今日は樽の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。
ワインの樽と言えば、イタリアでも、フランス産がもっとも優れている、というのが定説。
そんな中で、ガヤやブルーノ・ジャコーザ、バンフィ、フロリオなど、有名ワインメーカーがこぞって使っているイタリア産の樽があります。
正確に言えば、木材はフランス産で、加工をイタリアで行っている樽。
その樽を作っているのが、ファッブリカ・ボッティ・ガンバ。
イタリア産バリックの先駆者です。
ガンバのバリック
ガンバは、イタリアを代表するワインの産地の一つ、モンフェッラート(ピエモンテ)にある老舗の樽メーカー。
バリックを造るようになったのは、1979年に、アンジェロ・ガヤが、フランスではなくイタリアで、しかも彼のワイナリーの近くで、質の良いバリックを造れるメーカーはないかと探していたのがそもそものきっかけなんだそうです。
ガンバのwebページはこちら。
余談ですが、2011年の1月に、ランゲ、ロエーロ、モンフェッラート地区は、ワインの産地としてユネスコの世界遺産に立候補しました。
イタリアで、ワインの産地として世界遺産に登録されている場所はまだないと思いますが、果たしてどうなるでしょうか。
バリックに話を戻します。
そもそもバリックとは、ワインを発酵、熟成させるためにフランス人が考え出した木の小樽ですよね。
ボルドーは容量225リットルで、ブルゴーニュは228リットル。
大樽よりワインが酸素と触れ合う比率が多く、その分、ワインのアロマをより引き出すことができます。
また、トースト香、バニラやキャラメルの香りなど、木由来の香りをワインに加えます。
↓フランスの樽メーカーのバリック。
今ではイタリアでも、バリックを通したワインはすっかり定着しました。
ガンバでは、一日に60個のバリックを造り、そのうち1/3を輸出しているのだそうです。
ところが最近は、大分事情が変わりました。
今は、小樽より大樽が注目されています。
なんと、不況のせいかワインの消費量が減って、ワイナリーでワインを貯蔵するための大樽が必要になったというから皮肉なものです。
けれどこれは、樽メーカーにとっては、大きなチャンス。
ガンバでは、大手ワイナリー(バンフィ)のために、木とステンレスを組み合わせて、最大で容量17,500リットルというタンク型の樽、その名も“ホライズン”を開発しました。
有名樽メーカーがステンレスメーカーと組んだ画期的な製品です。
伝統とテクノロジーが融合したハイブリッドタンク、なんて呼ばれています。
↓ガンバと組んだステンレスメーカー、ディ・ツィーオ社のホライズンのPV。
ステンレスメーカーの視線で見ると、なんだかすごいハイテク製品ですねえ。
でも、樽造りは職人の技が命のローテク品。
次回はバリックの造り方の話です。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』
“イタリア製バリック”の記事は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。
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