今日は今月の「総合解説」の地方料理2品目、チェーチのファリナータの話です。
ファリナータはリグーリア(ジェノヴァ)の料理ですが、トスカーナのチェチーナや、プロヴァンスのソッカなど、そっくりな料理が各地にあります。
ファリナータ
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チェチーナ
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ソッカ
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三者の共通点は、テストと呼ばれる浅い型で焼くこと。
現代版テスト。
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クレープや薄焼き卵も焼けます。
粉を水で溶いて生地にするというのは、人類がかなり昔に覚えた技術ですよね、多分。
粉に水を加えてこねればパスタになりそうですが、粉が軟質小麦粉だと、グルテンが少なくて固まりません。
チェーチの粉もグルテンが少ない粉。
軟質小麦粉を固めてパスタにするには、卵や湯を加えるなどしてタンパク質を粘らせてつなげるという科学的な工夫が必要です。
でも、型に入れて焼けば、まとまらなくても問題ありません。
という訳で、おそらく、その起源はパスタより古いのではないでしょうか。
しかも、パスタよりずっと質素。
テストさえあればできます。
ちなみに、とうもろこしのファリナータというのもあります。
とうもろこしの粉もグルテンがないですよね。
そういえば、小麦粉と水の生地をテストで焼いた料理がありました。
テスタローリです。
偶然、今月の「総合解説」では“テスタローリ”の記事も訳しています。
テスタローリ
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出来上がりだけ見れば、パスタですね。
軟質小麦粉と水のパスタです。
でも、分類的には無酵母パン、あるいは発酵させないフォカチャ。
記事の中にもありますが、この料理が生まれた当時のテストは、テラコッタ製でした。
タステローリと同じポデンツァ地方のパニガッチョという料理は、テラコッタ製のテストで作ります。
軟質小麦粉と水の生地で作るパニガッチョ。
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ちなみに、写真が秀逸なトスカーナ料理の本、“Gli illustrati”シリーズ『ラ・クチーナ・トスカーナ』には、チェチーナもとうもろこし粉のファリナータも、パニガッチョも、全部載っています。
軟質小麦粉の食文化を発展させた国は、グルテンの少ない小麦粉と水の生地をどう変化させていったのか・・・、興味深いテーマです。
軟質小麦粉と硬質小麦粉は、それぞれが根付いた地域に大きく違う食文化をもたらしたのですねー。
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“チェーチのファリナータ”、“テスタローリ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年5月号に載っています。
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