『ガンベロ・ロッソ』の記事の解説です。
『ガンベロ・ロッソ』のロンバルディア特集で紹介されていた料理の中に、こんな一品がありました。
フリットゥーラ・ピッカータFrittura piccata。
日本風に言えば、“ピカタ”です。
そう言えば、イタリア料理だったんですねえ、ピカタって。
正確には、ロンバルディア州ミラノの伝統料理。
実はピカタは、イタリアより外国でのほうが、イタリア料理としての認知度が高い料理。
ミラノに40年以上住んでいるイタリア人が、「ドイツの結婚披露宴で、メニューにミラノ風ピッカータと書いてあったが、こんな名前の料理は、ミラノで見たことも食べたこともなかった」なんてネットで語っています。
イタリアの場合、ピカタのような肉の薄い切り身の料理は“スカロッピーネ”と呼ぶのが一般的なので、ピッカータもスカロッピーネと呼ばれているケースが多いのかもしれません。
フリットゥーラ・ピッカータの“フリットゥーラ”は、揚げるというより、バターで焼くことを意味しています。
そもそも、イタリアのピッカータは、日本で知られているピカタとは違って卵を使いません。
というか、日本以外ではピカタ(英語ではピカータ)は卵で覆わないほうが一般的。
サンフランシスコのイタリア料理店のピッカータ
『Grande enciclopedia illustrata della gastronomia』によると、オリジナルのミラノのピッカータのリチェッタは次のようなもの。
フリットゥーラ・ピッカータのマルサラ風味 Frittura piccata al Marsala ・子牛肉の切り身2人分で350gを軽く叩いて楕円形にし、縁に2~3か所切り込みを入れて縮まないようにする。 ・ソテーパンでバター60gを赤くなるまで熱する。 ・切り身に薄く小麦粉をつけ、バターで強火で片面1分ずつ焼く。 ・塩をし、マルサラ・セッコ大さじ4をかけて片面3分ずつなじませる。 ・その間にイタリアンパセリ一握りと潰したにんにくの薄切り1枚をみじん切りにし、肉が焼き上がる2分前に加える。バターが焦げないように揺すりながら片面1分ずつなじませる。 ・肉を取り出して温めた皿に盛りつける。 ・焼き汁を煮詰めて肉にかけ、白こしょうを散らす。サーブする直前にレモン汁1/2個分をかける。 |
オリジナルのピッカータはマルサラ入りでが、今では、マルサラを加えない“フリットゥーラ・ピッカータ・アル・リモーネFrittura piccata al limone”のほうが一般的。
その場合はマルサラの代わりにブロードをかけます。
卵で覆われたチキンピカタに慣れていると、ちょっと物足りないくらいシンプルです。
シンプルなだけに、アレンジもしやすい。
世界中に広まる過程で様々なバージョンが考え出されて、現在のインターナショナル料理としてのピカタができ上がったのでしょう。
動画“子牛のピッカータの白ワイン風味”
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2009年5月号
“ロンバルディアの伝統料理”の解説は、「総合解説」'08&'09年5月号に載っています。
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