サン・マルツァーノの話を続けます。
大きく分けると、トマトには、生食用、ホールトマト(皮むきトマト)やソース用、ジュース用があります。
生食用は、丸い形のものが多く、食べる時に完熟するように出荷されます。
色は赤や緑など様々。
ホールトマトやソース用は、楕円形のものが多く、果肉が厚くて種が少なく、色は鮮やかな赤色。
ジュース用は、丸くて果肉が固く、香りの強い品種です。
サン・マルツァーノは、ホールトマトやソース用の最も有名な品種。
日本で知られている外国のトマトの品種としては、一番有名。
というか、これ以外の名前は、スーパーの缶詰売り場ではあまり見ないような・・・。
フランスでも
アメリカでも
イタリア産トマトの代名詞のようなサン・マルツァーノ。
実はこのトマト、戦後に、ウイルスによって生産量が激減しました。
さらにその後、病気に強くて機械化に適したハイブリッド種が続々と登場したことによって、ほどんど消滅しかけます。
市場に出回っていたのは、サン・マルツァーノではなく、サン・マルツァーノタイプのトマトだったのです。
それが、あることがきっかけになって保護活動が始まり、30年かけて、サン・マルツァーノは復活しました。
現在、法律によって産地と名前が保障されているサン・マルツァーノの製品は、DOPのホールトマト、1種類のみ。
“サン・マルツァーノ・デル・アグロ・サルネーゼ・ノチェリーノ”と言います。
管理組合のweb page
このホールトマトに使用されている品種は、サン・マルツァーノ2とキロス(旧チリオ3)。
これらを、特定の地域で栽培・加工したものに限られています。
栽培・加工地域はこちら。
ナポリからグラニャーノにかけての、ヴェズヴィオ山の麓の東側一帯です。
ちょうどパスタの産地と一致するのが、興味深いですねえ。
名前の由来になったサン・マルツァーノ村は、ヴェズヴィオ山の東側の、サルノとノチェーラの中間にあります。
復活したオリジナルに近いサン・マルツァーノは、この地域以外の場所で栽培しても、本来の美味しさが出ないのだそうです。
もう一つ、DOPではないのですが、スメック20という品種もあります。
こちらは、スローフードが後援食材に認定している品種です。
ホールトマトだけでなく、生食用もあります。
スローフードのサン・マルツァーノ
ちなみに、サン・マルツァーノのハイブリッドの代表的な品種は、“ローマ”。
皮が固いために病気や虫に強く、機械による加工に適した丈夫な品種です。
こんなトマト
サン・マルツァーノの話、次回に続きます。
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関連誌;『ガンベロ・ロッソ』2008年8月号
「サン・マルツァーノ」の記事の解説は、「総合解説」'07&'08年8月号に載っています。
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そうなんですか、激減しちゃっんですか、いろいろ大変なことがあったんですね、サン・マルツァーノもいろいろ種類があるんですね、また知識が増えました(グラッチェ)。
返信削除そうなんです、トラックから降ろしたトマト、調理場の中でトマト投げ祭が始まってしまいました、スタッフは手伝いの方を除くと、トレント・シチリア・バーリ・ナッポリなどの出身でヴェネトがいないんです、個性の固まりで、ささいなことでみんなトマトを投げあってました(笑)。
私もとばっちりでもろに左目に当たって、固くて、痛くて一週間青タンがぬけませんでした、
配達業者のシニョールが 『ここは国際的だなぁ~、ナッポリがいてシチリアがいて…』と言っていましたが、国際的は私だけだと思うんですが…、始めて経験した面白い調理場でした(笑)。
ローマトマトかわいいですね丸ごと好きの私にはこたえられません、あのかたちをサルサにするにはもったいない。
影響をうけて私も茨城産のサン・マルツァーノを発注しました、丸ごと白桃よりはボリュームがないと思うんですが(笑)
vittorioさん
返信削除やっぱり、トラックに山盛りのトマトを見ると投げたくなるのが人間の本能なんですね(笑)
トマトで青タンて、いったいどんな職場ですか。
しかも国際的って、それも笑えます。
茨城産のサン・マルツァーノ、なんという品種か分かると、きっとさらに面白いですよ。
サン・マルツァーノ2も、ローマも、日本で栽培されているようですし。
エスポージトシェフも、皮むきサン・マルツァーノを丸ごと皿に盛り付けていました。
すごく斬新でしたよ。