漁師料理のお題、続けます。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。
今回は、“シャッバケッドゥ”の話。
そう、シャッバケッドゥ、です。
カタカナで書くと、とてもイタリア語には見えませんねえ。
イタリア語で書くと、“Sciabbacheddu”。
まあ、これもあまりイタリア語には見えないですね。
正確に言うと、シチリア語です。
もっと細かく言うと、メッシーナ海峡あたりを中心としたシチリアの漁師用語です。
標準語だと、“Fritto di pesciolini minuti”。
で、どういう料理かと言うと、シンプルな小魚のフリットです。
ただし、5匹や6匹揚げるのではなく、計600gから1㎏ぐらいの小魚を揚げます。
残念ながら料理の写真は適当なものが見つからなかったのですが、見た目はごく普通の小魚のフリットの盛り合わせです。
このシャッバケッドゥについて、『Il diamante della grande cucina di Sicilia』(Pino Correnti著)では、こう説明しています。
「シチリアの漁師は、“シャッビカsciabbica”という大型の網を使って漁をした。
この網を浜に引き上げるには、大勢の人手と2隻の船が必要だった。
“シャッバケッドゥ”は、もっと小型の目の詰まった網で、1隻の船と3人いれば扱うことが出来る。
この網を海岸沿いの入り江にしかけると、網には小魚がたくさんかかる。
10cm以上の魚は滅多にないが、これらを集めると、美味しいフリットになる。
小魚は、骨も頭も内臓もつけたままさっと洗って小麦粉をつけ、たっぷりの熱い油で揚げる。
油を切ったら塩をして、レモンは添えずにすぐに食べる」
シャッパケッドゥは、主にイワシの稚魚などの漁に使われているようです。
極小の小魚の場合は、『サーレ・エ・ペペ』で紹介しているようなフリットゥーラ(一種のかき揚げ)にします。
特大サイズのかき揚げです。
こちらのサイトによると、シャッビカは、長いものでは1kmもあり、20人がかりの漁だったようです。
まず、大きな船に網をのせて海に運びます。
それを小さな船で海に下ろして袋状に広げます。
そして浜辺にいる漁師たちが素手で引き上げます。
いわゆる地引き網ですかね。
この漁は、水産資源の保護のため、80年代半ば以降は行われなくなりました。
もっと小さなシャッバケッドゥを使った漁は生き残っていて、2月から4月の間のみ行われているそうです。
シャッビカ漁
このように網の名前がついた魚料理というのは他にもいくつかあるはずなんですが、名前が思い出せない!
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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年9月号
“シャッバケッドゥ・フリット”を含む「漁師料理」のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年9月号に載っています。
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“シャッバケッドゥ”初耳!ですが、料理は普通のフリットですか・・・。(笑)
返信削除しかし600g~1000gのフリットって、聞いただけで吹き出物が出そうです。(汗)
それ以外の“網”名料理だと、私が食べたことがあるのは、Frittura di paranzaですね。
油物を控えている私には、FritturaやFrittelleって“耳”の毒ですが、南イタリアのオヤジ達のお腹を想像すると、あの様にならない為にも、今日もグッと我慢しておきます。
シチリアやカラブリアの方言料理名って“・・・ッドゥ”などドゥって付くのをたまに見かけますが、やはり源はアラブ系なのでしょうか?
方言となると日本国内も難しいですからね・・・。
petrusinoさん
返信削除それだあ、paranzaだあ!
あースッキリしました。
ずっと、ほら、あれ、あれだよーと、じれったかったんです。
ありがとうございます!
イタリアの魚のフリットは、適量ならほんとにおいしいですよねえ。
シャッバケッドゥは、私も初めて目にした時は、サルデーニャの料理かと思いました。
アラビア語で網と言う意味のsciabakaが語源のようです。
マッタンツァに使う網もシャッビカと言うんだとか。
多分、シチリアの人が発音するとまったく別の言葉に聞こえるんでしょうねえ。
サルデーニャの言葉は、たしかアラブ系ではなかったと思うのですが、これまた厄介ですよね。