オルゾは、もっとも血糖値が上がりにくい穀物であるだけでなく、かのヒポクラテスは、頭にも体にもよい食べ物と信じていました。
聖書にも、大麦のパンと魚が登場する有名な話があります。
内容はとても抽象的で、私には理解不能なので、興味のある人はググってみてください。
聖書に書かれているパンとは、どうも大麦のパンのことらしいのですね。
紀元前9000~10000年頃から人類が栽培していたという穀物、大麦。
エジプト人が最初に造ったビールも大麦を発酵させたもの。
小麦が育たないような土地でも栽培できます。
さて、これをイタリア料理として食すなら、どんなリチェッタがあるのでしょうか。
まず、大麦を使った地方料理が有名なのは、トレンティーノ=アルト・アディジェ地方。
大麦のズッパやミネストラが名物料理の一つです。
プーリアでは、パンだけでなく、フリゼッレもオルゾの粉で作る場合があります。
フリゼッレ
↓
それでは恒例、
たいていの地方料理は載っている便利なシリーズ、“ラ・グランデ・クチーナ・レジョナーレ・イタリアーナ”シリーズの、『トレンティーノ=アルト・アディジェ』から、オルゾのミネストラのリチェッタを訳してみます。
オルゾのミネストラMinestra di orzo |
材料/4人分 オルゾ・・300g じゃがいも・・2個 にんじん・・2本 セロリ・・1本 ポロねぎ・・1本 生のさやむきインゲン豆・・100g スモークした肉・・200g おろした硬質チーズ EVオリーブオイル 塩、こしょう おろしたパルミジャーノ |
・全部の野菜を小さく切って豆、肉と一緒に鍋に入れ、水1.5リットル、塩を加える。 ・蓋をして沸騰させ、オルゾを加えて時々かき混ぜながら最低3時間煮る。 ・肉を取り除き、油を回しかけて好みでチーズを散らす。 ※トレンティーノの伝統料理にはオルゾがベースのスープがたくさんあるが、これはその中の一つ。 ブロードに入れて煮たスモーク肉はセコンド・ピアットとして食べる。 |
オルゾとたっぷりの野菜や豆が入ったスープは、代表的な家庭料理のスープでもあります。
そこで、どの料理も美味しそうなイタリア家庭料理の本、『マンマ・ミーア』からも一品、訳してみます。
エルベッテとトマト入りのオルゾのズッパZuppa d'orzo con erbette e pomodori |
材料/4人分 皮むきオルゾ・・250g 玉ねぎ・・1個 にんじん・・2本 セロリ・・1本 赤くて締まったトマト・・2個 エルベッテ・・1束 ゆでたいんげん豆(ボルロッティ)・・150g EVオリーブオイル バジリコ 塩、こしょう |
・香味野菜を小角切りにしてさっと炒め、オルゾを加えて水で覆う。 ・20分煮たらいんげん豆と粗く刻んだエルベッテを加えて10~15分煮る。 ・最後に小角切りにしたトマトを加える。 ・熱々のズッパを皿に注ぎ、オリーブオイルとこしょうをかける。仕上げにちぎったバジリコを散らしてもよい。 ※こつは弱火でじっくり煮ること。 スモークした肉の小片を加えてもよい。理想的なのは豚足や生ハムの骨だが、パンチェッタやサルシッチャでもよい。 煮直すと美味しくなる。 |
特殊な食材や手間暇のかかる地方料理も、家庭料理としてのアレンジが加わると、見事にお手軽で作りやすそうな料理になるものですね。
ほんとにこの本、優秀でお勧めです。
それにしても、グリセミック指数というのは世界中で注目されているのですね。
一日に一食ぐらいは大麦のスープ食べるのもいいかも。
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“オルゾ”の記事の日本語訳は「総合解説」2012年11月号に載っています。
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