そういえば、イタリアの地方料理で、ジェノワーズ生地のお菓子って、見かけないな~。
サクリパンティーナはジェノヴァのケーキですが、生地はパン・ディ・スパーニャです。
サクリパンティーナは、スポンジ生地とクリームを重ねる、いわゆるレイヤーケーキ。
形もクリームも段数も、バリエーションは無数にあります。
サクリパンティーナというインパクトのある名前には、文学的な由来があります。
『カルロ・クラッコの地方料理』では、“イタリア・パスティッチェーレ界の頂点、イジニオ・マッサーリから聞いた話”として、こう説明しています。
スライスしたパン・ディ・スパーニャで作るサクリパンティーナだか、その名前は文学がルーツだ。
騎士道叙事詩『狂えるオルランド』の登場人部で、サラセン人の兵士サクリパンテにちなむ。
伝統的に、がっちりした体系で自惚れ屋の男のことを、サクリパンテと呼ぶ習慣があった。
このケーキにもこの特徴が当てはまったというわけだ。
『狂えるオルランド』は(wiki)、ルネサンスの大傑作ベストセラーファンタジーなので、このドルチェを最初に作った人がこの作品の大ファンだったとしてもなんの不思議もないですねー。
検索してみたら、サクリパンテという名前は、どうやら21世紀のオタクのみなさんには、FFに出てくる武器の名前としてお馴染みな様子。
ゲーム作る人たちって、昔のファンタジーにも、造形深いよねー。
とにかく、サンリパンティーナという変わった名前のおかげで、サラセン人の兵士、サクリパンテが語源というのにはあまり異論はなさそう。
ところで、シブーストがジェノワーズの名付け親(仮)という話は前回しましたが、こちらのサイトにシブーストがスポンジ生地を作りだしたときのエピソードが載っていました。
それによると、1800年、ハンガリー皇帝軍が、ジェノヴァの近くでフランス軍を包囲していた時のことです。
ジェノヴァはフランスに支配されていたという話、覚えてますか?
包囲された町は食料不足に苦しんでいました。
そんな時、港の商店では米の粉に小麦粉を混ぜてパンを作っていました。
それを見たシブーストが、あとで小麦粉と片栗粉を混ぜてスポンジ生地を作ることを思いつき、それにジェノヴァの名前をつけた、というのです。
おーっと、ジェノヴァのパスティッチェーレがスペイン王のために作った説はどこ行ったー。
もうどうでもいいや、って気になってきました。
サクリパンティーナですが、ジェノヴァでは、ジョヴァンニ・ブレーティという人が考え出したといわれています。
ブレーティは今もあって、サクリパンテはお店の名物です。
店のwebページによると(こちら)、考え出したのは1851年。
レシピの特許も取ったそうです。
名前はやはり『狂えるオルランド』から。
でも、この店のサクリパンティーナは一般的なサクリパンティーナとは似ても似つかないもの。
どうなってるんだー。
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