2011年10月3日月曜日

イタリアのアルタ・クチーナの現状

今日はミシュランの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。

2011年版のミシュランの3つ星店、日本は東京と大阪合わせて26軒でした。
この数はご本家のフランスと同じ。
すごいですねえ。
というか、ミシュランの販売戦略が露骨に出た結果なんでしょうか。


Michelin Guide party
↑サンフランシスコ版の3つ星は2軒。
アメリカはこの他に、ニューヨーク、シカゴを合わせても9軒。


さて、それではイタリアは何軒でしょう。

答えは・・・6軒です。

毎年、ミシュランが発売になるたびに、イタリアのマスコミからは不満の声が噴出します。
しかも、ドイツがイタリアより多い9軒、という事実が、イタリア人のプライドをますます傷つけています。
イタリアとフランスはやっぱり天敵同士なんだ、というけんか腰の意見は、当分消えそうもありません。
さらに、3つ星店のメンツが毎年ほとんど変わらないということも、業界の停滞ぶりを象徴しています。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』誌では、この数字を冷静に分析しています。

「勢いを失っているのはイタリア料理ではない。
むしろイタリア料理は、ヘルシーな料理として世界中に認められている。
勢いを失っているのはレストラン業界なのだ」

「イメージとは逆に、フランス人はイタリア料理の神髄、つまり、家庭やトラットリーアのイタリア料理をとても高く評価している」

「外国でこんなに愛されている私たちの料理を、今のイタリアの高級レストランで見つけることができるだろうか」

「現代イタリア料理は、フランスやスペインで生まれたトレンドの後を追うだけになっている。
ルーツである地方料理を切り捨てて、しっかりした土台のない道を歩んでいるのだ」

「豊かな地方料理こそがイタリアの切り札だ。
グアルティエーロ・マルケージは、常にパダーナ地方の料理に忠実だった。
金箔のリゾット、ラヴィオリ・アペルト、コトレッタ・ミラネーゼのパズルといった彼の料理は革新的だが、ベースはこれ以上ないほどイタリア的だ」

「このまま行くとアルタ・クチーナは、美食家のためのものではなく、好奇心と流行を追う人のためのものになってしまうだろう。
この傾向は逆に、ドイツなど突出した美食文化のない国には追い風だ」


すべてがごもっとも。
冷静で鋭い分析。
言われてみれば日本の外食産業も、特に西洋料理やエスニック料理は、流行、話題、珍しさを追う人のためにある店がかなり多いのでは。


おまけの動画。
↓ヨーロッパでもっとも若い33歳の3つ星シェフ、アンドレアス・カミナーダ氏。
ドイツのレストラン。







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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年3月号
“ミシュランとイタリア料理”の記事は、「総合解説」'08&'09年3月号に載っています。

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