トマトが新大陸からやってきて、料理にそれまでなかった赤い色が加わると、ナポリの人たちが熱狂したのは、想像に難くない。
サン・マルツァーノは赤くて果肉が締まり、種が少なく、煮汁になめらかに溶けてソースには最適の品種だった。
イタリア料理の基本、野菜や肉の味が溶け出たサラサラのブロードや油を、チーズなどのとろみのある食材でつないでソースにする、という調理方法にもぴったり合った。
リゾットを例えて、米は水から生まれてワインの中で終わる、という言い回しがあるが、トマトはベスビオ山の麓で生まれて缶の中で終わる。
ナポリ人に愛されたトマトは、サン・マルツァーノだけでなく、もう1品種あった。
ピエンノロのミニトマトだ。
ミネラル分に富んだ乾いた土壌で、南イタリアの太陽をたっぷり浴びて育つトマトには、鮮やかな赤色、酸味と甘味が混ざりあった味、強い香りがあった。
この房付きミニトマトを完熟前に収穫して、風通しの良い涼しい場所に吊るしてゆっくり熟成させたのがピエンノロのポモドリーニだ。
一般的に、クリスマスには完成する。
炎の大地と優しい海の香りを感じる味わいのトマト。
イタリアはアメリカに次いで世界第2位のトマト生産国。
トマトの保存食は、1951年にペースト用のアルミのチューブが発明されて大きく発展する。
保存加工に適したトマトは、果肉が厚いタイプだがだが、瓶に詰めた後の煮沸殺菌が正しく行われれば、サン・マルツァーノ以外の品種も保存できる。
保存方法をマスターしたら、自分で育てたトマトを1年中味わうことができる。
南イタリアのグラン・シェフのパスタ料理の本、『パスタ・スッド』によると、トマトはナポリでは畑の金、大地と太陽の子供、などと呼ばれていたそうで、その品質は、触ってチェックした。
肉厚で張りがあり、トマトの葉の新鮮な香りが感じられるるものが良いとされた。
自らが畑で育てた野菜を使って料理するシェフ、ジョルジョーネさんは、その屈託のないキャラクターがテレビ業界で大人気になりましたが、ウンブリアの郊外で野菜や家禽を育てながらレストランを経営する生活は、なんとも素晴らしい。『ジョルジョーネ』
上記の彼の本には、畑で育てた食材の料理を季節ごとに載せています。
トマトについては、もしトマトを育てたことがないのなら、なんとも残念なこと。
トマトは、ベランダでも育つ。
苗床で芽が出たら、移し替えて、水やりと添え木を準備すれば完了だ。
トマトには沢山の種類があり、育つに従って色も変わります
例えば、サン・マルツァーノは熟し始めは緑色で、この頃はまだ生では食べません。
有毒のソラニンが少量含まれるからです。
でも、赤くなるとこの物質は消えます。
私は揚げて消します。
たくさん実がなるミニトマトも大好きです。
プリーモ・ピアットには欠かせません。
トマトはビタミンCが豊富で、抗酸化作用もあります。
体にも良い野菜なのです。
ジョルジョーネの■ポモドリーノ・ディ・ピエンノロのスパゲットーネ。
・ソテーパンにオリーブオイル、潰したにんにく、唐辛子1/2本を入れて弱火にかけ、粗く刻んだイタリアンパセリ、粗塩少々、半分に切ったミニトマトを加えてパスタをゆでる間(6~7分)熱する。
・パスタがゆで上がったらざっと水気を切ってソテーパンに加える。イタリアンパセリの半量を散らしてマンテカーレし、皿に盛り付ける。フォンド(ソテーパンに残った油)をかけてイタリアンパセリを散らす。
サンマルツァーノのトマトソースもそうですが、風味が強いトマトのソースは、とにかくシンプル。
最後に、ジョルジョーネのグリーントマトのフリットのリチェッタを訳してみます。
■グリーントマトのフリットPomodori verdi fritti
・材料
0番の小麦粉・・1カップ
冷えたビール
グリーントマト・・5個
ピーナッツ油
粗塩
・小麦粉と冷えたビールをガスが抜けないようにホイッパーで軽く混ぜてなめらかな衣にし、塩少々を加えて休ませる。
・トマトはヘタを取り、3枚の厚い輪切りにする。
・トマトに衣をつけて熱した油で揚げる。きつね色になったらシートに取って油を切り、粗塩少々を散らす。
「総合解説」
『パスタ・スッド』
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