樽の話を続けます。
樽はどうやってできるのか。
まっすぐな板を組み合わせて、おなかがふっくらと膨らんだ形を作り出すのは、よく考えてみれば不思議。
ランゲ地方のバリツク
樽を造るには、まず、木材を調達することから始めます。
というか、樽造りでもっとも大切なのは、木材。
だから、木を選ぶ目が重要です。
しかも、その木材となる木(バリックの場合は主にフランス産オーク)が生える土壌の違いによって、肌理の細かさやタンニンの量などが違ってきます。
だから、どこの森の木材か、ということも重要です。
しかもその木材、切ってすぐ使えるわけではありません。
樽にする前に熟成させる必要があります。
熟成中の木材。
熟成具合によって色が違います。
灰色になったらバリックに使用可能。
イタリアを代表するバリックメーカー、ファッブリカ・ボッティ・ガンバによると、ワインメーカーが、このワインにはバリックを使おう、と決めると、まず、希望するワインに仕上げるためには、どんな特徴の木材が必要かを考えるのだそうです。
ワインとは、なんとも手間暇かけて造られるものなんですねえ。
木材が適切な熟成具合になったら、樽材用に細くカットします。
この時、中央はやや太く、両端は細くなるように削ります。
さらに、樽材を組み合わせて枠にはめたら、木材選びと同じくらい重要な過程、イタリア語でトスタトゥーラと呼ばれる焼き入れです。
火によって温められた樽材は、柔らかくなってカーブさせることができるようになります。
さらに、バニラの香りを始めとする様々なアロマが、この過程によって生まれます。
↓フランスのセガン・モロー社のワインの樽の焼き入れ
焼き入れは、樽メーカー各社が独自の方法を考え出して、工夫を凝らしています。
樽を使うのはワインだけではありません。
たとえば、バルサミコ酢は、さまざまな木材の大きさの違う樽を使います。
↓サレルノの樽メーカー、レンツィの職人たちを紹介する動画。
きついし、タンニンなどで汚れる仕事だけれど、自らの手で何かを作り出す仕事に満足している、と話しています。
↓一方、こちらはオートメーション化された樽工場の、ウイスキー用の樽の製造工程。
なんだか、職人の仕事とはかなり印象が違いますねえ。
ワインから樽の香りがしたら、白いポロシャツを着たレンツィの若い樽職人たちのことを思い出すかも・・・。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』
“イタリア製バリック”の記事は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。
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