今月の「総合解説」は1月号なので、毎年、10人中9人のイタリア人が年末年始に食べるというレンズ豆の話題は避けて通れません。
ほぼ全国民が食べるとは言っても、レンズ豆が脚光を浴びてスターになれるのは、年1回、この時期だけ、というのがこれまでの常識でした。
ところが、レンズ豆の世界にも次のスターが現れたようです。
このブログで最初に紹介したのは4年前のこと。
そのレンズ豆はキャビアに似ていることからレンティッキエ・ネレ・ベルーガと呼ばれる黒レンズ豆。
見た目にインパクトがあるのでパスタに、魚料理にと、年末年始にコテキーノに添えるだけではない大活躍です。
ちなみにカステッルッチョのレンズ豆の花の時期は6月初めだそうなので、ちょうど今頃ですね。
下の動画は2016年の様子です。
花は7月後半まで咲き乱れて、多くの観光客が訪れたそうです。
この年はこの後、イタリア中部を大きな地震が襲ったので、その後どうなったか心配です。
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地震直後のカステッルッチョ。
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冬は雪が積もって道も通行止めになる標高1300mの山の上で、カステッルッチョの住民たちは避難を余儀なくされて、ほぼすべてのレンズ豆農家が村を離れたのだそうです。
今年の夏に観光客を呼び戻すには5月までに種まきを終えなければなりませんが、種まきをした農家はわずか1軒。
地震前までは毎年数万人が訪れた観光客も、去年は数百人だったそうです。
去年と今年ではほとんど何も変わっていない、という住民もいます。
そうでなくても収穫量が少なくて貴重品扱いだったカステッルッチョのレンズ豆。
畑を疲弊させないように人手をかけて丁寧に作られていました。
現在も中世に広まったレンズ豆、小麦、牧草(休耕)の三圃式農業で栽培されています。
この先、ますます貴重品になりそうです。
レンズ豆はシリア原産で、約7000年の歴史があります。
人間が栽培した最初の豆とも言われています。
地中海全域に広まって、主に修道院で栽培されていました。
断食の日の肉に匹敵するたんぱく源だったのです。
レンズ豆のズッパは、イタリアのすべての州で伝統料理として作られています。
ナポリのレンズ豆のズッパ
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ところで、ベルーガは甘くて香りが良い豆で、30分ゆでてもアルデンテ。
ここ最近のブラックフードのブームも後押しして、人気が出ています。
脂肪分が少なくてタンパク質と繊維が豊富と、栄養価も注目されています。
ただ、寿司にも使われているという意味不明の説明もあったりして、まだまだ知識が広まるのはこれからのよう。
「総合解説」p.16には“カボチャとベルーガレンズ豆のスパゲッティ”のリチェッタを載せていますが、黒くてふっくらした粒粒のレンズ豆は、白っぽいパスタの色合いを締める効果もあります。
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“レンズ豆”の記事とリチェッタの日本語訳は「総合解説」2016年1月号に載っています。
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