2020年5月8日金曜日

ナポリのグランシェフのズッキーニのフリットのパスタ

さて、ズッキーニのスパゲッティです。
ナポリ料理研究の第一人者として知られるジャーナリストのピニャタロさんは、多数ある著書の一冊、『リチェッテ・ディ・ナポリ』には、こう書いています。

ネラノ風ズッキーニのスパゲッティ/Spaghetti con le zucchine alla Nerano

料理の副題には、トニーノ・メリーノのアドバイスによる、と書かれている。
トニーノ・メリーノはネラノ出身で、ネラノのクアトロ・パッシというレストランのシェフで、ナポリを代表するグラン・シェフの一人。
招かれて日本で仕事をしていたこともある人。

ネラノのクアトロ・パッシ



・・・それではどうぞ。
この料理には主役のズッキーニがもたらす2つのリスクがある。
1つはパスタから流れ出たデンプンによって甘さが強まること。
この問題を解決するのは、バジリコとにんにく、そしてプロボローネ・デル・モナコだ。
ヤギのカードで固めたチーズなので適度な辛さがある。手に入らなければ上質の牛乳のカチョカヴァッロを使う。

2つめは、揚げることによってズッキーニがくたっとなり、黒ずんだ離乳食のようになることだ。
この失敗はスカペーチェなどのナポリ料理によく見かけるが、簡単な方法で回避できる。
まず、ズッキーニは、均一に素早く揚げるために薄い輪切りにする。
これをたっぷりのEVオリーブオイルで揚げて油を切り、さらにマンテカトゥーラの前に熱湯にさっとくぐらせるのがメリーニの裏技だ。
これによりズッキーニは失った水分を回復する。
ズッキーニにチーズをかけすぎるのも間違いだ。

材料/4人分
スパゲッティ・・400g
小型のズッキーニ・・700g
EVオリーブオイル
にんにく
粗くおろしたプロボローネ・デル・モナコ・・200g
手でちぎったバジリコ・・4~5枚
黒こしょう、塩

・ズッキーニは薄い輪切りにしてEVオリーブオイルで揚げ、シートで油を切る。
・その間にパスタをゆでる。
・にんにく2かけを油大さじ6で焦がさないようにソッフリットにし、火から下ろす。
・このタイミングでズッキーニの1/3を熱湯にさっと浸して歯ごたえの違う2タイプのズッキーニにする。塩をして油を回しかける。
・ソテーパンからにんにくを取り除き、ズッキーニを加えてとろ火にかける。
・アルデンテにゆでたパスタを加えてさっとマンテカーレする。
・火から下ろしてプロボローネ・デル・モナコを加え、パスタに吸わせる。
・皿に盛り付けてこしょう少々とバジリコを散らす。

※バリエーションは多数ある。その一つがバターを加えてマンテカーレすること。
邪道のようにも思えるが、モンティ・ラッターリ地方は乳製品の生産が盛んな地域なのでバターを加えるのは一般的なこと。太いショートパスタだと食堂のパスタになってしまう。卵を加えるとカルボナーラ風になる。
ネラノのマリア・グラツィアが考え出した料理だが、カプリ出身という説もある。

この料理が有名になるにつれ、どうやらナポリの人には揚げたズッキーニのパスタにはプロボローネ・デル・モナコというのがDNAに刻まれたようです。

プロボローネ・デル・モナコ


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「総合解説」
リチェッテ・ディ・ナポリ
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