2012年12月27日木曜日

バーリ県の港町

今日はプーリアの漁師町。
まず、バーリ県のモルフェッタMolfetta。

Porto Molfetta


Molfetta (BA), 1979.


モルフェッタ
 ↓


 
名物料理は貝類(ウニ、ムール貝、牡蠣、ホタテ貝など)、生魚、ズッパ・ディ・ペッシェのチャンボッ
ciambotta。
チャンボッタは野菜版が有名ですが、プーリアには魚版もあります。


次は同じくバーリ県のポリニャーノ・ア・マーレPolignano a Mare。
洞窟が有名。
「手作りジェラートと新鮮な魚のアックア・パッツァやフリットが好きな人には外せない町、魚料理の本場」(by 『クチーナ・エ・ヴィーニ』)

Polignano a Mare


ポリニャーノ・ア・マーレ
 ↓



洞窟のホテル・レストラン・グロッタ・パラッツェーゼ。
 ↓


webページはこちら


次はモノーポリMonopoli。

Monopoli


Fresh fish in the market Monopoli 14th sept 2005


ARC Monopoli Market

モノーポリ
 ↓


この町の有名レストランはコッカーロ・ビーチ・クラブ。
webページはこちら


 
 

こちらは同クラブのスシバー。 地中海のネタはダイナミック(汗)。




いいなあ。
プーリアに遊びに行きたいなあ。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月20日木曜日

プーリアの地理

プーリアの話です。

プーリアの地理をざっとチェック。

自然のままの森と断崖絶壁のガルガーノ
 ↓
 
Gargano Coast from Torre Gatterella


このガルガーノ半島の付け根には、南イタリアで最も広い平野、タヴォリエーレが広がってます。
ここは別名、イタリアの穀倉地帯。
平野の大部分が広大な小麦畑です。
プーリアの農業の特徴が、大規模農業であることを思い出します。
 ↓
distesa di grano

reporting strong wind


ガルガーノもタヴォリエーレもフォッジャ県です。
タヴォリエーレが海に浸れば、こんな風景になるかも。
これはガルガーノ半島の海岸
 ↓
Mar Adriatico from Gargano Coast


ガルガーノ半島が干上がると、こんな風景になるかも。
次は、プーリア中部、タヴォリエーレ平野の南に広がる石灰岩の高原地帯、ムルジャ。
アルベロベッロやマテーラで知られる地方ですね。
 ↓
Murgia


ムルジャ地方でも、アドリア海に面した海沿いは、豊かな漁場。
こちらは、南イタリアでも最大クラスの漁獲高を誇る、町、モルフェッタ。
ムルジャと海の間には、オリーブの産地としても知られるテッラ・ディ・バーリと呼ばれる地方がはさまっています。
 ↓
MOLFETTA - Italie



さらに南に下ると、両側がイオニア海とアドリア海という、海の真ん中の半島、サレント。

salento. dolce e salato


海、石灰岩、小麦、オリーブ・・・。
魅力の尽きない州です。
次はこの中から、魚料理で有名な町をピックアップ、の予定。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月17日月曜日

ガルガーノ地方の料理

プーリアのガルガーノ半島の話をしていますが、偶然、次回配本の「総合解説」に、この地方の記事がありました。
それによると、この地方(=フォッジャ県)は、プーリアで一番多くの観光客が訪れる地方。
国立公園でもあります。

そしてガルガーノ料理の基本の食材は、パンなんだそうです。
そういえば、プーリアには美味しいパンがありましたよねえ。
さらに、空豆と柑橘果実。

ガルガーノの名物パンの一つ、パポッシャ。
 ↓


 こちらのページによると、このパンも、ローマのパン屋のピッツァ・ビアンカと同じで、元々は竈の温度を調べるために、台にくっついて残った生地を集めてこね直し、大型のパンを焼く前に焼いていたものなんだそうです。
大型のパンは、1個で一家族の1~2週間分なので、とても大切。
失敗は許されなかったんですね。

中を空洞にして薄いパンを焼く製法は、サルデーニャのカルタ・ダ・ムジカことパーネ・カラザウと同じですね。
パーネ・カラザウよりは厚めのようです。
見るからに芳ばしそうなパンですねえ。
生ハムやオリーブオイルとの相性もよさそう。


次は、ガルガーノ地方のヴィエステの料理を紹介する動画です。
 
 ↓


メニューは、

・アンチョビのフリットのマリネ
・ブルスケッタ・ビアンカ
・ムール貝の卵とチーズ風味
・アンチョビとかぶ
・お米とじゃがいものアッラカナーテ(ティエッラ)
・カリフラワーのオレッキエッテ
・コウイカのトゥルッコリ
・野菜のソッフリットとパンのクロストーニ
・コウイカの田舎風
・サバのフィノッキエット・セルヴァティコ風味
・なすのリピエーネ
・肉とじゃがいものアッラカナーテ
・パプリカとトマトのロースト
・玉ねぎのオーブン焼き
・トマトときゅうりのサラダ


見事な地中海料理のオンパレード。

イタリア料理は、都市の周辺の農村や漁村などで地産の旬の食材を活かした料理が作られ、それが都会に伝わって洗練された一品に徐々に姿を変えていく、というパターンが多いですよね。
特に、ローマのように、町が大都会になればなるほど、変化が大きくなります。
一方で、プーリアの料理は、ほとんど変化がなさそうですねえ。
お百姓さんの家庭料理が、今でも町中に見事なまでに普及しています。

特別でも高級でもなんでもない日常の食材を、いかに美味しく食べるか。
プーリアの人には、そういうことを工夫する才能がありそう。

まだまだ美味しそうな話はたくさんありますが、詳しくは、次号が発売してからのお楽しみと言うことで、今日はここまで。





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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月13日木曜日

ペスキチのトラブッコ

プーリア(Foggia)のトラブッコの写真いただきました。
Grazie italiamamaさん!
 
「現在は使われてはおらず、よこの漁師小屋がレストランになっていてお昼はそこで。新鮮なお魚おいしかったです。
Trabuccoの真ん中に、木で作った釣り竿の糸を巻き取る器具があってとても原始的な装置です。 こういう昔ながらの人類の知恵を大事にしてかなければいけませんね。」
by italiamamaさん。 
 




いいなあ。
さすがに、この小屋の上で食事をするのはちょっと勇気がいるかもですが、海の上で食事をしてみたいとは、誰もが思うこと。
そこで、トラブッコで食事をしているような気分になれるレストランが登場です。


プーリアで、トラブッコが残っているのは、ガルガーノ半島。
イタリアの、いわゆるくるぶしの部分ですね。
その中でも、ヴィエステからペスキチの間と、ごくごく限られた一部です。

このあたり。
美しい自然に恵まれています。
空から見るトラブッコも、絶壁の上のペスキチの姿も圧巻。
 ↓

アブルッツォに近い西の端であるペスキチには、トラブッコの有名レストランが何軒かあるようです。
その一つが、italiamamaさんも訪れた(多分くるりさんも?)、アル・トラブッコ・ダ・ミミ。
店のwebページはこちら



ちょっとショックなニュースですが、このレストランの経営者で、1920年代にアブルツッォからプーリアにトラブッコを伝えた一家の一人が、今年の5月に、トラブッコの網に絡まって溺死するという事故があったようです。

ペスキチのトラブッコは、今や町の代表的な観光スポットですが、こちらのページによると、それをアブルッツォから伝えてプーリアに建てるという画期的なアイデアを実現させたのは、オッタヴィァーノ家とファザネッラ家という2つの家族(レストランのwebページによるとバッティスタ家も関わっています)。
元は船大工の家系だった一族が、のちにレストラン業で成功した訳ですが、その陰には実業家としての個性的なアイデアがあったんですねえ。
しかも、伝える時に、トラボッコじゃなくてトラブッコと伝えたみたい。

どうやら、生きるための伝統的な食文化とはちょっと違う経緯で発展してきたようですね。
でも、イベント性抜群で、なぜか観光客を惹きつけてやまないのこの建物、三浦半島とか、ディズニーシーとかにあったら、大繁盛しそう。

この小屋のおかげで、人工4500人ほどのペスキチは、世界中から大勢の人を集めているんですねえ。
トラブッコ漁で網にかかるのは、雑魚だけじゃない。
私も釣られそうです。

とは言え、ペスキチには陸にだってレストランはあります。
次回はその話。



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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月10日月曜日

トラボッコ

今日はプーリアの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。

アブルツォのアドリア海沿いの名物と言えば、ブロデットとトラブッコ。
前にも取り上げたことがありますが、ほんとに個性的ですよね。
アブルッツォの南側の海岸線は、トラボッキ海岸costa dei Trabocchiと呼ばれます。
トラボッキ海岸のトラボッコ。
 ↓
 
 
海に突き出た掘立小屋。
先端に突き出た棒に網をかけて漁をします。
岩の上に立ってます。
石の国のイタリアでは珍しい木造の建築物です。
アレッポマツという松材でできています。
丈夫で軽い木材なんだそうです。
ちょっと高い波が来たら、一瞬で海の藻屑になりそうですよねえ。
きっと、いつも穏やかな海なんだろうなあと思いきや、なんと、この小屋は、海が荒れても漁ができるように作られたそうじゃあないですか。
嵐で揺さぶられても柔軟に耐えられるように、そして壊れても、修理が簡単なように、がっちり固定はされていません。
壊れること前提?

こちらのwebページによると、最初のトラブッコは、漁師ではなく、建築知識のある農民が作ったのだろうとのこと。
そう考えると、奇跡とまで呼ばれるテクニックを駆使した建物の割には、岸の近くに網を張って雑多な魚を獲るという、かなりコストパフォーマンスが悪そうな方法も納得。
陸が不作の時に、海からちょっとした収入やタンパク源が欲しいけど、舟持ってないから漁には行けないし・・・、的な?

トラボッコの漁はこんな感じ。
 ↓


昔はこんなに大がかりでした。

あれ、プーリアの話のはずが、アブルッツォの話になっちゃった?
いえいえ、プーリアにもトラブッコはあるんです。
次こそはプーリアの話。


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関連記事“プーリアの魚料理巡り”の記事は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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2012年12月6日木曜日

リグーリアのチュッピン、ブリッダ

ブロデットのリチェッタを見てみたら、どうやら、この料理は、スープなのに水系を加えないのが特徴、ということが分かってきました。
でも、ほかの州のブロデットを見てみると、これが見事に水やフメット・ディ・ペッシェ、ワイン、ビネガーを加えるんですね。
どうやら、水を加えないというのは、アブルツォのこの地方のブロデット限定の特徴のようです。
水を加えない、野菜も必要最低限しか加えない、かき混ぜない。

例えば、このマルセーユのブイヤベースは、水を加えるというか、スープに魚を入れて煮ています。



ヴァストとジュリアノーヴァのブロデットが、これだけ有名なのには、やはり他とは違うという理由があるんですねー。

リグーリアにも個性的なズッパ・ディ・ペッシェがあります。
チュッピンciuppin。

煮汁を裏漉しする点や、材料のゴージャスさに、陸続きのフランスの影響が感じられますねえ。
海岸伝いに西に行くとマルセイユがあります。
 ↓


ブリッダburiddaはジェノヴァのズッパ・ディ・ペッシェ。
ストッカフィッソ(塩漬けしていない干ダラ)のブッリダが代表的ですが、魚のごった煮版もあります。

ブイヤベースとブロデットの中間のような一品。

アブルッツォの沿岸というと、トラブッコtrabuccoが有名ですが、この伝統はプーリアまで続いています。

Trabucco


と言うわけで、次回のお題は、プーリアの魚料理です。




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2012年12月3日月曜日

ブロデットのリチェッタ

それでは、ブロデットのリチェッタです。
ジュリアノーヴァ風もヴァスト風も、“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズ『ペッシェ』に載っています。
ちなみにこの本には、ほかにもグラード風(ゴリツィァ)、ペスカーラ風、テルモリ風(カンポバッソ)、セニガッリア風(アンコーナ)、サン・ベネデット・デル・トロント風(アスコリ・ピチェーノ)、キオッジャ風のブロデットのリチェッタが載ってます。

ジュリアノーヴァ風ブロデットは、ブロデットの本場マルケ州でも、特に有名なブロデット。
その特徴は、とにかく様々なアドリア海の魚を入れること。
この動画の解説には、3人前で7㎏の魚を使用、とあります。
 ↓



ジュリアノーヴァ風ブロデットBrodetto alla giuliese
ジュリアノーヴァのリストランテ・ベッカチェイのリチェッタです。
店のwebへージはこちら
ブロデットの写真はこちら


材料/4人分:
マトウダイ・・800gのもの1尾
アンコウ・・300gが2尾
ホシザメの切り身・・4枚
スカンピ・・4尾
ヒメジ・・4尾
エイの切り身・・4枚
シイラの頭・・500gが2個
コウイカ・・200gが2杯
シャコ・・8尾
エイの切り身・・4枚
小ガニ・・8匹
トマトソース・・500g
ピーマン・・1/4個
ににんく・・2かけ
イタリアンパセリ・・1房
赤唐辛子・・1片
EVオリーブオイル、塩
・魚はわたを取り除いて洗い、水気をふき取る。
・トマトは湯むきして粗く刻む。にんにくはみじん切りにする。ビーマンと唐辛子は細切りにする。イカは輪切りにする。これらを全部大きな浅鍋に入れ、油を回しかけて塩をする。かき混ぜて弱火で15分煮る。
・鍋に魚を重ならないように加える(この形のままサーブするので)。まずスカンピとアンコウを入れ、数分後に他の魚を加える。ヒメジは最後に加える。
・塩味を調えて5~6分煮る。仕上げにイタリアンパセリのみじん切りを散らす。


材料を揃えるのは大変そうだけど、漁師町だったら問題なさそう。
大体どんなブロデットも作り方は同じなので、~風というのは、言ったもん勝ちということのようですなあ。

それでは、次はヴァスト風。



ヴァスト風ブロデットBrodetto alla vastese
ヴァスト(キエーティ)のオスタリーア・デル・パヴォーネのリチェッタです。
店のwebページはこちら
材料/4人分:
魚各種(サラ、ヒメジ、シタビラメ、シイラ、エイ、ヤリイカ、シャコ)・・700g
ムール貝とアサリ・・300g
皮むきトマト・・750g
赤パプリカ・・1個
赤唐辛子・・1片
にんにく・・3かけ
イタリアンパセリ・・1房
バジリコ・・1房
EVオリーブオイル・・1カップ
・魚は掃除して洗い、水けをふき取る。
・トマトは粗く切って幅広のテラコッタの浅鍋に入れる。油、細く切ったパプリカと唐辛子、にんにくと香草も加え、魚を硬いものから順に入れる。
・塩味を調えて蓋をし、かき混ぜずに弱火で20分煮る。トースとしたパーネ・カゼレッチョを添える。


どうやら、かき混ぜないのもブロデットのポイントのようですね。
でも、ジュリアノーウァ風とヴァスト風の違いというと、貝が入るか入らないかぐらいしかない。
ヴァスト風のほうがトマトが多くて水分が多いかなあ。

ちなみに、アックアパッツァと比べてみるのも面白いかも。
なんと、作り方はほぼ同じ。
違いは、魚の量とトマトの水気ぐらいかも。
存在感のある高級魚はアックア・パッツァ、庶民的な大衆魚(雑魚?)はズッパ・ディ・ペッシェかも。
スズキのアックア・パッツァ。
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関連記事“港のズッパ”は、「総合解説」2011年6月号に載っています。

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