今日はリグーリアの話。
下の2枚の写真は、リグーリアの世界遺産にも登録されている町、ポルトヴェーネレです。
リグーリアのリヴィエラと呼ばれる沿岸部は、現実のものとは思えないような美しい風景が続きます。
次の写真はジェノヴァを海から見た風景。
都市の背後に山が迫っています。
海と山にはさまれた細い土地がリグーリアです。
海には立派な港ができて、リグーリアは、海を向いて外の世界とつながってきました。
沿岸と内陸は、距離的には近いのに、コミュニケーション的には遠く隔たっています。
ジェノヴァの町と内陸を結ぶ鉄道、ジェノヴァ-カゼッラ鉄道
内陸にちょっと入っただけで都市部とはまったく違う顔。
↓
沿岸の大都市と内陸を結ぶ小さな鉄道です。
リグーリアの沿岸部を観光で訪れると、きれいだなあ、で終わってしまいますが、今月の「総合解説」には、
「リグーリア料理は、一般的なイタリアの地方料理とは違って、歴史ではなく、地形が作った料理だ」
という深~い一文があります。
リグーリアの地形は、平地が少ない。
畑も山の急斜面に作らなくてはならないのでこんな状態。
↓
こんな段々畑では、リグーリア中の需要をまかなうだけの収穫は、とうてい望めません。
そのため、リグーリア人は、あるものなら何でも工夫して使う、という技を発達させました。
天性の節約家で、ゼロから奇跡的なまでに美味しい料理を作り出すのがリグーリア人気質なんだそうですが、これは時には、ケチと呼ばれます。
さらにもう1つ、耕すだけでも大変そうな畑ですが、地中海の恵みを受けた温暖な気候のおかげか、オリーブをはじめとする作物は、上質なものができます。
なので、沿岸と内陸が出会った時、素晴らしい化学反応が起きるのです。
ついでに言えば、西がフランス、北がピエモンテで、洗練された食文化の影響もたっぷり受けました。
そんなドケチで多面性を持つリグーリア人が作った傑作料理の一つが、フィオーリ・ディ・ズッカのリピエーニです。
これが、こうなります。
フィオーリ・ディ・ズッカ料理は色々ありますが、花を、一般的な食材を使ってボリュームのある一品料理に変えてしまうという観点で見ると、なるほど、よく工夫されています。
きれいなところだけ見ていても、本質は分らない。
チンクエテッレ。
きれいだけど、暮らすのは大変かも。
リヴィエラ・ポネンテ(西海岸)の内陸部を紹介する動画→こちら。
そういえば、リグーリア料理の話をするとき、エントロテッラ(内陸部)というワードは欠かせません。
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“フィオーリ・ディ・ズッカ、リグーリア風”のリチェッタと記事の日本語訳は、「総合解説」2012年7月号に載っています。
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