2015年10月22日木曜日
『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』
今日は今月のお勧め本、“イルストラーティ”シリーズ、『ラ・クチーナ・ディ・ローマ・エ・デル・ラツィオ』の紹介です。
本の表紙はローマ野菜の温製サラダですが、裏表紙はがらっと趣を変えて、子羊を見守るように集まっている羊の群れ。
羊の白い毛のフワフワ感と松並木の迫力が伝わって来る中世の絵のような写真です。
このローマやラツィオの地元感が、この料理書の特徴です。
本は、「パン屋通り」という番地表示の写真から始まって、最初の料理はいちじくと生ハムのピッツァ・ビアンカ、そしてブルスケッタとそのバリエーション、スップリ、ズッキーニの花のフリット、ポルケッタ、ロッショーリのピッツァ・ロッサと続きます(他にも料理はあります)。
Merendeと名付けられたこの章は、ローマが世界に誇るスナックやストリートフードの章です。
早くもがっちり引き込まれますねえ。
続いてMinestraの章。
パスタ・エ・チェーチから始まって、アックアコッタ、エイひれのミネストラなど、家庭的なスープがずらっと続きます。
そしてpaste asciutte。
パスタは、やっぱりカーチョ・エ・ペペから。
カーチョ・エ・ペペの解説文は
「カーチョ・エ・ペペには1001通りのバージョンがあり、美味しく作る秘訣は1002個あると言われています」で始まります。
研究のしがいがあるパスタのようですね。
次はカルボナーラ。
普通、パスタの写真は、テーブルの上に置かれた皿に盛られたパスタがアップになっているものですが、この本は、なぜか、カメラマンの知り合いたちがそのパスタを食べている姿なんです。
カルボナーラは白いタンクトップを着たロングヘアの美女が、スパゲティをセクシーにフォークに巻きつけている姿。
その微笑に気を取られながらページをめくると、次は黒ぶち眼鏡をかけた中年男性が皿にかぶさるような前がみになってカメラ目線で大口を開けてトマトソースの赤いパスタを口の中に押し込んでいる写真がどーんと目に飛び込んできます。
アマトリチャーナです。
トマトソースが白いシャツに跳ねたらすぐに拭くぞ、とでもいうように、手にはナプキンを握りしめています。
はは、面白ーい、と思いながら次のページをめくると、今度は茶色のシャツを着た若者が茶色いナプキンを握りしめてグリーチャを食べています。
はっと気がついて最初の美女の写真まで戻ると、やっぱり。
白いナプキンを握りしめていました。
これは演出なのか、それとも、これがローマ人がパスタを食べる時の習慣なのか。
うーん気になる。
その後も、顔を真っ赤にしてオールドファッショングラスでワインを飲みながらブッタネスカを食べるのは胸毛もじゃもじゃのランニングシャツを着たおじさま、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは4コマ漫画風、アッラッビアータを奪い合いながら食べるのは思春期前の著者の二人の子供たち。
かと思えばパヤータのリガトーニや手打ちのフェットゥッチーネなどはプロの美しい手元をじっくり撮影。
もう大分引き込まれてますが、次の肉の章ですっかり夢中。
トリッパやアッバッキオなどの新鮮な食材は、美しいですねー。
でも、やっぱり大トリは野菜の章。
表紙の写真でもわかるように、料理がアートのよう。
というか、アーティチョーク、プンタレッレといったローマの野菜が絵になるのか。
ドルチェの章では、憧れのマリトッツィを発見して、ローマで食べたい、という思いを強くするのでした。
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