殻類をゆでるのに、どんだけ罪悪感持ってるんでしょうねえ。
西洋の人は、活イセエビをゆでる時は、なるべく残酷にならないように、一瞬で天国に召されるように、とても気を使っているようです。
こちらのページによると、よせばいいのに、イセエビはゆでられるときに苦しむのか、という研究をした人がいて、しかもヤドカリや蟹などの甲殻類も哺乳類と同じように苦しむ、なんて言ってます。
こちらには、オマールは熱湯に入れると叫ぶという人がいる、なんて書いてあります。
記事によると、昔の料理人はこんな疑問は持たなかったので、貴族の晩餐会には、イセエビが頻繁に登場したんだそうです。
案外かわいい?
イセエビのバヴェッテ
イセエビ三昧
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関連誌;“イセエビのベッラヴィスタ”の記事とリチェッタは、総合解説2011年12月号に載っています。
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