今日はザバイオーネの話。
ピエモンテ名物のザバイオーネ、例によってその起源はよく分かっていませんが、一番人気がある伝説は、ある修道士が考え出したという話。
トリノ市の観光課のサイトに、詳しい話が紹介されています。
それによると、主役はトリノに布教にやってきたパスクアーレ・デ・バイロン(1540-1592)という修道士。
彼は、教区民の懺悔を聞いているうちに、「夫に元気がない」と嘆く奥さんが多いことを知ります。
そこで考え出したのが、元気になる食べ物。
それは、
・卵黄1個
・砂糖大さじ2
を白くなるまでホイップし、
・卵の殻で2杯のマルサラ
・卵の殻で1杯の水
を加え、
とろ火か湯煎にかけてかき混ぜながら煮詰めたクレーマ。
修道士は約100年後の1680年に聖人に叙せられ、サント・パスクアーレ・デ・バイロンとなります。
聖人になる、とは、伝説の人になるということ。
彼が作ったクレーマも、彼が起こしたありがたい奇跡として、トリノの女性の間に広まっていきました。
クレーマは、トリノ訛りでサン・バイユンと呼ばれていましたが、それがイタリア語化してザバイオーネ(zabaione、またはzabaglione)となったのでした。
聖バイロンは、1722年に料理人の守護聖人として奉られることになりました(確か菓子職人の守護聖人でもあるはずです)。
トリノのサン・トンマーゾ教会では、毎年5月17日に聖パイロン祭が行われています。
と、なんとも魅力的な話ですが、残念ながら真偽の程は謎。
トリノで本場のザバイオーネを味わうなら、行ってみたいのが老舗の有名カフェ、アル・ビチェリンal Bicerin。
アル・ビチェリン, photo by cscan
店のhpはこちら。
日本語のhpもありました。
この店の名物は、なんと言ってもビチェリンですが(写真奥)、ザバイオーネも有名。
Al Bicerin cafe
photo by A tea but no e
ビチェリンは、いれたてのエスプレッソ・コーヒー、秘伝の製法のホットチョコレート、ミルクのクレーマを重ねた飲み物。
ザバイオーネはマルサラ入りの他に、モスカート、レモン、パッシート・ディ・カルーソ、ラタフィア(ピエモンテのリキュール)、くるみ酒、カシス、ドゥーカ・ディ・サラパルータのアラ、コーヒー入りの各フレーバーがあります。
そして写真のように、ホイップクリームをのせてビスコッティーニを添えたゴージャスなもの。
こちらはトリノのカフェを紹介した動画。
1分30秒あたりでアル・ビチェリンが出てきます(そのあたり、最初は音声が消えています)。
小さな店なんですねえ。
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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2007年3月号(2008年4月現在クレアパッソで販売中)
「ザバイオーネ」の記事は「総合解説」に載っています。
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