今日はシェフの話。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事の解説です。
クレアパッソの今月配本号の中で一番ビックリした料理はこれ。
「豚足と牡蠣」!
作ったのは、ガルダ湖畔のシックなホテル・レストラン、“ヴィッラ・フィオルダリーゾ Villa Fiordaliso”(hp)のシェフ、リッカルド・カマニーニ氏。
フランスの一流店(Lucas Carton, Taillevent, Restaurant Vernet, La Grande Cascade)で修行した経験を持つシェフで、フランスのドーヴィルで2009年2月に開催されたオムニヴォール・フード・フェスティバルにも参加していました。
これはその時の写真。
このつるつる頭、彼のトレードマークなのか、コック帽をかぶっている写真は一枚も見つからない!
この人、ロンバルディア料理を徹底的に前衛的な外見にすることに情熱を捧げているようで、この豚足と牡蠣以外にも、へえ~、と思うような料理を色々と世に出しています。
これは「ウニと山羊のリコッタのリゾット」
↓
そしてこちらは「ウナギのグリル、にんにくのグースファット・コンフィ添え」
まずは最初の「豚足と牡蠣」。
豚足は下ゆでしてから香味野菜のみじん切りと一緒にソッフリットにし、ビネガー、ローリエ、粒こしょう、鶏のブロードで2時間以上ブラザーレしています。
ぷるっぷるの艶っつや。
そして牡蠣は生。
こちらもぷるっぷる。
豚足と牡蠣を皿に盛りつけたら、豚足の煮汁を漉して皿に張り、オリーブオイルとマルドンの塩を散らします。
青い花はボッラジネ(ボリジ)で、緑の葉はキンレンカ。
豚足と牡蠣って、一緒に食べることができるものだったんですねえ。
なんでこの二つを組み合わせたのか、その意図がいま一つよく分からないのですが、ひょっとしたら「ぷるっぷる」つながり?
正直言って、豚足と牡蠣をあえて一緒に食べたいとは思いませんが、常識にとらわれないこういう発想が浮かぶということに敬意を表して、紹介してみました。
次の「ウニと山羊のリコッタのリゾット」は、
米を油で炒めてワインをかけたら、ブロードではなく湯で煮ます。
そして仕上げに山羊のリコッタでマンテカーレ。
これを皿に盛りつけて花椒を散らし、山羊のリコッタと生のウニをのせます。
飾りはボッラジネの花と新芽。
仕上げはこちらもオリーブオイルとマルドンの塩。
ウニと山羊のリコッタ、これもあえて一緒に食べたいとは思いませんが、料理の色合いはとてもきれいですねえ。
伝説のマルケージの金箔のリゾットもそうですが、リゾットは前衛的な盛り付けが映える料理だということを実感します。
そして3つめは「ウナギのグリルとにんにくのグースファット・コンフィ」。
イタリアでは、ウナギの皮は、丸ごと布を使って首根っこから引くんですねえ。
その後で開くんだそうで。
布を使った皮の引き方
ウナギは切り身にしたら巻き、オリーブの小枝を刺して止めます。
これをオリーブの薪でグリル。
にんにくは一玉丸ごと使います。
まず水で7回ゆでこぼし、90度のグースファットに入れて2時間煮ます。
仕上げにウナギと同じようにグリルして表面をカリッとさせます。
中は柔らかくなっているので、ウナギに塗って食べる訳ですね。
サルサは、乾燥させた黒オリーブとピーナッツ油をビンビーで4分攪拌したもの。
皿にサルサをたらしてウナギとにんにくのコンフィを盛りつけ、ゲランドの塩、こしょう、フィノッキエット・セルヴァティコを散らしています。
ウナギとにんにく、これはスタミナ付きそうですねえ。
にんにくのグースファット・コンフィもおいしそう。
開いたウナギを見慣れている日本人としては、巻いたウナギと言うのは新鮮です。
それにしてもビンビーって不思議な道具ですね。
ソースもできるし、パン生地もできるし・・・。
今日のおまけ動画は、ビンビーで作るサルサ・トンナータ。
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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2007年12月号
リッカルド・カマニーニシェフのリチェッタは、「総合解説」'06&'07年12月号、P.26に載っています。
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イタリア料理ほんやく三昧サマはじめまして♪
返信削除miacucinaさんのところからやってきました。イタリアの本を翻訳解説されているものを販売なさっているのですね!しかもガンベロロッソも。ウレシイです。
豚足とカキを一皿、本当に不思議なお料理ですね~。意外と美味しいかもしれませんね♪
marinaさん
返信削除はじめまして!
豚足と牡蠣、ひょっとしたらすごくいけるのかも?なまことかエスカルゴとか、得体の知れないものを最初に食べた人って勇気ありますよねー。
また遊びに来てくださいね~。
びっくりです、フランスでパティスリーに修行されているイタリアの方は時々、いらっしゃたのですが、カマニーニシェフのように、フランス料理を修行される方は初めて聞きました、素晴らしいことだと思います。
返信削除それもパリなどの三ツ星、日本人が憧れる修行の常連店。
私の知っているシェフ達は、自国の料理を愛しているせいか、あまりフランス料理には好感持ってなかったんです、
、
フランスでは牡蠣の産地アルカッションにいた時、、
牡蠣と豚肉を合わせている、レストランはありました、
ボルドー近郊のlibourneにいた時、オーナーの自宅にクリスマスのディナーに招待されてオードブルに生牡蠣が出てきて『この辺では生牡蠣には豚肉のローストを付けるんだ』と言ってました。
牡蠣がサッパリしていますから、豚肉とよく合いますね(^-^)/
うなぎは私がイタリアで扱ってたのは業者が開いて持って来てました、地方が違いますが、古典的にグリルでホタテの貝殻にアツアツのポレンタを流し固めて外したのが付け合わせでした。
ロンバルディアの伝統を守りつつ、新しく、まさに前衛料理、天才カマニーニシェフなんですね
Vittorioさん
返信削除ほお~、フランスでは牡蠣と豚肉ってありですか。
所変われば、食べ物も色々なんですねえ。
自分の常識をそのまま世界にあてはめちゃいけないんだなあ。
なるほど、フレンチも知っているイタリアンのシェフは、こういう面白い料理もできるという訳ですね。
ホタテの貝殻にポレンタを詰める!
それも目から鱗です、
Bimbyは本当に便利な機械です。食前酒からデザートまで準備がらくですね。
返信削除Bimbyは私にとってはいまだにミステリアスな道具です(笑)
返信削除イタリアではどれくらい普及しているのか、気になります。