ミラノのパスティッチェリーアのパネットーネの話に続いて、今回は恒例、『ガンベロ・ロッソ』が選ぶ“パネットーネ・ベスト10”から。
ガンベロ・ロッソが1位に選んだのは、パスティッチェリーア・ヴェネト。
ヴェネトという名前でもブレッシャ(ロンバルディア)にある店です。
店のwebページはこちら。
この店の経営者は、イジーニオ・マッサーリ氏。
イタリアのパスティッチェリーア業界の大御所です。
ガンベロ・ロッソによると、「イタリアでも最高クラスの発酵技術を持つ人」。
1997年のクープ・ド・モンド・ド・ラ・パティスリーでイタリアが優勝した時のチーム監督。
ルレ・デセール会員で顧問。
1993年にアッカデーミア・マエストリ・パスティッチェーリ・イタリアーニAccademia Maestri Pasticceri Italiani(イタリア・マエストロ・パスティッチェーリ・アカデミー)を設立、現在名誉会長。
共同経営するブレッシャ県のリストランテ・カルロ・マーニョではドルチェをプロデュースしていて、2010年にはベストウエディングケーキというのに選ばれたんだそうです。
彼のパネットーネは、パネットーネ・ブレッシャーノ、つまりブレッシャ風パネットーネ。
表面がアマレットのグラッサ(アイシング)、アーモンド、ワッフルシュガーで覆われています。
パスティッチェリーア・ヴェネトのパネットーネ。
↓ブレッシャ風パネットーネを説明するマッサーリ氏。
話している主な内容は・・・
・材料はリエヴィト・マードレ(小麦粉、水、酵母を8時間発酵させた中種)、小麦粉、水、砂糖、卵黄、(発酵)バター、蜂蜜(昔は加えなかった)、フレッシュオレンジのカンディート、ディアマンテ(カラブリア)産チェードロのカンディート、サルタナレーズン、バニラビーンズ、レモンとオレンジの皮、アーモンド、グラッサのアマレット。
・少量の砂糖(水1リットルにつき2g)を加えた水にリエヴィト・マードレを25分漬けて酸味を取ります。
・水気を絞り、小麦粉と一緒にこねて4時間発酵。
・MC「私、パネットーネは大好きだけど、カンディートとレーズンがたくさん入ってるのは好きじゃないのよねー」
・マエストロ「あ~、これはフレッシュのオレンジとチェードロを使っているからね。
瓶詰めじゃないんだよ。
(心の声;君が食べたパネットーネはまずいカンディートを使ってたんだよ)」
・ミラノ風の場合は記事の表面に十文字の切り込みを入れてバターをのせます。
・アマレットを塗るブレッシャ風は比較的最近のバリエーションの1つ。
・175度で50分焼きます。
・焼き上がったら裏返して吊るし、蒸気を行きわたらせてしっとりしたパネットーネにします。
・2日置いて味をなじませます。
出来上がるまでに2日半かかるそうです。
実は、パネットーネのカンディートやレーズンは、子供や若い人にはあまり人気がなく、中にはこれらを入れないものもあります。
でも、カンディートやレーズンにも厳選した素材をそろえている店にとっては、これはかなり悔しいこと。
前回紹介したミラノのパスティッチェリーア・クッキのパスティッチェーレさんも、この傾向は残念無念、と語っています。
パネットーネ・ベスト10の第2位は、意外なことにカンパーニアのパスティッチェリーアが作る伝統的なパネットーネ。
2位のパスティッチェリーア・ペーペのパネットーネ。
3位もカンパーニアのパスクアーレ・マリッリアーノ。
店のwebページはこちら。
なんと、ベスト10にミラノの店が入っていない!
ミラノに行かなくてもおいしいパネットーネを食べることができるもんなんですねえ。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年12月号
“パネットーネ、ベスト10”の解説は、「総合解説」'07&'08年12月号に載っています。
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