モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その3です。
バルサミコ酢の作り方の話をする前に、バルサミコ酢の種類について、ちょっと確認。
ご存じの通り、バルサミコ酢は、大きく2つのタイプに分けることができます。
■まず1つめは、
アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナAceto Balsamico Tradizionale di Modena
アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・レッジョ・エミリアAceto Balsamico Tradizionale di Reggio Emilia
という2つのDOP製品。
この“トラディツィオナーレ(伝統)”のバルサミコ酢は、ぶどうの果汁のみが原料で、これを何年もかけてカラメル色のとろりとしたバルサミコ酢に変えていきます。
モデナとレッジョ・エミリアの2つの産地がありますが、どちらもかつてはエステ家の領土だったので、同じ文化を持つ地域と言うことができます。
■そして2つめは、
アチェート・バルサミコ・ディ・モデナAceto Balsamico di Modena
これはDOPではありません。
トラディツィオナーレのバルサミコ酢を作るには、長い年月が必要です。
“トラディツィオナーレでない”バルサミコ酢とは、添加物を加えて、短期間で、トラディツィオナーレにある程度似た風味を作りだしたバルサミコ酢のことです。
法律による規制がないため、大量生産品から数年熟成させたものまで、風味や値段も違う様々なタイプの製品があります。
トラディツィオナーレのバルサミコ酢は容器の形とサイズが法律で決まってるので、トラディツィオナーレでないタイプとの区別はすぐにつきます。
製品には、正規のものであることを保証するラベルとDOPのマークも付いています。
左がモデナ、右がレッジョ・エミリア。
どちらも12年以上熟成させた“アッフィナートAffinato”と25年以上熟成させた“エクストラヴェッキオExtravecchio”があり、100mlの小瓶入り。
ヴィンテージや年数は表示されません。
アッフィナートは100mlで40~50ユーロ、ストラヴェッキオは70~80ユーロ。
ストラヴェッキオで1瓶1万円以上ですね。
1滴100円と考えると、「黒い金」と言われるのも納得です。
それに比べて、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢はもっと実用的な値段をしていますが、問題なのは、値段も品質もピンからキリまであるということ。
統一された管理組合というものがないため、いくつかの団体が独自の品質基準を作って製品に表示しています。
ところがこれは、日本の消費者にはあまり知られていないようです。
次回は、このトラディツィオナーレでないバルサミコ酢の分類について説明します。
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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
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