ファッロの話、続けます。
まずは、例によって、カルロ・クラッコ氏がファッロについてどんなことを書いているか、見てみましょう。
『カルロ・クラッコの地方料理』には、こうあります。
ファッロはとても重用された穀物だ。
特に南フランスではepeautreエポートルと呼ばれてリゾットにした。
クラシックなイタリアのリゾットにも欠かせなかった。
ファッロのリゾットはとても興味深い料理だ。
ファッロの粉は生パスタにも使う。
黒ずんだ色になるが、芳ばしく、美味しいパスタになる。
米の場合は割れた米粒を粉にするが、割れたファッロfarro spezzatoはズッパにすると美味しい。
煮ている間に澱粉が溶け出てとろみがつくからだ。
彼が本で紹介しているファッロのリチェッタは、ウンブリア料理の一つ、ファッロのミネストラです。
私はミネストラの香りが大好きだ。
今回の料理は、ファッロのミネストラという名前だが、ファッロはごく一部に過ぎない。
ファッロのミネストラは、ウンブリアの典型的な料理だが、トスカーナなど他の多くの場所で作られている。
例えば、ガルファニャーナやバジリカータでも定番料理だ。
しかも、ラツィオの典型的な料理でもあった。
とても古い料理で、farricelloファッリチェッロと呼ばれた。
今回紹介する料理には、ウンブリアにあるすべての豆が使われている。
ファジョーリ・リジーナ、ファジョーリ・デル・ラーゴ・トラジメーノ、テルニやオルヴィエートのそら豆、チヴィタ・ディ・カッシアのロヴェーヤ(グリーンピースに似た豆だが色は黒い)など。
どれも地元の特産品で、忘れ去られかけていたが、個性的な特徴のおかげで再び日の目を浴びた豆ばかりだ。
ミラノのシェフでも、ウンブリアの豆にも造詣が深いんですねえ。
ファッロ・スペッツァートという言葉が出てきました。
なあるほど、割り麦を使うのかあ。
参考までに、ファッロ・スペッツァートがベースの一品。
↓
『サーレ・エ・ぺぺ』の記事にもありましたが、ファッロは脱穀機を通しても外皮が取れないんだそうです。
この点が、そもそも、パン小麦とファッロの大きな違いなんですねー。
ファッロがパン小麦ほど普及しなかったのもそのせい。
石臼で挽いても効果はさほどないようなので、知らないでパン小麦みたいに脱穀しようとすると、大変な作業になるもよう。
殻つきファッロは、ファッロ・インテーロfarro intero。
脱穀したものはファッロ・デコルティカートfarro decorticato。
さらに精白してふすまを取ったものはファッロ・ペルラートfarro perlato。
殻や皮をむいたファッロは、調理時間が短くなるという利点もありますが、栄養的な特徴、特に食物繊維は多く失っていることを意味しますよね。
つまり、食物繊維があって、リゾット風調理に適しているのは皮つきのファッロ・スペッツァート、という結論ですね。
おまけの動画
ファッロ・スペッツァートのパスティエーラ。
↓
小麦の粒々した食感が楽しいパスティエーラが出来上がり。
と言うわけで、次こそはリチェッタです。
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関連雑誌;『サーレ・エ・ペペ』2012年3月号、“ガルファニャーナのファッロ”の解説は、「総合解説」2012年3月号に載っています。
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