今日はパンと迷信の話。
『ヴィエ・デル・グスト』の解説です。
まずは、イタリア各地のパネッテリーアpanetteriaの写真をどうぞ。
トリノ
ヴェネチア
ピサ
ナポリ
『ヴィエ・デル・グスト』の「パンとキリスト教」の記事は、面白い話で始まります。
「聖書には、人はパンのみにて生くるにあらず、と書かれているが、イタリアでは人はパンなしには生きていけない」
イタリア人は、パンがなくてもパスタがあれば生きていけるのかと思ったら、違うんですねえ。
「イタリア人にとってパンは基本の食べ物である」とも言っています。
キリスト教では、「パンはキリストの体」とされていることはご存知の通り。
そのせいかどうか、イタリアには、パンにまつわる迷信があれこれあります。
それ中からいくつか紹介すると・・・、
例えば、こちらのwebページでは、
■生地をこねている時に水を飲むと体が冷えて生地も冷え、発酵がうまくいかなくなる。
■食事の際に食べかけたパンは、ひとかけらも残さず全て食べ終えなくてはならない。
さもないと残したかけらの数と同じ年の間、運が下がる。
■床にパンのかけらが落ちたらすぐに拾って食べないとよくないことが起きる。
どうしても食べれないときは、キスをしてから捨てる。
■人を食事に招いた時、最初に席についてみんなのためにパンを切り分けると長生きする。
■丸ごとのパンをテーブルに出したら、裏返して置いてはいけない。
パンは神の恩寵であり、家族を支える元だから、常に敬って美しい姿に保つ必要があるから。
こちらは、もう少し宗教色が濃いジンクス。
■キリスト教徒にとってパンはキリストの体だから、パンを捨てることは神を冒涜すること。
■大型の丸パンの表面に穴が開いていたら死の前兆。
■クリスマスの日のパンは決して硬くならなず、残ったパンは多くの病気を治す。
■パンくずを無駄にする子供には、「パンを無駄にする子は地獄に送られて、火がついた指でパンくずを探すことになるんだよ」と言って聞かせる。
■パンをテーブルに裏返して置くとよくないことが起きる。
裏返してしまった時は守護聖人の聖ブリージダに祈る。
パンを裏返すな、というのは広く信じられているジンクス。
裏返して置くと起こる災いの種類は様々で、一家の大黒柱が病気になる、という不吉なものまであります。
↓おまけの動画。
「汚れなき悪戯」。
古いスペイン映画ですが、パンとキリスト教と奇跡が凝縮された作品です。
イタリアで大ヒットして、イタリア版のリメイクも造られました。
修道院で育てられた5歳の孤独な男の子。
「屋根裏部屋には大男がいて、お前をさらってしまうから絶対に行ってはいけないぞ」と言われて逆に行ってみたくなり、そこで大男を見つけます。
実際にはキリストの像だったのですが、大男がお腹が減っているのかも、と思った男の子は、こっそりパンを届けます。
すると・・・。
イタリア語版でどうぞ。
この先は、こちらとこちら。
最後はあまりにも突然な「フランダースの犬」展開。
“彼”に望みを聞かれて、「ママに会いたい」と答える男の子。
そしてあっと言う間に望みが聞き入れられて・・・。
男の子が可愛いですねえ。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年1月号
「パンとキリスト教」の解説は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。
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