2018年11月27日火曜日

フィレンツェのサンタンブロージョ市場


今月訳した料理書は、『トスカーナの市場料理』です。



前書きを訳しながら、イタリアの市場というのは、村人がみんなやってくる場所で、週に一度の情報交換の場だったんだと知りました。
トスカーナで育った人なら、おじいちゃんやおばあちゃんに連れられて毎週市場に行き、クロッケッテとポルケッタを食べた思い出を持っているんだそうで、もちろんトスカーナだけでなく、イタリア中でメルカートは故郷の思い出として刻まれているのですね。

この本で最初に登場するのは、フィレンツェのサンタンブロージョの市場。



観光客でいっぱいのおしゃれなフードコート風市場より、店の人との会話が楽しめる暮らしに根付いた雰囲気がいいですねー。

著者はシエナのヴァル・デルサの出身で、初めて出た賑やかな都会に、目がくらみながらもすぐに夢中になった田舎娘だったと自分のことを語っています。
美味しいジェラートを食べながら中心部を歩き回り、トリッパやランプレドットの屋台で学生や観光客が並んでいるのを眺め、ドゥオモのクーポラや老舗のカフェを待ち合わせ場所にして、夕暮れ時にアルノ河沿いを散歩するという、典型的な観光コースを巡っていた彼女が、市場の魅力に気づき、晩春のいちごの香りや秋のポルチーニなどの森の香りを堪能するようになり、さらには売り子たちとおしゃべりするようになり、彼らの豊かな知識やリチェッタを共有するまでになったのです。
そしてとうとう、この魅力的な本を出版したのでした。

訳した料理の1品目はパーネ・トスカーノ。
2品目のカラバッチャはフィレンツェ風オニオンスープ。
カテリーナ・デ・メディチのお気に入りの料理として知られています。



この動画ではパンチェッタ入りですが、訳したリチェッタは乾燥グリーンピース入り。

グリーンピースといえば、フィレンツェ風。




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『トスカーナの市場料理』の一部のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年7月号に載っています。
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