8月号の「総合解説」には、ストリートフードの記事が2つあります。
バカンスの季節の夏は、イタリアではストリートフードの季節なんですね。
でも、方言で食べる(by チッチョ・スルターノ)と表現される通り、通りすがりの観光客には、ちょっと敷居の高い食べ物です。
今回解説に載せた料理は、まずパレルモのスフィンチョーネ。
なんと、一番有名なシチリア料理だと言う人もいます。
パレルモのストリートフードにしては珍しく、内臓は入っていません。
パレルモ風フォカッチャ、またはパレルモ風ピッツァです。
クリスマスの定番の食べ物なんだそうです。
生み出したのは修道女と言われています。
なんのトッピングもない質素なパンを、お金をかけずにクリスマス用のゴージャスなパンに変身させた、ということでしょうか。
スフィンチョーネの語源はラテン語でスポンジという意味。
おそらく、パン生地の柔らかさを表しているのでしょう。
このスタイルで売るのが伝統的。
ピッツァ生地に玉ねぎ入りトマトソースを塗ってアンチョビとカチョカヴァッロを加えて焼きます。
シンプルで経済的なのに、美味しそう。
スフィンチョーネはパレルモ限定のストリートフードですが、パレルモ近郊のバゲリアという町にはバリエーションの一種が作られていて、スファンチョーネ・バゲレーゼとか、スフィンチョーネ・ビアンカと呼ばれています。
バゲリアでだけ造られている珍しいスフィンチョーネです。
パレルモ風とは全く違うと力説していますが、その違いは両方食べないとわからないなあ。
それにしても、シチリアの人はパン粉が好きですね。
パスタに散らすのはよく見ますが、パンをパン粉で覆うとは、すごいアイデア。
パレルモでスフィンチョーネを食べたくても、あのオート三輪に出会えるかどうかは不確かなので、スフィンチョーネを売っていて、ガンベロ・ロッソの『ストリート・フード』でも高く評価されている人気の店を1軒、ご紹介します。
店の名前は、Panificio Graziano /via del Granatiere 11。
ネットの評価は上々で、パレルモで一番美味しいカットピッツァの店、かつ一番美味しいスフィンチョーネの店として知られています。
中心地から離れていて観光客には知られていないのですが、店は地元の人で一杯なんだそうですよ。
スフィンチョーネの王様や~という投稿もありました。
それにしても、パン生地にトマトソース、アンチョビ、チーズをのせたフォカッチャとなると、どこでパレルモらしさを出すのでしょうか。
材料を見る限り、唯一、パレルモ特産と言えるのは、カチョカヴァッロですかね。
カチョカヴァッロには、カチョカヴァッロ・シチリアーノという分類があって、その中の一種が、カチョカヴァッロ・パレルミターノというチーズです。
カチョカヴァッロは、モッツァレッラと同じ、パスタ・フィラータのチーズですが、熟成させるので辛みなどが生まれます。
パレルモに行く機会があったら、パニフィーチョ・グラツィアーノまで出かけてパレルモで一番美味しいスフィンチョーネを食べて、ちょっと足を延ばして東隣のバゲリアに行って、スフィンチョ―ネを食べ比べる、というのはどうでしょう。
ちなみに上の動画では、下記の5軒の店を紹介しています。
i forni storici di Bagheria: Buttitta, Liga, Lo Presti, Ragusa, Varisco
どの店も高評価のようです。
とろこで、そもそもバゲリアってどんな街?
パレルモ県ではパレルモに次いで人口の多い街だそうです。
『ニューシネマパラダイス』で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督の故郷。
『シチリア!シチリア!』は監督が故郷を舞台に撮った映画。
さらに、パレルモのベッドタウンだったおかげて貴族の館がたくさん残っていることでも有名。
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“ストリートフード”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年8月号に載っています。
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