実はちょっと前に入荷していたのですが、内容があまりにも専門的でボリュームもすごいので、日本では売れないだろうと、紹介しないでいました。
小麦粉以外の粉のリチェッタを、知りたいと思う人がいるのかなあ、というのが正直なところです。
でも、この本の著者が、小麦粉以外の粉を研究するようになった経緯を綴った前書きを読んで、少しずつでも紹介してみようか、という気になりました。
著者が小麦粉以外の粉に関心を持ったきっかけというのは、母親の突然の病気だそうです。
病気というのは、大抵が突然ですよね。
そしてそうなってみて初めて、我が身のことと思うようになります。
幸か不幸か、イタリアにはいわゆる一般的な小麦粉、00番の小麦粉を受け付けない人がたくさんいて、その種の研究が進んでいます。
それを活かせないのはもったいない。
著者が初めて作ったのは、キヌア粉のチェリーパイでした。
それは今まで知らなかった新しい味のパイだったそうです。
粉にしたキヌアを炒ると、驚くほど味と香りがたつのです。
母親がこのパイを食べた時の笑顔は、何よりも美しかったと綴っています。
その最初の1歩が、この立派な分厚い本へとつながっていったのです。
小麦粉以外の粉を使いこなすとは、イコール新しい味と香りを生み出すことで、創造力が問われます。
失敗を恐れずに、創造をやめないで、というメッセージがこの本には込められています。
手作りキヌア粉の作り方
『di Farina in farina』より、キヌアの解説文
キヌアはアンデスの標高3000m以上で栽培されている植物で、植物性タンパク質や鉄分を豊富に含み、アンデス文明以前から用いられていた。
サポニンで覆われているので、使う前によく洗って取り除く必要がある。
穀物ではなく、ほうれん草やビーツと同じアカザ属の植物。
リジンが豊富で低血糖指数の炭水化物、カリウムや鉄分は豊富。
グルテンは含まず、セリアック病やグルテンにまつわる障害のある人向きの食材。
この章の“チェリーパイ”は私がキヌアから最初に作った料理。
キヌアをミキサーにかけ、粉を大きなフライパンで弱火で炒ると、すでに香ばしかったキヌアの香りが独特のものになって広がった。
アマラント粉やそば粉のように味が強いので慣れるには時間もかかる。
しかし、くるみやヘーゼルナッツなどナッツとの組み合わせは抜群だ。
パン用の他の粉を15~25%加えるとパンやフォカッチャもできる。
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“小麦粉以外の粉”の記事の日本語訳は「総合解説」2016年6月号に載っています。
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