サン・マルツァーノの締めくくりは、シェフの話。
『ガンベロ・ロッソ』がサン・マルツァーノ料理のエキスパートとして選んだのは、トッレ・デル・サラチーノのシェフ、ジェンナーロ・エスポージト氏。
トッレ・デル・サラチーノは、ソッレント近くの、ヴィーコ・エクエンセという町にある高級店です。
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シェフは現在36歳。
彼が作るのは、カンパーニアの風土と伝統をベースにした、洗練されていながらぬくもりを感じる料理で、見えないところでよく考え込まれています。
トッレ・デル・サラチーノ
また、彼は若手シェフのリーダー的存在の一人で、毎年、「フェスタ・ア・ヴィーコ」というイベントも主催しています。
イタリア中から50人以上のシェフがヴィーコ・エクエンセに集まって、3日間にわたって料理を作るというもので、コンクールではなく、純粋に料理することを楽しむためのお祭りです。
イベントの参加者たち
店で使うサン・マルツァーノは、シェフのお父さんが栽培しているそうです。
生のサン・マルツァーノを使った定番の一つが、「トマトのカンディート」。
完熟したサン・マルツァーノの皮をむいて半分に切り、種を取ります。
天板に並べ、タイムと丸ごとのにんにくをのせて塩を振り、80度のオーブンで5時間乾燥させます。
これをどんな料理に仕上げるかと言うと、例えば、トマトのカンディートをムール貝の殻に見立てて、間にムール貝をはさんで、大きな「ムール貝のリピエーノ仕立て」にします。
ムール貝は、殻をナイフで開け、なすのピューレ(オーブンで蒸し焼きにしてからにんにく、オレガノで炒めて塩で調味。裏漉しして急速冷却)、裏漉ししたリコッタ、フルール・ド・セルを詰め、殻を閉じてアルミホイルで包んでから180度のオーブンで3分焼きます。
これを殻から出して4個ずつトマトのカンディートで挟みます。
ソースはバジリコ、松の実、オリーブオイルをすり潰したペースト。
“リコッタとなすのピューレを詰めたムール貝のトマトのカンディート添え”
食べた人によると、この料理の主役はムール貝ではなく、「スタンディングオペ―ションしたくなるようなトマトとリコッタの絶妙な組み合わせ」なんだそうです。
他に、サン・マルツァーノではないですが、サラダ用のトマトから“トマト水”を作って(裏漉ししてから布で漉して分離させた汁)、ソースにしたり、ゼラチンにして料理に使っています。
ちなみに、トマト水は、イタリア語では“acqua di pomodoro/アックア・ディ・ポモドーロ”。
おまけの動画。
サン・マルツァーノDOPができるまで(音声なし)。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年8月号
「サン・マルツァーノ」の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年8月号に載っています。
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復活させたのは日本人だったんですね。時間がかかったんですね。
返信削除エスポージトシェフの料理、斬新ですね、軽く蒸し焼きにするのですね、素晴らしい~、
昨日サン・マルツァーノがきたのですが業者も品種がわからなかったので農家に聞いている最中です、生食用です、
私も偶然にもコンフィにしました、エスポージトシェフと殆ど変わらいのですがオリーブオイルも使いました、ファルシーにしたくて中の果肉を取りだしてろ過して私も澄んだゼリーを作りました。
サン・マルツァーノだからコンフィ・ファルシーは使わないで、カンディート・ リピエーノとメニューに書きたいです、新しい雰囲気になります(笑)。
vittorioさん
返信削除カンディートにリピエーノです。
確かに、コンフィにファルシーと比べると、イタリア~ンな響きの料理になりそうですね(笑)。
イタリアで買ったトマトの種を日本で育てると、1年目はイタリアの味でも2年目からは日本のトマトの味になってしまう、と言っていた人がいました。
土と気候の影響が大きいのかもしれませんね。
国産サン・マルツァーノの美味しさは、やっぱり日本人が引き出していくものなんでしょうね。
vittorioさんの手でどんな料理になるのか、腕の見せ所ですね!
数年前にジェンナーロのお店に行ってきました。2度目訪問でしたが、ちょうど「フェスタ・・・」の始まる前の日で忙しそうでした。辺鄙な場所ながら、そうそうたるメンバーがフェスタに集まっていたのには驚きました。レストランでは日本人の元寿司職人が魚を裁き、あと女性と男性のシェフ、計3人の日本人が働いていたのにもびっくり。ドルチェにはジェンナーロのお腹のように大きいババが出てきました。身体に似合わず繊細なお料理で、おいしかったです。 イタリアママ
返信削除italiamamaさん
返信削除2回も行ったんですか。
いいなあ。
きっと色んな国のスタッフがいるんでしょうねえ。
若手からの人望もある人のようですね。
写真で見ると、はち切れんばかりのお腹で、ちょっと心配(笑)