2009年3月16日月曜日

パッサテッリ

今日は、ロマーニャ地方(エミリア・ロマーニャ州の東側)やマルケ地方のプリーモ・ピアット、パッサテッリ passatelli の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。


パッサテッリは、パン粉とパルミジャーノをこねた麺。
ブロードでゆでて、スープとして食べるのが伝統的。


パッサテッリ・イン・ブロード, photo by Marco40134


見た目はちょっとあれですが、クリスマスや復活祭など、祝日のご馳走の定番料理でもあるパッサテッリ。
ボローニャ近郊のブドゥリオという所にあるアグリトゥーリズモ、ラ・ドンディーナ(hp)のパッサテッリ作り(4~5人分)の動画をどうぞ。





・台にパン粉(卵1個につき100g)とおろしたチーズ(卵1個につき100g)を盛って中央をくぼませる。
・柔らかくしたバター約20g(骨髄を加える場合もあるが手に入りにくいのでバターで代用)、卵3個、塩、こしょう少々、ナツメグを加える。
・よくこねる。硬すぎる時はオリーブオイルを加えて調整する。
・直径4~5mmの穴のポテトマッシャーに入れて押し出し、カットする。
・沸騰したひね鶏のブロードに入れ、浮かび上がったらすぐに火を止める。沸騰させない。
・スープ皿に注ぎ、好みで色付けにシブレットを散らす。



パッサテッリと言えば、独特の型を使いますよね。
直径15㎝程度の金属の円盤に取っ手がついたこの型、特に名前はなくて、“フェッロ・ペル・パッサテッリ”などと呼ばれているようです。
穴の直径は4~5mm。
下の動画では02:08頃に登場します。






『GRANDE ENCICLOPEDIA ILLUSTRATA DELLA GASTRONIMIA』より、ロマーニャ風パッサテッリのリチェッタをどうぞ

■ロマーニャ風パッサテッリ Passatelli Romagnoli
4人分
・新鮮な牛の骨髄25gを裏漉しし、ナイフで5分練って柔らかくする。
・ボールに卵3個、おろしたパルミジャーノ100g、パン粉(硬質小麦粉のパンが最適)100g、ナツメグ少々、レモンの皮のすりおろし、塩、白こしょう、骨髄を入れ、よくこねる。
・硬すぎる時はブロード、柔らかすぎる時はパン粉を加えて適度に締まった生地にする。
・上質の牛のブロードか牛とひね鶏のブロード1リットルを火にかける。
・生地の上に型を置いて押し、パッサテッリにする。できたものから皿の上に重ならないように広げておく。
・ブロードが沸騰したらパッサテッリを入れ、表面に浮かび上がったら(通常3~4分)スープ皿に注ぐ。
・おろしたパルミジャーノを添える。



このパッサテッリを、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』ではクリスマスイブ用にアレンジしています。
イタリアのクリスマスイブは、肉を食べない日。
チーズと肉のブロードを使わないでパッサテッリを作ったらどうなるか・・・。


そこで考えだしたのが、チーズの代わりにスカンピを使い、ブロードもスカンピの頭と殻で取ったフメットに換えた一品。
スカンピのパッサテッリ!

味は分かりませんが、なかなか面白そうですよ。

多分これは、牛肉のパッサテッリの応用ですね。
“牛肉のパッサテッリ”は、マルケ料理として知られる1品。

こんな料理

生地に挽いた牛ヒレ肉とゆでたほうれん草が入っています。

『GRANDE ENCICLOPEDIA ILLUSTRATA DELLA GASTRONIMIA』では、
・ロマーニャ風パッサテッリのパン粉の量を1/3、パルミジャーノを半分にし、代わりに牛ヒレ150g(挽いて裏漉しする)を加える。
・レモンの皮は加えない。
・ゆで時間は10分。

と、ほうれん草なしのリチェッタを紹介しています。
色々バリエーションがあるようですね。


スカンピのパッサテッリがあるなら、オマールのパッサテッリやカニのパッサテッリとかがあってもいいかも、と思ってweb上をちょっと探してみたら、いろいろありましたよー。

こちらはシーフードのパッサテッリ。

・パッサテッリは卵、パン粉、小麦粉、塩、こしょうで作る。
・アサリとムール貝を熱して開ける。
・エビとスカンピの頭と殻、香味野菜でビスクを作る。
・ヤリイカ、殻をむいたエビとスカンピを細く切る。
・パッサテッリを湯で塩ゆでする。
・ブロード・ディ・ペッシェ、アサリとムール貝の汁、甲殻類のビスクをフライパンで熱し、パッサテッリを入れてなじませる。イカ、エビ、スカンピを加えて3分熱し、貝を加える。



下の動画は、ロマーニャ地方のパスタメーカーが紹介する、冷凍パッサテッリを使った“ムール貝とブロッコリーのパッサテッリ”。






他にも、スカンピのパッサテッリにウニのソース、パッサテッリ・イン・ブロード・ディ・ペッシェなんていう料理も見つけました。
色々できるものなんですねえ。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年12月号(クレアパッソで販売中)
“クリスマスと新年の定番料理”より。
リチェッタの日本語訳は「総合解説」'06&'07年12月号、P.2に載っています。


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6 件のコメント:

  1. パッサテッリ、前見たものより太めですね。マルケでも北のほうじゃないと食べられないのかなぁ。そういえば昨日ふと立ち寄った店でアスコリ産オリーブが売っていたので、思わず買ってしまいました。ものすごい大量で、しかもケッパーを買いに行ったのに。で、急遽大粒のスペイン産のケッパーで作る予定だったマリネ(あるスペインバルのぱくり)を、アスコリのオリーブで作りましたが、なんちゃってマリネ、結構いけましたよ。イタリアにも大粒のケッパーってあるんですか?

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  2. こんにちは。
    フェロ・ペル・パッサテッリ。。。。。
    運んで?帰って来ました〜
    キチンととったブロードにパッサテッリは極上の旨さだと
    思い、どーしても日本でも作りたくて持って来ました。
    昔のことですが。
    こちらの記事を拝見していて、久しぶりに食べてみたいな
    と、それにはブロードを。。。。
    ありがとうございました。

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  3. くるりさん
    アスコリ産オリーブ、売ってましたか。テーネラだったのかなあ。
    ケッパーのマリネというと、ケッパーの実のケッパーベリーのことですかね。そういえばケッパーベリーはグリーンオリーブに似てますね。ケッパーベリーだったらイタリアにもありますよん。フルット・デル・カッペロとかククンチョと言います。

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  4. vruocculuさん
    あれを持って帰りましたか。ポテトマッシャーで作ったものとは出来上がりの趣が違いますもんねー。
    でも、フェッロって言うぐらいだから鉄ですよね。重そう~。
    おいしいブロード!それですよそれ!
    ブロードのおいしいのは最高ですよね。
    10年以上前に食べたパルマのトルテッリーニ・イン・ブロードのおいしかったこと、まだ覚えてます。

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  5. テーネラでしたよ!
    フルット・デル・カッペロとかククンチョって、またエリアで違うんですか?
    とりあえず私は見たことないです。
    スペインでは当たり前にマリネにして出すそうですよ。ちょうど新タマネギの時期だったので、これのみじん切りとプレッツェーモロと和えただけですが、うまかったです。オリーブはブッタネスカとアクアパッツァ以外に使わないので定番の総菜になりそうです(^_^;

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  6. くるりさん
    ククンチョはシチリアの呼び方だったかなあ。
    テーネラのマリネ、ワインがぐびぐび進みそうですねー。
    ちなみに私はポテトサラダにオリーブとケッパーを入れて無理やり地中海風にします。

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