今日はチーズの話。
『ア・ターヴォラ』の解説です。
まずは、山羊のミルク100%のシチリアのウオッシュチーズ、タレー・ディ・カープラ・ジルジェンターナTalè di capra girgentana。
こんなチーズ。
ウオッシュに赤ワインのネロ・ダーヴォラを使っているので、皮がほんのりスミレ色をしています。
2008年にはイタリア産の山羊のチーズのコンクールで入賞もしています。
このチーズは、数が激減して絶滅しかかったジルジェンターナ種の山羊のミルクが原料。
ジルジェンターナとは、アグリジェントの、という意味。
アグリジェントはシチリアなまりだと“ジルジェンティ”と言います。
↓グルグル巻いた大きな角が特徴のジルジェンターナ種の山羊
↓カラプリアのジルジェンターナ山羊
この山羊の特徴的な角はオスメス両方にあり、オスの場合は長いもので約70㎝になります。
きれいなスパイラル型にするために、鉄製の筒に巻きつけて手入れをしたりするのだそうです。
ジルジェンターナ種の山羊は、昔は約3万頭飼育されていましたが、1993年には純血種の数は524頭にまで減りました。
生活スタイルの変化やチーズ作りの衛生上の問題から、シチリアでは山羊の飼育自体が激減したそうです。
タレーは、このジルジェンターナ山羊の飼育を行っている農場の一つ、モンタルボで作られているチーズです。
ちなみに、現在はタレーではなく、普通にタレッジョと呼んでいるようです。
この農場では、ジルジェンターナ山羊のミルクから様々なチーズを作っています。
農場のwebページはこちら。
こちらのページではタレッジョの食べ方も紹介しています。
それによると、お薦めはタレッジョとトマトのピアディーナ。
ピアディーナにマヨネーズを塗り、スライスした山羊のタレッジョ、トマト、サラミをのせて半分に折ります。
これを200度のオーブンで焼いてチーズをとろけさせ、熱々を食べます。
実は、2年前にモンタルボを悲劇が襲いました。
農場の跡取り息子が、24歳の若さで亡くなってしまったのです。
農場で感電死するという痛ましい事故でした。
モンタルボのホームページで、羊の群れを見守って立っている青年がおそらく彼です。
ご家族は、そんな悲劇を乗り越えて、今もジルジェンターナ種の山羊の復活に取り組んでいることと思います。
日本にも入っているようなので、機会があったらぜひ味わってみたいもの。
その時は、ワインはネロ・ダーヴォラですね。
チーズの話、次回に続きます。
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関連誌;『ア・ターヴォラ』2007年12月号
タレーを含む“ディナーにお薦めのチーズ”の解説は、「総合解説」'07&'08年12月号に載っています。
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鉄製の筒に巻きつけて手入れって、チーズを作るのに何か関係が?
返信削除しっかし、旨そうなピアディーナですな。何故かこの頃ゴルゴンゾーラにはまっているのですが、今度探してみよう。
くるりさん
返信削除言われてみれば確かに、角のカール具合でチーズの出来が違うのか、って話ですよね(笑)
このピアディーナ、マヨにチーズにトマトにサラミですよ~。
豪勢ですよねえ。
ゴルゴンゾーラのピアディーナもありですね。
くるみを散らすなんてどうでしょう。