『パスタ・レボリューション』
『パスタ・ヴィアッジョ・イン・イタリア』
『パスタ・レボリューション』は、副題が"pasta conquista l'alta cucina"。
アルタ・クチーナのパスタの本です。
『パスタ・ヴィアッジョ』は、副題が"Viaggio in Italia in compagna di grandi chef"
20州の20人のシェフによる、乾麺の地方料理の本。
『ヴィアッジョ』は地方料理という縛りがありますが、どちらも有名シェフたちによる饗宴。
『レボリューション』は乾麺のパスタという縛りだけで、シェフの個性が咲き乱れています。
『ヴィアッジョ』はイタリアの地方料理をインターナショナルな知名度にしたいと言う、トップパスタメーカーの野望が感じられます。
『レボリューション』は、農民と主婦が作り上げてきたイタリア料理の最終形態の一つを感じます。
どちらもパスタはイタリアが生んだワールドクラスの食文化というプライドが強烈に感じられますが、その考察が、本格的でとても面白いのです。
例えば、こんな一文。
"小麦粉と水があれば誰でも作ることができるパスタだが、イタリア人だけが、これを乾燥させた。"
プーリアのオレッキエッテ、ナポリのパッケリ、トスカーナのピチ、リグーリアのトロフィエなどのようにパスタの形は地域主義のメタファー。
対外的には"マカロニ"と総称で呼ばれることを許しても、イタリア人の中では、反グローバリズモの流れが常にあります。
パスタの主要な"地域"は、シチリア、ナポリ、ジェノヴァ、ボローニャ。
イタリアには、方言を含めて1238種類のパスタの名前があるそうです。
さらに、どのパスタも偶然生まれて偶然生き残ったのではなく、必ず生み出された理由があります。
『レボリューション』は、写真も面白いんです。
ゲイリー・クーパー主演の『マルコ・ポーロの冒険』という1938年の映画のワンシーンは、中国人とおぼしき人物が箸で麺を持ち上げているのを、イケメンのマルコ・ポーロが見つめている、という興味深い写真。
実際にこんなシーンあったかもね。
マルコ・ポーロは、西洋人に取ってこんなイメージ?
↓
まるでゲーム・オブ・スローンズの世界。
さらに、アングロ・サクソン系の女性がスプーンとフォークで悩みながらスパゲッティを食べるポスターのような写真もあります。
イタリア人のパスタに対するプライドの高さは、昨今の日本食ブームを体験した日本人にはよくわかるのでは。
とにかくじっくり読みたくなる面白い本です。
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