この店の名前、かなりインパクトありますよね。
「総合解説」を作ってかなりたつのですが、その当初から、この店の名前を訳していたことを記憶しています。
今回の記事によると、1987年オープンだそうですよ。
もう30年前の話だったんですねー。
「総合解説」では、レストランやショップの情報は、なるべく訳すようにしています。
私自身、イタリアで食べる店を探す時は、いつも「総合解説」の情報を頼りにしていました。
イタリアで食べ歩きする時に、日本発の観光客向けの情報ではなく、イタリア発のグルメなイタリア人向けの情報で店を選びたかったからです。
実際に行ってみて、今までで一番記憶に残っているレストランは、ローマのユダヤ料理の記事で紹介された店です。
ローマ料理にとって、内臓料理とユダヤ料理は大きな柱。
ユダヤ料理の店なんて、興味はあっても想像もつかなかったのですが、イタリアの料理雑誌じゃなきゃこんな特集組まないですよ。
記事を頼りに探し出して入ってみて、周囲の客を見渡す余裕も出てきた頃、あることに気が付きました。
男性客が全員、頭の後ろに小さな帽子をのっけているんです。
ニュースなどで見たことがある、どうして落っこちないのか不思議なあの小さーな帽子です。
ローマのユダヤ人街は、観光地の真ん中にあるので、観光客がいっぱいいる店だろうと思っていたら、ど直球のユダヤ人向けレストランでした。
観光客らしき外国人もいましたが、彼らもユダヤ人でした。
トスカーナのワインを頼んだら、ラベルがへブライ語でした。
ユダヤ教ではユダヤ教徒が作ったワインを飲む、異教徒が触れたワインは飲まない、なんてことを知ったのは、旅行から帰ってからでした。
なにしろ体験が強烈過ぎて、激しく興味を持ち、遅まきながら調べてみたのです。
それにしても、その時はすべてが驚きで、ドキドキしながら食事をしました。
これが普通のイタリア人向けの記事なんだから、他の記事も当然、超ディープです。
ローマのゲットー
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観光客にとっても魅力的。
もう1軒、8年前、ヴィッサーニが仕入れているブッラータの店がプーリアのアンドリアにあるという記事があったので、その店に行った時も、超面白かったです。
そのチーズ屋は、常にお客で店がいっぱいの大繁盛店。
店員は頑固な職人気質で愛想は皆無。
ブッラータの注文の仕方も知らないド素人が買いに行くと、店員とお客が総出で、絶対冷蔵庫に入れてはいけないよ、と何度も念を押され、その日はブッラータが入った袋を持ちながらプーリアを歩き回るというハードな1日になりました。
でも、冷蔵庫に一度も入れないブッラータの味は、格別でした。
バターに生クリームが溶け込んだような濃厚でフレッシュなあのブッラータは、ぜひ、食べてほしいなあ。
どちらの店も、一生記憶に残る出来事になりました。
こんな風に、「総合解説」のレストランとショップ情報は、実は超ディープなんです。
強烈な異文化体験ができる情報源としてもお薦めです。
そんなレストラン情報で30年前から気になっていた店、ティンパニ・エ・テンプラ。
シェフの奥さんが日本人なのかな、ぐらいにゆるく考えていましたが、違いました。
この店名には深い意図があるそうです。
まず、ティンパニはマカロニを使ったカンパーニアの修道女の古い伝統料理でした。
シチリアではティンバッロと呼ばれる料理の一種です。
店ではこれを小さな一人前サイズにして、さらに生地で包んでテイクアウトできるようにしていました。
リチェッタは「総合解説」にのせています。
テンプラは、ナポリのストリートフードとしての揚げ物に、日本のテンプラからインスピレーションを受けた軽い揚げ物のテクニックを取り入れていることを表明している、とても高度な専門技術を持つ自信に満ちた名前だったのです。
ティンパニ・エ・テンプラ
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という訳で、
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“アントニオ・トゥベッリ(ティンパニ・エ・テンプラ)”の記事の日本語訳は
「総合解説」2016年4月号にのっています。
「書籍リスト」
[creapasso.comのホームページ]
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