パスタの話が出て読みだした本、『パスタ・フォルメ・デル・グラノ』が思いのほか面白かったので、もう少し訳してみます。
スローフードのこの本、イタリア各州のパスタをたっぷりの写真で紹介する力作です。
ただ、百科事典なみに分厚いので、読むとなると抵抗がある人が多いだろうなあ。
と、常日頃から感じていました。
いい機会なので、どんなことが書いてあるのか、ちょとずつ紹介します。
きのうは、おばあちゃんから娘へと受け継がれるパスタの生地作りの話でした。
それでは続きをどうぞ。
私のおばあちゃんは、卵黄にはレシチンが豊富なんてことは知りませんでした。
レシチンが細い糸状のタンパク質で、これがからみあって網になり、卵白と水がのりになって結びついた生地は堅く圧縮させると熱湯でゆでても溶けない、なんてことも知りませんでした。
でも、別のおばあちゃん、例えばピエモンテのランゲ地方のおばあちゃんは、卵は卵黄だけを使うということを知っていました。
小麦粉1kgに対して卵黄を40個以上加えてタヤリンを作りました。
現代人は忙しくて時間がないから、今日打って明日伸ばせばい、と考えがちですが、生地を休ませるのは生地作りの基本の作業だということは、すべてのおばあちゃんが知っていました。
おばあちゃんが亡くなると、仕事を持って忙しい娘は技を受け継ぐことを放棄しました。
現代人なら、パスタマシンを使えばいい。
そうすれば簡単ですぐにパスタができる。
でも、おじいちゃんはパスタマシンで作ったぬるぬるのパスタを食べることを1ヶ月間拒否しました。
今では、誰も麺棒で生地を伸ばそうとしません。
だから表面がつるつるのパスタはソースとよくからまないことに気が付きません。
詰め物入りパスタは普通のパスタの生地より柔らかくする、ということも知りません。
最後はちょっと辛口でした。
パスタマシンのことをボロクソに言ってますが、コンプライアンス発動でこのくらいにしときます。
アルティジャナーレな職人の仕事が尊敬されている国だから、しょうがない。
おばあちゃんの手打ちのビンチスグラッシ(マルケのパスタ)↓
明日に続く。
「総合解説」
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