寒いですねー。
「総合解説」13/14年11月号発売しました。
最初に取り上げるのは、ラグーです。
イタリア料理のラグーは ragù。
フランス料理のラグーは ragout。
ragoutは小さく刻んだ材料の煮込み料理。
それがragùになると、肉、香味野菜、ワイン、トマトがベースの煮込んだソース。
イメージ的には、前者がシチューで後者がミートソース。
アメリカ系イタリア料理の影響で、ミートソースのイメージのラグーは、ラグー・ボロニェーゼのこと。
「総合解説」には5種類の地方のラグーを載せましたが、挽肉を使っているのは2種類でした。
「総合解説」によると、ragùは、歴史がまだ200年しかない若い料理。
その歴史をちょっと遡ってみると、その前身は、ragout、つまり煮込み料理(stufato)です。
煮込み料理と言うのは、硬い肉を食べやすくするために考え出された調理方法。
かなり昔からあります。
そこにトマトが加わって、ラグーと呼ばれるようになりました。
イタリアのラグーには2つの大きなグループがあります。
一つはボロニェーゼ、またはエミリアーノ。
もう一つはナポレターノ、または南伊風。
前者は挽肉を使い、後者は塊肉を使います。後者の肉はセコンドとして食べます。
ラグーをかけるパスタは、中部イタリアでは手打ちのタリアテッレ、ラザーニャ、グラミーニャ、ガルガネッリ、トルテッリーニなど。
一方面白いことに、ナポリでは細くて長い麺にラグーをかけるのは冒涜とみなされます。
ラグーには、マッケローニ、ペンネ、折ったジーティなどの硬質小麦の太くて短い麺。
こうしてみると、スパゲッティにミートソースをかける習慣は、イタリアにはない、ということがよくわかります。
そして、ナポリ人がどれほどラグーにこだわっているかがよくわかるものとしていつも引き合いに出させるのが、エドゥアルド・デ・フィリッポ監督でソフィア・ローレン主演の、親子3世代の愛情物語、1959年のコメディー映画『土曜、日曜、月曜』のラグーの喧嘩のシーン。
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言ってることがなんとなくわかる不思議なシーン。
ソフィァ・ローレンておばちゃん同士の喧嘩しててもキレイ。
ジーティのラグー・ナポレターナ
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最後に、世界的に評価されているモデナのラ・フランチェスカーナのシェフ、マッシモ・ボットゥーラ氏の名言を。
ラグーの正しいリチェッタなど存在しない。
正しい食材と地域性があるだけだ。
クラシックな伝統料理なので、オリジナルな創作は成功したためしがない。
美味しいラグーを作る秘訣は、最高の肉を使う。
トマトは少し、マンテカーレする時のパルミジャーノはたっぷり、それだけだ。
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“ラグー”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年11月号に載っています。
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