2010年7月10日土曜日

パスタ・ラティーニ

スパゲッティの歴史編でグラニャーノのことを書きましたが、上質乾燥パスタの作り手は、グラニャーノ以外にもいますよね。
中でもマルケのラティーニは有名。
前回のブログ、「アサリのパスタ、ベスト10」で紹介した店のうち、ヴェネチアのヴィッラ・マルゲリータもラティーニのパスタを使っていました。

ラティーニは、乾燥パスタの話をする時には必ず登場するブランドです。
以前、小麦の話を書いた時にも、イタリア産小麦にこだわったメーカーとして紹介しました。

ラティーニのパスタの中でも特選品の“セナトーレ・カッペッリ”というシリーズは、「小麦の男」と呼ばれてイタリア中から尊敬されている農学者、ナザレノ・ストランペッリが開発した品種、セナトーレ・カッペッリを復活させたもの。
この小麦は、世界の硬質小麦のベースになった歴史的な品種です。
現在の世界中の硬質小麦は、これを改良していったものなんだそうです。
当然、改良品種が出るとセナトーレ・カッペッリは役目を終えて、一時はほとんど栽培されなくなりました。
ラティーニはそれをわざわざそれを復活させて、セナトーレ・カッペッリ100%のパスタを作った訳です。
小麦に対する大いなるこだわりが感じられますねえ。

もう一つ、ラティーニは“タガンログ”というシリーズも作っています。
これも面白い品種ですよ。
スパゲッティの歴史編では省略してしまったのですが、実は中世のイタリアでは、硬質小麦と言えば、このタガンログが主流だったのです。
タガンログは黒海北部にあるロシアの町。
この地方で栽培されていた硬質小麦がイタリアのパスタメーカーの好みにぴったり合ったようで、船で大量に輸入されていました。
ロシア革命の頃までタガンログ人気は続いていたようです。



ラティーニのパスタ。
赤い箱はスタンダートシリーズ、青はセナトーレ・カッペッリ、黄色はタガンログ。
photo by antonio.tombolini


ラティーニのhpはこちら


話は変わりますが、現在配本中の『ヴィエ・デル・グスト』の記事、「コーヒー」の中にラティーニの名前が出てきます。
コーヒーとラティーニ?
全然関係なさそうですが、実はあるんです。
少なくとも、『ヴィエ・デル・グスト』の記事が出た時点ではまだありました。
2002年に、コーヒーで知られるイリーグループが、ラティーニの株の49%を取得していたんです。
セナトーレ・カッペッリシリーズなどに取り組んでいたラティーニが、大手のイリーグループとの提携によって販路を広げようとしたのでしょうねえ。
その後、2008年にラティーニが株を買い戻したので、現在は独立経営となっています。


さて、一方のイリーですが、こちらも面白い話があるんです。
それは次回に。



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