「総合解説」2015年9月号には、カルロ・クラッコの本『クラッコの地方料理』から、ピエモンテ料理のリチェッタを日本語に訳して載せました。
カルロ・クラッコという人は、インテリでハイセンスでナイーブ、というイメージがあるのですが、それはすべて彼の本を読んで受けた印象です。
常に料理に対して熱い情熱を抱いている彼は、語りたいことがたくさんあります。
自分の過去の体験も交えながら詳しく料理を語るので、当然ながらリチェッタはかなり長くなります。
今回も、フィナンツィエーラとフリット・ミストの2つのリチェッタに、5ページを費やしました。
フィナンツィエーラというのは不思議な料理です。
まず、内臓料理なのに、グランシェフたちに愛されて、洗練された料理としても知られています。
クラッコ氏もそんなシェフたちの一人で、アラン・シャペルのこの料理が好きだったと語っています。
シャペル氏は、自分の料理のオリジナルがピエモンテ料理のフィナンツィエーラだと語ったことはないそうですが、クラッコ氏はリチェッタはほぼ同じだとかなり確信していました。
デュカス氏もこの料理を作っていると聞いてモンテカルロを再訪した、とも語っています。
そしてモンテカルロで沸き上がったのが、フィナンツィエーラに、子牛肉は加える必要がない、という考え。
彼によると、臓物以外の材料は、伝統的なリチェッタでは使っておらず、体裁をよくするために後になって加えられたものだそうです。
ただし、甲殻類を加えるアレンジは受け入れています。
クラッコ氏のフィナンツィエーラの第一印象は、“とても美しい料理”だそうです。
料理の写真は本で見るとはっきりと写っていて確かに美しいです。
本をお持ちの方は、ぜひ見てください。
グランシェフが作る美しい料理と思ってフィナンツィエーラを見ると、この料理対する印象が全く変わりました。
伝統的なフィナンツィエーラの材料は、リードヴォー、脳みそ、脊椎、鶏の臓物(肉垂、とさか、キンカン、レバー)などです。
まさかこんな臓物料理を美しいと感じるなんて、意外でした。
マルコ・ロンバルドシェフ Ciau del Tornavento のフィナンツィエーラ
↓
クラッコ氏のリチェッタとは全く違いますねー。
これはピエモンテで食べ比べると面白そうですね。
OSTERIA DEL BORGO di Carrù のフィナンツィエーラ
↓
クラッコシェフのリチェッタは、臓物をソースであまりつなげずに、1つ1つを味わわせる盛り付けです。
さらに彼はリードヴォーが大好きなようで、実は、今回はリチェッタがかなり長くなったのでこの部分は省略しているのですが、リードヴォーについても熱く語っています。
彼のリードヴォー料理を食べてみたいと密かに思っているくらいです。
シェフが自分の好みの食材についてこんなに自由に長々と語る本なんて、あまり見たことありません。
ピエモンテの内臓料理に関しては、次号にも登場します。
こちらの料理も超個性的なので、お楽しみに。
ピエモンテが、こんなに内臓料理大好きな地方だとは、知らなかった~。
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『クラッコの地方料理』のピエモンテ料理のリチェッタの日本語訳は「総合解説」2015年9月号に載っています。
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