このとろのリゾットの話で、参考にしている本があります。
その名も『リーゾ』。
ピエモンテ州とイタリアの米業界が総力を結集して作った立派で豪華な本です。
後援者たちの一人、ピエモンテ・ヴィニャイオーリ協会会長(当時)の寄稿文は、
「子供のころから、母が、米は水の中で生まれてワイン中で死ぬ のよ、というのを聞いて育った」という文章から始まります。
こういった幼い頃の体験から、ピエモンテのぶどう栽培農家の組合も、この本に全面協力することを決めたのだそうです。
この本の米の説明の中で、ずっと頭に引っかかっていた文章がありました。
それは、
「外国では、米は基本的に粒の長さによって分類される。
長・中・短の3種類だ。
一方イタリアでは市場の習慣から4つに分類している。
コムーネ、セミフィーノ、フィーノ、スーペルフィーノの4つだ。
これは、品質による分類ではなく、完全に外見による分類だ」
イタリアには、長・中・短の他に、長太と長細という分類もあるのです。
日本は米の生産量が多い割には種類は偏っていて、その結果、米料理も偏ってしまいました。
私たちが普段食べているのは短粒種。
イタリアの分類でいうと、一番短いコムーネ(長さ5.4㎜以下)が近いでしょうか。
でも、そもそも米の分類の仕方が違うので、そのものずばりではありません。
コムーネは、ゆでるとでんぷんが溶け出るので、ミネストラ、ティンバッロ、ドルチェに適している品種です。
一方、リゾット用の米はスーペルフィーノです。
4つに分類した中で一番細長い品種です。
ゆでてもでんぷんははあまり溶け出さず、ねばらないので米が一粒ずつ分かれています。
短粒種が主流の日本では、細長い米というと、米不足の時のタイ米ぐらいしか口にした記憶がないし、しかも当時はまずいと不人気でした。
あの騒動で、図らずも、日本人の遺伝子の中には、細長い米をおいしく食べる能力が乏しいということが明らかになりましたねー。
だいたい、食べるものが無い時に、代替品として手に入れた食材を活かせないで、日本古来の食べ方に固執してまずいと言うのは、いかがなものでしょうねー。
日本食は外国の食文化を取り入れて豊かになってきたという説も、あまり説得力無いなあ。
あれ以来、私の頭の中では、日本人は米に関しては超保守的という固定概念が出来上がりました。
一方イタリアでは、長・中・短という一般的な特徴を持った米以外にも、自分たちの食文化、リゾットに合わせて独自の品種を改良するほど米に対する姿勢が柔軟です。
もちろん日本食に合う米もかなり前から流通しています。
なので、リゾットの話をする時は、ジャポニカ米のことはきっぱり忘れて、長細粒の米を念頭に置いてください。
日本の米で作ったリゾットは、根本的に別の料理。
あれ、また余計な話が長くなってしまったー。
次回こそは、リゾット・アッラ・チェルトジーナの話です。
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“リゾット”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年3月号に載っています。
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