今日から「総合解説」2012年12月号の補足解説です。
まず最初は、今月号で一番印象に残った一言。
ボローニャで手打ちパスタ店を家族で経営するスフォリーナことパスタ打ち職人の、モニカ・ヴェントゥーリさんの言葉です。
「トルテッリーニは1個2gに満たない重さしかないし、それも大部分が詰め物の重さです」
1個2gのピーナスのおへそ。
まさに小さな傑作です。
トルテッリーニは、とにかく薄~い生地で作るんですねー。
何故かというと、主役は詰め物なんです。
詰め物を味わうために、包む生地はできる限り薄く伸ばします。
そもそも、手打ちパスタには、ボローニャのタリアテッレやトルテッリーニに代表される軟質小麦粉のパスタと、プーリアのオレッキエッテに代表される硬質小麦粉のパスタがあります。
軟質小麦粉のパスタの中でも、タリアテッレのように平らに伸ばしてカットする詰め物をしないパスタはパスタ・リッシャlisciaと呼び、トルテッリーニのように詰め物をするものをパスタ・リピエーナpasta ripienaと呼びます。
パスタ・リピエーナ用の生地は、薄く、細かく成形して上下の生地をくつっけて閉じるので、パスタ・リッシャより柔らかくする必要があります。
これが、物理的に、硬質小麦粉のパスタに詰め物入りのパスタが少ない原因でもあります。
つまり、指でひっかくパスタが南イタリア独特のものだとしたら、詰め物入りパスタは、北イタリアの食文化が生み出したパスタなのです。
さらに、詰め物入りパスタには、詰め物を包む方法がいくつかあります。
一番シンプルなのは、平らな2枚の生地で挟んで周囲をカットする方法。
トルテッリーニは、これからさらにひと手間かけてカーブさせて端をつなげるという、ドッピア・キウズーラdoppia chiusuraという製法で作ります。
この方法だと詰め物を確実に閉じ込めることができます。
こうしてビーナスのおへそが誕生しました。
これだけ手間をかけているのに、トルテッリーニのようにブロードに入れるタイプのパスタは、ラーメンと同じで、スープが驚くほど美味しいと、トルテッリーニの存在が忘れ去られてしまうという悲劇も。
詰め物もパスタもスープも手の込んだ一品、ボローニャのクリスマスのご馳走に欠かせない料理だということもよくわかります。
長い動画ですが、3人がかりでとても詳細にトルテッリーニの作り方を説明しています。
↓
クリスマスの美味しいブロードに欠かせないのが去勢鶏。
次回はその話でも。
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“トルテッリーニ”の記事の解説は「総合解説」2012年12月号に載っています。
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