今月の「総合解説」、次の地方料理はフォカッチャです。
イタリア料理と出会ったばかりの頃は、フォカッチャというと、指でくぼませた穴が特徴の平らなパン、と思っていました。
これはフォカッチャ・ジェノヴェーゼ。
ピッツァのドウの伸ばし方に似ています。
というか、そっくりです。
引っ張ったり麺棒で押し潰したりしないので、結果的に指で押したくぼみがたくさんできます。
このくぼみは“オンブリサッリ(ombrisalli/へそ)”と呼ばれます。
ここにリグーリア産のデリケートなオリーブオイルがたまって、香ばしいシンプルな生地を一段とおいしくします。
ピッツァ生地の伸ばし方
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フォカッチャは、パンとピッツァの中間で、原料は小麦粉、オリーブオイル、水。
イタリア料理のエンブレムの一つです。
「総合解説」でも、これまでに度々取り上げてきました。
ここではスローフードのスクオラ・ディ・クチーナシリーズの『パーネ・ピッツェ・フォカッチェ』から、引用してみます。
そもそもフォカッチャは、一説ではパンより古く、発酵やかまどが発明される前のもので、熱した石板の上で焼きやすいように、生地を薄く平らに伸ばしたもの。
元々は皿の代わりに料理をのせて、最後には食べてしまえるものとして使われていました。
フォカッチャの語源は古代の焼いた食べ物という意味のfocusと言われています。
でも、どうも古すぎて、はっきりした証拠はみつかっていないようです。
「総合解説」“2015年3月号”では、フォカッチャの基本について少し詳しく解説しています。
フォカッチャに最適な粉は、イタリアの分類では00タイプでW270の小麦粉でした。
Wとは粉に含まれるタンパク質を表す数字で、含有量が多いと小麦粉は“強く”なります。
つまり、長時間の発酵に耐えて、卵やバター、砂糖を加えたリッチな生地に適します。
一般的にパンにはw150必要で、強力なカナダのマニトバ粉はw500あります。
生地に加える水分の量は、生地が水を吸い込む力にもよりますが、小麦粉500gにつき250~300mlが一般的。
十分発酵した生地は2倍に膨らみます。
発酵時間が長すぎると焼いている間にたるみ、酵母が不快な匂いを発します。
小麦由来の糖分、モルトを使うと他の砂糖より心地よいアロマが生まれます。
フォカッチャのバリエーションは、まず、詰め物をしたフォカッチャ・リピエーナ。
「総合解説」2012年6月号に“具をはさむフォカッチャ”のリチェッタを載せています。
主に野菜の具です。
さらに、“じゃがいも入り生地のフォカッチャ”があります。
じゃがいも入りの伝統的フォカッチャとして、「総合解説」13/14年7月号では、プーリアのフォカッチャを紹介しています。
これは、硬質小麦がプーリアに広まる前から造られていました。
じゃがいもというのは、飢饉の時の農民の命綱で、どこの村でも育てていました。
とても身近で、手に入りやすい、庶民料理には欠かせない食材だったのです。
さらに生地を柔らかくする効果もありました。
フォカッチャ・プリエーゼ
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今月の「総合解説」で紹介している地方料理のフォカッチャは、シチリアのスフィンチョーネと、アブルッツォのピッツァ・シーマです。
イーストを加えない、発酵させないパンです。
ルーツはユダヤの発酵させないパン、scemaシェーマと言われています。
↓
イタリア各地で個性的なフォカッチャが造られているんですね。
フォカッチャの話、次回に続きます。
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“フォカッチャ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2016年4月号にのっています。
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