現在のところ、私にとって、フィーコ・ディンディアに次いで謎なシチリアの食材は、カルーベです。
モディカのカルーベの樹↓
シチリアの南東部、ラグーザやモディカ周辺ではよく見る植物のようです。
乾燥に強い樹で地中海でよく育ち、実は焦げ茶色でソラマメのさやを平らにしたような形。内側にはガム状の甘みのある果肉があり、その中にスイカのタネのような種子、カラートが入っている。
いなご豆と呼ばれるのは、さやがイナゴに似ているから。
カラートはカラットの語源で、種子の大きと重さが常に一定なため、宝石のサイズを図る基準に使われたと言われている。
タオルミーナを観光していたら、ガイドさんがある大木の下で、欧米の観光客に何やら解説している光景に出会いました。
そう言えば、思い返してみれば、黒っぽいさやが垂れ下がっていたいたような。
カルーベはさやがなる木とも言われています。
欧米人はみんな当然のように知っている木なのに、私は始めて見る名前も知らない謎の樹、それがカルーベでした。
カルーベの木、カルーボは寿命の長い樹で、芽が出てから数十年たってようやく実をつけ、樹齢50年で一人前。
水も肥料も多くは必要とせず、空気中の窒素を栄養源にする。
シチリアのカルーベの75%がラグーザ県で生産されている。
収穫は8~9月。
カルーベの生産量はここ数年で急激に増えている。
80%は家畜の餌になるが、人間用は最近の5年で3倍に爆増。
カルーベは薬からドルチェまで、幅広い分野で使われている。
主な製品は粉とシロップ。
果肉は粉にして消化薬や胃腸剤に加えられている。
タンパク質を多く含み、ビタミンやミネラルが豊富。脂肪やナトリウムは少なく、粉には食物繊維とペクチンも多い。
カカオの代わりにドルチェにも使うことができる。
カルーベの種子の粉は水分を40%も吸い込めるほど粘着性があるため、凝固剤としてソースや肉の缶詰、マヨネーズ、腸詰め、チーズ、パンなどに使われている。
ジェラートをなめらかに凍らせる働きもある。
果肉から作られるシロップは、食品の香料や化粧品に使われる。
モディカはシチリアのカカオの中心地でもある。
アステカ人と同じ製法で作られるモディカのチョコレートは、スペインのアラゴン王国の船が16世紀にアメリカから立ち寄った際に伝わった。
オーブンで焼いて発酵を止めたカルーベはチョコレートに味が似ていたので板チョコのようにそのまま食べた。
なんとも使い道の多い食材ですね。
どのような出会いをするかで使われ方も分かれそう。
料理には、粉をコーンスターチのようにつなぎとして使える。
シチリアが誇る食材のようですが、知名度はかなり低い。
モディカに行ったらチョコレートだけでなくカルーベも探してみて。
おまけの動画、ラグーサの力作PV。モンタルバノ警部がいた。
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