今日はプーリアはレッチェのお菓子の話。
『ア・ターヴォラ』の記事です。
そのドルチェは、パスティッチョット。
↓
何のひねりもない、素朴なカスタードタルトです。
レモン風味のカスタードクリームが詰まったタルト。
でもこれが、「サレント半島で一番愛されているドルチェ」なんです。
私も初めてレッチェに行った時、この町の名物ドルチェはパスティッチョットだというこどたけは知っていたので、パスティッチェリーアに立ち寄った時、早速注文してみました。
ところが、店のショーケースには、華やかで美味しそうなパスティッチェリーアが一杯並んでいて、よりによって、茶色いタルト生地に覆われたパステッチョットは、その中では2番目に地味に見えました。
正直に言うと、期待していた分、テンションが少し下がりました。
ちなみに一番地味だったのはコトニャータです。
プーリアのホテルの朝食にもよく出てくる超甘~いマルメロのジャムです。
一般的に、この写真よりもっと黒ずんだ、羊羹のような色をしています。
まあ、確かに素朴であったかいドルチェで、プーリア人気質にはぴったり合いそう、と思ったのですが、この地方の名物になるほどのものかなあという思いも片隅にはありました。
でも、『ア・ターヴォラ』の記事を読んで、その由来を知って、納得しました。
そもそもこのドルチェは、1745年6月29日に、レッチェ県のガラティーナという町のパスティッチェリーア・アスカローネという店で考え出されたのだそうです。
しかも、商品としてではなく、有名な聖人の祝日に、店にやってくる客や通行人に無料でふるまうために作ったのだそうです。
店はそんなに儲かっていなかったらしくて、ゴージャスな材料は使えません。
パスタ・フロッラの切れ端に残り物のクレーマ・パスティッチェリーアを詰めて小さな型で焼き、まだ熱いうちに配ったのだそうです。
焼き立ての温かい無料のパスティッチェリーアって、人の心に染みるのですね。
しかも、人一倍情に厚いプーリアの人たちになら、大歓迎されたことでしょう。
一番美味しいでも、一番人気でもなく、一番愛された、という形容詞がまさにぴったり。
パスティッチョットの考案者、ニコラ・アスカローネの店、パスティッチェリーア・アスカローネは、今もあります。
↓
271年前に考え出されたドルチェが、今では町の名物になって町の外から来た人の心にも、レッチェの思い出として染み込んでいっています。
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“レッチェのパスティッチョット”の記事とリチッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月30日木曜日
2016年6月27日月曜日
ヴォルトリのフォカッチャ
今日は今月の「総合解説」で、“野菜畑でリグーリア風プランゾ”というメニューを紹介しているリグーリアの農家の春の伝統料理の話です。
それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。
ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。
カモッリの港
↓
熱海
↓
イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。
では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。
まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。
パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切ってゆでれば完成。
リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。
これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。
一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。
このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
店のwebページはこちら。
ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフォカッチャです。
プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。
食べてみたい・・・。
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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。
ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。
カモッリの港
↓
熱海
↓
イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。
では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。
まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。
パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切ってゆでれば完成。
リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。
これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。
一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。
このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
店のwebページはこちら。
ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフォカッチャです。
プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。
食べてみたい・・・。
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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ヴォルトリのフォカッチャ
今日は今月の「総合解説」で、“野菜畑でリグーリア風プランゾ”というメニューを紹介しているリグーリアの農家の春の伝統料理の話です。
それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。
ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。
カモッリの港
↓
熱海
↓
イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。
では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。
た
まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。
パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切れば完成。
リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。
これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。
一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。
このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
店のwebページはこちら。
ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフェカッチャです。
プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。
食べてみたい・・・。
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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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それにしても、北イタリアの大都市在住の人たちって、リグーリアが大好きですね。
冬が終わって、ぼちぼちあったかくなるかなあ、そろそろ春だなあ、って季節になると、一斉にリグーリアに興味が湧き始めて、料理雑誌がリグーリア特集で埋まります。
ミラノなど、北イタリアの人にとって、一番身近なリゾート地が、リヴィエラことリグーリアなんでしょうねえ。
関東人にとっての伊豆や熱海ってところでしょうか。
カモッリの港
↓
熱海
↓
イタリア料理の世界でリグーリアがこれだけ注目を浴びるのは、早春から春の間。
夏になると、とたんにビーチリゾートに関心は移ります。
では、リグーリアの春を満喫できるリグーリアの農家で作りそうなごはんとは、どんなメニューでしょうか。
正直言って、始めて聞くような知らない料理ばかりでした。
た
まずは、ピッツァ・ジェノヴェーゼこと“マケトゥーザ”。
ズッキーニ、玉ねぎ、チェリートマト、タッジャスカオリーブと、カラフルな野菜をトッピングしたピッツァ。
マケトゥとはアンチョビのこと。
生地にアンチョビペーストを塗ってから野菜をのせれば、あっと言う間にマケトゥーザ。
パスタ・シャンカは、アスパラガス、セロリ、ポロねぎ、にんじんなどの野菜とにんにくのクリームの野菜のパスタ。
シャンカとは不揃いに切ったという意味。
ラザーニャ用のパスタを不揃いに切れば完成。
リグーリアの春を象徴するような一品、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーナは、ゆでて潰したじゃがいも、カプリーノ、粗みじん切りのズッキーニ、卵、パルミジャーノの詰め物。
オーブンで焼きます。
これに添えるのはヴォルトリのフォカッチャ。
一般的にフォカッチャと言うとイメージするジェノヴァ風フォッチャとの違いは、生地を薄~く伸ばすということ、打ち粉がとうもろこしの粉ということ。
生地の材料は00タイプの小麦粉、水、塩、生イースト、オリーブオイル。
外はカリッとしていて中はしっとり。
このフォカッチャ、ジェノヴァの西の端にある町、ヴォルトリの、プリアノというパスティッチェリーアが考え出して、リヴィエラ中に広まったフォカッチャです。
なので別名、プリアノのフォカッチャ。
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ジェノヴァの人も買いに来る大人気のフェカッチャです。
プリアノは1964年開業。
フォカッチャを考え出したのは、現経営者の父親。
家庭の味を商品にしたそうです。
食べてみたい・・・。
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“野菜畑でリグーリア風プランゾ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月23日木曜日
カルロフォルテのマグロ料理
今日は今月の「総合解説」から、最も印象に残ったパスタの話。
「マグロの島、カルロフォルテ」の記事の“サルシッチャとマグロの赤身のロリギッタス”です。
個性的なパスタが多いサルデーニャの、予想の斜め上を行く意外な形のパスタ。
生地を細長く伸ばすところまでは普通のパスタの作り方ですが、そこから先が個性的。
↓
乾麺でも使うのかと思ったら、リチェッタは麺を手作りするところから始まりました。
そしてこれが意外と簡単。
出来上がりは、サルデーニャの家庭料理の濃厚な香りが漂ってきそうなパスタです。
で、今回は、サルデーニャのマグロの島、カルロフォルテの料理として紹介されているリチェッタなので、当然マグロが入っています。
マグロのパスタなんて珍しいなあ、と思ったのですが、数々のマグロ料理のリチェッタを訳しているうちに、複雑な気持ちになりましたよ。
私たちが知っているマグロ料理とは、まったく違うのです。
何しろ、一昔前まで、島で水揚げされたクロマグロの美味しいところは、全部日本に輸出されていたのです。
島のマグロの食文化は、日本人が買わない、つまり、食べない部位を、いかに美味しく食べるか、という工夫からすべてが始まっているのです。
日本人が食べないマグロの部位って、どこだと思います?
マグロの内臓や尾、または赤身のオイル漬けや塩漬けの干物です。
例えば、干した胃袋はベルと呼ばれています。
マグロのトリッパなんていうのもあるんですねえ。
マグロの内臓の中ではなかなかの珍味と言われているらしいですよ。
じゃがいもと一緒にトマトや白ワインで煮ます。
イタリアンだと、こうくるかあ的な感じでなかなか美味しそう。
カルロフォルテ風という名前が付いたマグロのローストは、尾の身を厚さ1㎝の筒切りにして油で揚げ、にんにくとローリエを熱した油と白ワインで香りづけし、トマトソースとビネガーを加えて柔らかくなるまで煮る、というもの。
尾にはコラーゲンが豊富に含まれているそうなので、尾の筒切りの大きさからしてなかなかゴージャスな一品になりそう。
新鮮な中トロや大トロといった部位に適した調理方法というのももちろん知られていますが、その他の部位は、手の込んだ自家製オイル漬けにすることも多いようです。
↓
ロリギッタスに使うマグロも、ボッツォナッリアと呼ばれるオイル漬けです。
白いんげんと一緒に煮込んでファジョラータにするそうです。
ファジョラータはラテン系の国々の定番家庭料理。
日本のお母さんは思いつかないだろうなあ。
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“マグロの島、カルロフォルテ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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「マグロの島、カルロフォルテ」の記事の“サルシッチャとマグロの赤身のロリギッタス”です。
個性的なパスタが多いサルデーニャの、予想の斜め上を行く意外な形のパスタ。
生地を細長く伸ばすところまでは普通のパスタの作り方ですが、そこから先が個性的。
↓
乾麺でも使うのかと思ったら、リチェッタは麺を手作りするところから始まりました。
そしてこれが意外と簡単。
出来上がりは、サルデーニャの家庭料理の濃厚な香りが漂ってきそうなパスタです。
で、今回は、サルデーニャのマグロの島、カルロフォルテの料理として紹介されているリチェッタなので、当然マグロが入っています。
マグロのパスタなんて珍しいなあ、と思ったのですが、数々のマグロ料理のリチェッタを訳しているうちに、複雑な気持ちになりましたよ。
私たちが知っているマグロ料理とは、まったく違うのです。
何しろ、一昔前まで、島で水揚げされたクロマグロの美味しいところは、全部日本に輸出されていたのです。
島のマグロの食文化は、日本人が買わない、つまり、食べない部位を、いかに美味しく食べるか、という工夫からすべてが始まっているのです。
日本人が食べないマグロの部位って、どこだと思います?
マグロの内臓や尾、または赤身のオイル漬けや塩漬けの干物です。
例えば、干した胃袋はベルと呼ばれています。
マグロのトリッパなんていうのもあるんですねえ。
マグロの内臓の中ではなかなかの珍味と言われているらしいですよ。
じゃがいもと一緒にトマトや白ワインで煮ます。
イタリアンだと、こうくるかあ的な感じでなかなか美味しそう。
カルロフォルテ風という名前が付いたマグロのローストは、尾の身を厚さ1㎝の筒切りにして油で揚げ、にんにくとローリエを熱した油と白ワインで香りづけし、トマトソースとビネガーを加えて柔らかくなるまで煮る、というもの。
尾にはコラーゲンが豊富に含まれているそうなので、尾の筒切りの大きさからしてなかなかゴージャスな一品になりそう。
新鮮な中トロや大トロといった部位に適した調理方法というのももちろん知られていますが、その他の部位は、手の込んだ自家製オイル漬けにすることも多いようです。
↓
ロリギッタスに使うマグロも、ボッツォナッリアと呼ばれるオイル漬けです。
白いんげんと一緒に煮込んでファジョラータにするそうです。
ファジョラータはラテン系の国々の定番家庭料理。
日本のお母さんは思いつかないだろうなあ。
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“マグロの島、カルロフォルテ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月20日月曜日
フェデリコ・ヴァリチェンティシェフ
今日は、イタリア料理業界の最先端とは無縁の地方の村を紹介します。
ずばり、バジリカータのポッリーノ国立公園です。
イタリア人でさえ、よく知らないというバジリカータの、国立公園の、標高1000m以上の山の中にあるド田舎、もとい、大自然に囲まれた古くて素晴らしい集落です。
この村までたどり着くには、道なき道を、困難を乗り越えて進まなくてはなりません。
このド田舎、もとい、まだ人に知られていない美しい村、テッラノーヴァ・デル・ポッリーノで
一番有名な店(褒めてます)が、今回紹介するシェフの店、リストランテ・ティピコ・ルナ・ロッサです。
テッラノーヴァ・デル・ポッリーノ
↓
なかなか素晴らしいところですね。
でも、とにかくここまでたどり着くのが大変な場所で、道の終着点のような場所なんだそうですよ。
なので、この店にやって来た人は、それだけでもう奇跡のような選択をしたと言うことができそう。
この地方は、よそ者がなかなかよりつかない場所だけに、何世紀たっても伝統が変化することなく受け継がれてきました。
人が来ないということは物流もないということで、山の中にあるので、手元にあるだけの食料で冬を生き延びなくてはならないという厳しい環境でした。
なので、あるものを工夫する知恵が伝統料理の根底には流れています。
バジリカータの人と料理
↓
一般的なイタリア料理からイメージする明るくて豊かな地中海のイメージはありませんが、現代人がとっくの昔に忘れてしまった農家の家庭料理そのものです。
流行や変化と無縁だったから、お母さんやお祖母さんから教わった料理を、娘たちは何の疑問もなく受け継いできたんだろうなあ。
リストランテ・ルナ・ロッサのフェデリコ・ヴァリチェンティシェフのリチェッタは、「総合解説」に日本語訳を載せましたが、こんなに素朴でストレートなリチェッタは、初めて見ました。
でも、どうやら村で一番のシェフは、村で一番の有名人のよう。
わざわざ旅をして毎年食べにくるというファンもいるし、
彼の店は南イタリア料理の大聖堂だとか、一生に一度は食べるべきだという人もいます。
↓
豚肉とキノコのソテーを作るシェフ。
知識の豊富さはすごいです。
バジリカータにはあなたのまだ知らないイタリア料理があるかもしれません。
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“フェデリコ・ヴァリチェンティ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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ずばり、バジリカータのポッリーノ国立公園です。
イタリア人でさえ、よく知らないというバジリカータの、国立公園の、標高1000m以上の山の中にあるド田舎、もとい、大自然に囲まれた古くて素晴らしい集落です。
この村までたどり着くには、道なき道を、困難を乗り越えて進まなくてはなりません。
このド田舎、もとい、まだ人に知られていない美しい村、テッラノーヴァ・デル・ポッリーノで
一番有名な店(褒めてます)が、今回紹介するシェフの店、リストランテ・ティピコ・ルナ・ロッサです。
テッラノーヴァ・デル・ポッリーノ
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なかなか素晴らしいところですね。
でも、とにかくここまでたどり着くのが大変な場所で、道の終着点のような場所なんだそうですよ。
なので、この店にやって来た人は、それだけでもう奇跡のような選択をしたと言うことができそう。
この地方は、よそ者がなかなかよりつかない場所だけに、何世紀たっても伝統が変化することなく受け継がれてきました。
人が来ないということは物流もないということで、山の中にあるので、手元にあるだけの食料で冬を生き延びなくてはならないという厳しい環境でした。
なので、あるものを工夫する知恵が伝統料理の根底には流れています。
バジリカータの人と料理
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一般的なイタリア料理からイメージする明るくて豊かな地中海のイメージはありませんが、現代人がとっくの昔に忘れてしまった農家の家庭料理そのものです。
流行や変化と無縁だったから、お母さんやお祖母さんから教わった料理を、娘たちは何の疑問もなく受け継いできたんだろうなあ。
リストランテ・ルナ・ロッサのフェデリコ・ヴァリチェンティシェフのリチェッタは、「総合解説」に日本語訳を載せましたが、こんなに素朴でストレートなリチェッタは、初めて見ました。
でも、どうやら村で一番のシェフは、村で一番の有名人のよう。
わざわざ旅をして毎年食べにくるというファンもいるし、
彼の店は南イタリア料理の大聖堂だとか、一生に一度は食べるべきだという人もいます。
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豚肉とキノコのソテーを作るシェフ。
知識の豊富さはすごいです。
バジリカータにはあなたのまだ知らないイタリア料理があるかもしれません。
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“フェデリコ・ヴァリチェンティ”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月16日木曜日
ロイ・カゼレスシェフ
今日は今月の「総合解説」から、現在ローマで最高のシェフとみなされている人の話題です。
『ガンベロ・ロッソ』の2014年の記事です。
その人は、ローマのレストラン、メタモルフォジ(店のwebページはこちら)のロイ・カゼレスシェフ(facebookはこちら)です。
彼はボゴタ生まれのコロンビア人。
母親と一緒にイタリアにやってきて、20年前に皿洗いから始めて、39歳の現在はミシュラン1つ星。
ポルチーニとヘーゼルナッツの蓋つきリゾット
↓
カーチョ・エ・ペペ
↓
なるほど、都会に住むイタリア人が好きそうな料理だなあ。
ギミック、禅、ミニマリズム、未来感、こんな言葉が浮かんできます。
偉大な過去を持つ保守的な国では、こういうことを伝統料理に取り入れる勇気のある人があまりいなくて、そのアプローチが知的でスマートだと、大いに尊敬されますよね。
加えて彼の情熱的で勉強熱心な人柄。
これは批評家筋に愛されそうな料理です。
「総合解説」には彼のリチェッタを何点か載せました。
そこそこ複雑なリチェッタでしたが、特徴は、なんでもミキサーやバーミックスで攪拌することでしょうか。
この料理は、ミキサーにかけた牡蠣と、にんにくと唐辛子のソッフリットでスパゲッティをマンテカーレて、オーブンで乾燥させてミキサーにかけたムール貝の粉を散らした一品です。
今月の「総合解説」では、カゼレスシェフとは正反対の料理を作るシェフも紹介しています。
見事に正反対ですよ。
次回は彼の話です。
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“ロイ・カゼレスのパスタ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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『ガンベロ・ロッソ』の2014年の記事です。
その人は、ローマのレストラン、メタモルフォジ(店のwebページはこちら)のロイ・カゼレスシェフ(facebookはこちら)です。
彼はボゴタ生まれのコロンビア人。
母親と一緒にイタリアにやってきて、20年前に皿洗いから始めて、39歳の現在はミシュラン1つ星。
ポルチーニとヘーゼルナッツの蓋つきリゾット
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カーチョ・エ・ペペ
↓
なるほど、都会に住むイタリア人が好きそうな料理だなあ。
ギミック、禅、ミニマリズム、未来感、こんな言葉が浮かんできます。
偉大な過去を持つ保守的な国では、こういうことを伝統料理に取り入れる勇気のある人があまりいなくて、そのアプローチが知的でスマートだと、大いに尊敬されますよね。
加えて彼の情熱的で勉強熱心な人柄。
これは批評家筋に愛されそうな料理です。
「総合解説」には彼のリチェッタを何点か載せました。
そこそこ複雑なリチェッタでしたが、特徴は、なんでもミキサーやバーミックスで攪拌することでしょうか。
この料理は、ミキサーにかけた牡蠣と、にんにくと唐辛子のソッフリットでスパゲッティをマンテカーレて、オーブンで乾燥させてミキサーにかけたムール貝の粉を散らした一品です。
今月の「総合解説」では、カゼレスシェフとは正反対の料理を作るシェフも紹介しています。
見事に正反対ですよ。
次回は彼の話です。
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“ロイ・カゼレスのパスタ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月13日月曜日
ヴェーラ・ピッツァ・ナポレターナ
クレアパッソのホームページでも先日ご案内しましたが、品切れ中だったお勧め本、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』が再入荷しました。
Associazione Vera Pizza Napoletanaの本です。
本を紹介する動画。
↓
偶然ですが、今月の「総合解説」 には、この協会の創立30周年の記事を載せています。
『ガンベロ・ロッソ』誌の記事です。
この協会は、1984年に、ナポリピッツァの伝統を受け継ぐことを目的に、17軒の家族が集まって設立されました。
最初は66軒だった会員は、30年後の2014年には、イタリアと世界で合わせて500軒以上になりました。
協会の学校では、イタリア人、外国人合わせて毎年120人以上が学んでいるそうです。
本物のナポリ・ピッツァを広めるために、使わなくてはならない材料を規定し、その製品を保証するために大学の農学部と共同で品質が保証できる農家や生産者のリストを作り、さらに、ナポリピッツァのファンからなるClub Amici della Vera Pizza Napoletanaという消費者のご意見番組織も作りました。
さらには、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』のような内容の詰まった本を出版して、本物のナポリピッツァを作る秘訣を、惜しむことなく、すべてさらけ出しています。
ナポリピッツァについて熱く語る会員からは情熱とブライドを感じます。
↓
ピッツァが世界中に広まるにつれて、オリジナルのアイデンティティーが薄まるのは、ある意味宿命のようなもの。
でも、協会では、ナポリピッツァは地中海の伝統と結びついた食べ物でなくてならないと主張しています。
シーフードのピッツァはOKでも、神戸ビーフのピッツァはノーだそうです。
ところが面白いことに、シンプルで純粋な食材を使うことに慣れていて、品質を上げることに情熱を燃やす日本のような国では、会員は54軒(2014年)で、ナポリピッツァは大いに受け入れられているのですが、脂肪分が多い料理が好まれる国では苦戦していて、ブラジルでは7軒、そしてなんとドイツでは、わずか1軒だそうですよ。
わざわざ高い輸入品を使ってオリジナルの味を尊重するより、自分たちの馴染みの味のものを作るほうがよい、という考えが、世界中でいかに根強いか、明確に分かる数字です。
寿司やラーメンも、放っておくと、どんどん粗悪コピー品が出回るのでしょうね。
ナポリやイタリアのピッツァ業界の活動は素晴らしいと常々思っていたのですが、実は日本は、ナポリピッツァへの理解と受け入れに関しては優等生だったのですね。
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“ピッツァ・ナポレターナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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Associazione Vera Pizza Napoletanaの本です。
本を紹介する動画。
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偶然ですが、今月の「総合解説」 には、この協会の創立30周年の記事を載せています。
『ガンベロ・ロッソ』誌の記事です。
この協会は、1984年に、ナポリピッツァの伝統を受け継ぐことを目的に、17軒の家族が集まって設立されました。
最初は66軒だった会員は、30年後の2014年には、イタリアと世界で合わせて500軒以上になりました。
協会の学校では、イタリア人、外国人合わせて毎年120人以上が学んでいるそうです。
本物のナポリ・ピッツァを広めるために、使わなくてはならない材料を規定し、その製品を保証するために大学の農学部と共同で品質が保証できる農家や生産者のリストを作り、さらに、ナポリピッツァのファンからなるClub Amici della Vera Pizza Napoletanaという消費者のご意見番組織も作りました。
さらには、『ファリーナ・アクア・リエビト・サーレ・パッシオーネ』のような内容の詰まった本を出版して、本物のナポリピッツァを作る秘訣を、惜しむことなく、すべてさらけ出しています。
ナポリピッツァについて熱く語る会員からは情熱とブライドを感じます。
↓
ピッツァが世界中に広まるにつれて、オリジナルのアイデンティティーが薄まるのは、ある意味宿命のようなもの。
でも、協会では、ナポリピッツァは地中海の伝統と結びついた食べ物でなくてならないと主張しています。
シーフードのピッツァはOKでも、神戸ビーフのピッツァはノーだそうです。
ところが面白いことに、シンプルで純粋な食材を使うことに慣れていて、品質を上げることに情熱を燃やす日本のような国では、会員は54軒(2014年)で、ナポリピッツァは大いに受け入れられているのですが、脂肪分が多い料理が好まれる国では苦戦していて、ブラジルでは7軒、そしてなんとドイツでは、わずか1軒だそうですよ。
わざわざ高い輸入品を使ってオリジナルの味を尊重するより、自分たちの馴染みの味のものを作るほうがよい、という考えが、世界中でいかに根強いか、明確に分かる数字です。
寿司やラーメンも、放っておくと、どんどん粗悪コピー品が出回るのでしょうね。
ナポリやイタリアのピッツァ業界の活動は素晴らしいと常々思っていたのですが、実は日本は、ナポリピッツァへの理解と受け入れに関しては優等生だったのですね。
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“ピッツァ・ナポレターナ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月9日木曜日
古代小麦
今日は、ブログでも度々取り上げている古代小麦の話です。
やはり、イタリア料理を語るときに小麦は避けては通れません。
中でも、古代小麦の歴史は興味深いものです。
『サーレ・エ・ペペ』の記事によると、1世紀前まで栽培されていた小麦品種は400以上あったのに
今知られているのは10品種以下という現実に、ちょっとびっくり。
そしてこれだけ品種が減った大きな原因は、1940年代の“緑の革命”の影響だそうですよ。
緑の革命って、学校でも教わるそうですが、完璧に忘れていました。
収穫量が多くて機械化に適した、たっぷりの肥料や殺虫剤を必要とする品種を作り出そうとした、とにかく大量生産優先の、今にして思えば、ちょっと信じられない時代があったんですねえ。
それだけ飢餓が深刻だったということです。
こんな品種が優先される時代も生き延びた古代小麦。
オリジナルの姿を残し、穂は背が高く伸び、抗酸化物質、タンパク質、ミネラルが豊富で、グルテンは控えめ。
そんな特徴があります。
記事によると、小麦を硬質と軟質に区別するようになったのは1900年代初め。
軟質小麦の粉は、いわゆる00タイプに分類されている小麦粉。
イタリアの軟質小麦の代表的な古代小麦はジェンティル・ロッソという品種。
1930年代には、イタリアで最も多く栽培されていた品種でした。
天然酵母のサワードウに適しています。
グルテンが少ないのであまりふわふわにはなりませんが、香ばしいパンになりました。
硬質小麦の粉はセーモラ。
南イタリアのパスタの原料です。
代表的な硬質小麦の古代小麦は度々紹介してきたセナトーレ・カッペッリ。
もっとも普及していたのは、粒のまま食べることも多いピッコロ・ファッロ。
この他に、ファッロ・スペルタという品種もあります。
ファッロはエンキルやエインコルンという商品名で流通することもありました。
アメリカ人が名付けたカムットとという古代小麦もあります。
トゥンミニアという硬質小麦の名前も時々聞きます。
現在もイタリアで生き延びている主な古代小麦は、こんなところです。
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“小麦”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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やはり、イタリア料理を語るときに小麦は避けては通れません。
中でも、古代小麦の歴史は興味深いものです。
『サーレ・エ・ペペ』の記事によると、1世紀前まで栽培されていた小麦品種は400以上あったのに
今知られているのは10品種以下という現実に、ちょっとびっくり。
そしてこれだけ品種が減った大きな原因は、1940年代の“緑の革命”の影響だそうですよ。
緑の革命って、学校でも教わるそうですが、完璧に忘れていました。
収穫量が多くて機械化に適した、たっぷりの肥料や殺虫剤を必要とする品種を作り出そうとした、とにかく大量生産優先の、今にして思えば、ちょっと信じられない時代があったんですねえ。
それだけ飢餓が深刻だったということです。
こんな品種が優先される時代も生き延びた古代小麦。
オリジナルの姿を残し、穂は背が高く伸び、抗酸化物質、タンパク質、ミネラルが豊富で、グルテンは控えめ。
そんな特徴があります。
記事によると、小麦を硬質と軟質に区別するようになったのは1900年代初め。
軟質小麦の粉は、いわゆる00タイプに分類されている小麦粉。
イタリアの軟質小麦の代表的な古代小麦はジェンティル・ロッソという品種。
1930年代には、イタリアで最も多く栽培されていた品種でした。
天然酵母のサワードウに適しています。
グルテンが少ないのであまりふわふわにはなりませんが、香ばしいパンになりました。
硬質小麦の粉はセーモラ。
南イタリアのパスタの原料です。
代表的な硬質小麦の古代小麦は度々紹介してきたセナトーレ・カッペッリ。
もっとも普及していたのは、粒のまま食べることも多いピッコロ・ファッロ。
この他に、ファッロ・スペルタという品種もあります。
ファッロはエンキルやエインコルンという商品名で流通することもありました。
アメリカ人が名付けたカムットとという古代小麦もあります。
トゥンミニアという硬質小麦の名前も時々聞きます。
現在もイタリアで生き延びている主な古代小麦は、こんなところです。
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“小麦”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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2016年6月6日月曜日
ブレーメの玉ねぎ
今日はイタリア便りです。
それではSegnalibroさん、お願いしまーす。
ブレーメのパドリーノに会いに行こう、と急に相方が言い出しました。
パドリーノとは、洗礼式の時に立ち会い証人になってもらい、一生のお付き合いをお願いする大事な人。辞書には、教父、代父とあります。
彼のパドリーノとマドリーナは、両親の友人ご夫婦。子供の頃、毎年パスクアの時期には、びっくりするほど大きな卵チョコをプレゼントしてくれたのだそうです。
マドリーナは10年前に亡くなってしまったのですが、来年80歳を迎えるパドリーノはご健在。二回り歳の離れたルーマニア人の妻迎え、まだまだ人生を謳歌しています。
たまには顔を見せに来なさい、と直球では言いませんが、最近スマホの操作を覚えたらしく、毎朝欠かさず画像付きのメッセージを送って来るので、数年ぶりに会いに行かなければならないと思ったようです。
ブレーメって、ブレーメンの音楽隊のブレーメン?ドイツ??
と思ったら、ドイツのブレーメンはイタリア語でBrema。パドリーノの住むBremeはロンバルディア州パヴィア県にある、人口約800人のとってものどかな町でした。
この町の名物は赤玉ねぎ。毎年6月の第2、3日曜には、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎ祭りが行われます。(写真はすべてお借りしています)
De.C.Oという言葉を初めて聞きましたが、これはDenominazione Comunale di Origineの略。
地方自治体がお勧めする、その土地に由来するプライベートブランドで、原産地呼称を名乗りますが、DOPなどとは異なり、商標として流通する名称ではないのだそうです。
玉ねぎがイタリアにやってきたのは、おそらくギリシャローマ時代。当時は薬として使われていたようです。
役場のホームページによると、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎの起源は西暦906年。ピエモンテのノヴァレーザ修道院からやってきた修道士達が肥沃なこの地をたいそう気に入り、耕作を始めたのだそうで、ブレーメの赤玉ねぎは2008年6月からDe.C.Oを名乗っております。
イタリアで赤玉ねぎというと、真っ先に思い浮かぶのがカラブリア州トロペアの赤玉ねぎですが、ブレーメの赤玉ねぎは、ちょっと押し潰したようなこんな形をしています。
パヴィア大学やミラノ大学、ボローニャ大学にトロペアとの違いを科学的に分析してもらったところ、両者はとてもよく似ているけれど、ブレーメの玉ねぎの方が甘味があるという結果が出たのだそうです。
さて、このお祭りでは前菜からドルチェまで、ブレーメの玉ねぎをふんだんに使ったお料理が振舞われますが、一番人気はおそらくこちら、PRIMAVERA Pizza Bremeseブレーメ風、春を感じる本物のピザ。
新玉ねぎを使ったピザ、これはおいしいに違いありません。
これはぜひ行かなければと思ったら、パドリーノは今年、ルーマニアへバカンスに出かけてしまい不在。来年以降に持ち越しです。
ブレーメの赤玉ねぎは、全国テレビのグルメ旅番組の取材も受けているそうです。
イタリアのグルメ番組の好きなところは、レストランではなく、おいしい生産者への取材が主であるということ。何がどこでどのように作られるのかが分かって、とても面白いです。
ブレーメの回、見逃しているからネットで探さなきゃ!
Segnalibroさん、Grazie。
パドリーノにマドリーナ、素敵な習慣ですね。
親戚のおじさん、おばさんとサンタクロースが一緒になったみたい。
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それではSegnalibroさん、お願いしまーす。
ブレーメのパドリーノに会いに行こう、と急に相方が言い出しました。
パドリーノとは、洗礼式の時に立ち会い証人になってもらい、一生のお付き合いをお願いする大事な人。辞書には、教父、代父とあります。
彼のパドリーノとマドリーナは、両親の友人ご夫婦。子供の頃、毎年パスクアの時期には、びっくりするほど大きな卵チョコをプレゼントしてくれたのだそうです。
マドリーナは10年前に亡くなってしまったのですが、来年80歳を迎えるパドリーノはご健在。二回り歳の離れたルーマニア人の妻迎え、まだまだ人生を謳歌しています。
たまには顔を見せに来なさい、と直球では言いませんが、最近スマホの操作を覚えたらしく、毎朝欠かさず画像付きのメッセージを送って来るので、数年ぶりに会いに行かなければならないと思ったようです。
ブレーメって、ブレーメンの音楽隊のブレーメン?ドイツ??
と思ったら、ドイツのブレーメンはイタリア語でBrema。パドリーノの住むBremeはロンバルディア州パヴィア県にある、人口約800人のとってものどかな町でした。
この町の名物は赤玉ねぎ。毎年6月の第2、3日曜には、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎ祭りが行われます。(写真はすべてお借りしています)
De.C.Oという言葉を初めて聞きましたが、これはDenominazione Comunale di Origineの略。
地方自治体がお勧めする、その土地に由来するプライベートブランドで、原産地呼称を名乗りますが、DOPなどとは異なり、商標として流通する名称ではないのだそうです。
玉ねぎがイタリアにやってきたのは、おそらくギリシャローマ時代。当時は薬として使われていたようです。
役場のホームページによると、ブレーメDe.C.Oの赤玉ねぎの起源は西暦906年。ピエモンテのノヴァレーザ修道院からやってきた修道士達が肥沃なこの地をたいそう気に入り、耕作を始めたのだそうで、ブレーメの赤玉ねぎは2008年6月からDe.C.Oを名乗っております。
イタリアで赤玉ねぎというと、真っ先に思い浮かぶのがカラブリア州トロペアの赤玉ねぎですが、ブレーメの赤玉ねぎは、ちょっと押し潰したようなこんな形をしています。
パヴィア大学やミラノ大学、ボローニャ大学にトロペアとの違いを科学的に分析してもらったところ、両者はとてもよく似ているけれど、ブレーメの玉ねぎの方が甘味があるという結果が出たのだそうです。
さて、このお祭りでは前菜からドルチェまで、ブレーメの玉ねぎをふんだんに使ったお料理が振舞われますが、一番人気はおそらくこちら、PRIMAVERA Pizza Bremeseブレーメ風、春を感じる本物のピザ。
新玉ねぎを使ったピザ、これはおいしいに違いありません。
これはぜひ行かなければと思ったら、パドリーノは今年、ルーマニアへバカンスに出かけてしまい不在。来年以降に持ち越しです。
ブレーメの赤玉ねぎは、全国テレビのグルメ旅番組の取材も受けているそうです。
イタリアのグルメ番組の好きなところは、レストランではなく、おいしい生産者への取材が主であるということ。何がどこでどのように作られるのかが分かって、とても面白いです。
ブレーメの回、見逃しているからネットで探さなきゃ!
Segnalibroさん、Grazie。
パドリーノにマドリーナ、素敵な習慣ですね。
親戚のおじさん、おばさんとサンタクロースが一緒になったみたい。
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2016年6月2日木曜日
クイリナーレ宮殿
朝、テレビを見ていたら、今日、6月2日は共和国記念日でイタリアでは祝日だと言っていました。
そこで、今日のお題は、今月の「総合解説」で取り上げている“大統領の厨房”の記事についてに急遽変更。
まず、記事は2013年の話です。
当時の大統領は、ジョルジョ・ナポリターノ氏。
その名の通り、ナポリ出身の人でした。
彼は2015年1月に辞任し、現在はパレルモ出身のセルジョ・マッタレッラ氏が大統領。
ちなみに、ナポリターノ大統領時代の総料理長、ファブリツィオ・ボーカ氏は、大統領が変わったからといって一緒に首になることはなく、新大統領の元でもシェフをしています。
彼は料理学校卒業後、国の内外のスタージュを経て、23歳の時からずっとクイリナーレ宮殿勤めで歴代大統領の料理を作ってきた人。
9年間大統領を務めたナポリターノ大統領は、ナポリ出身だけあって、オーソドックスなトマトのスパゲッティが大好物でした。
こちらのページのインタビューによると、大統領のトマトのスパゲッティには国産の3種類のトマトを使ったそうです。
オイルやにんにくの産地も決まっていました。
パスタはグラニャーノのパスタをチェルヴィアの塩を加えた湯でゆでました。
パスタに散らすパルミジャーノは38ヵ月熟成のもの。
イタリアの大統領官邸は、ローマの7つの丘のうち一番高いクイリナーレの丘にあるクイリナーレ宮殿です。
下の動画は1月7日の国旗の日のクイリナーレ宮殿の儀仗兵交代。
規律正しくきちっと整列して、一糸乱れぬ胸甲騎兵の行進。
黒い馬と金色の甲冑、兜のポニーテール、美しすぎる。
今日も行われますよー。
↓
あの兜はこうなってます。
ドラゴンとたてがみの兜というデザイン。
↓
入隊資格は身長190㎝以上。
なのでこの身長差。
コラッツィエーリ(胸甲騎兵)を初めて見たときは、あまりにかっこよくて異次元の生物のようでドキドキしたなあ。
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“大統領の厨房”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年6月号に載っています。
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