2017年8月31日木曜日

セラス・デル・フェン


今日はピエモンテ産リコッタ、セイラスの話。

セイラスの他に、セラス、サラス、セレなどいろいろな呼び名があるそうで、イメージがあやふやなチーズです。
というか、リコッタなので、正確にはチーズですらないです。

そもそも、セイラスの語源はラテン語でホエイのこと。

サラス・デル・フェンは、トリノ県の産物で、スローフードの保護食材。
メイド・イン・イタリーの食材と呼ばれるくらいで知名度も高そう。



このチーズはキリスト教のヴァルド派の人たちが作った名物でした。
ヴァルド派はキリスト教のプロテスタントの1派ですが、異端とされて迫害され、ピエモンテの山の中で独自の文化を持つコミュニティとして生き残りました。
このチーズは、ラバの背中に乗せて運ぶ間のハエよけのために干し草で包むのが特徴。
リコッタの性格上、フレッシュなうちに味わうのが美味しいそのうなので、ピエモンテに行ったら食べておきたいチーズです。

ヴィッサーニのセラスのアノリーニ。
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シラスと呼んでますね。
「総合解説」では、セイラスを使うコッパ・サバウダはサヴォイア家の宮廷で人気だったとあります。
こんな料理です。
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味見した時のリアクションが淡白でいいですねー。


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2017年8月28日月曜日

クープ・デゥ・モンド2015はイタリアイヤー。

ちょっと前の話ですが、2015年のパティシエ・ワールドカップで、イタリアは悲願の優勝を手にしました。
1997年の初優勝から、18年目の快挙でした。

2015年のダイジェスト




イタリアチーム




とても印象的だったイタリアチームのフローズンデザート1位の作品をシリコン型で再現。




チョコレート部門も1位。これもシリコン型のメーカーが再現。



飴細工部門も1位で、新記録で完全優勝です。



リーダーはシュガーアートのマエストロ、エマヌエーレ・ファルコーネ氏。



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“パスティッチェーリ・チャンピオン”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年4月号に載っています。
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2017年8月24日木曜日

アンジェロ・サバテッリシェフ

今日は最近プーリアでナンバー1とも言われる注目シェフ、アンジェロ・サバテッリ氏の話。
6歳の時にはすでに肉屋で働きだして、午前中はホテル学校、午後は仕事という生活もしていたそうです。
ジャカルタ、ホンコン、シャンハイ、モーリシャスで12年働き、言葉とオリエントの食材も使いこなしています。

自らの名前をつけたリストランテはプティニャーノ(バーリ)にあります。
今年の5月に生まれ故郷のモノポリから離れて新しい店を開きました。
すでに店の口コミサイトには高評価の投稿が続々。
店のwebページはこちら

下の動画では、リーゾ・パターテ・コッツェというこてこてのプーリア料理を、素朴さとプーリアらしさはそのままに洗練された1品に仕立てています。




伝統的なリチェッタ
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プーリアは食材が素晴らしい地方だけに、モダンにアレンジすることがとても難しい地方料理だと思います。
でも、オリジナリティーとクリエイティビティにこだわるシェフもいるんですね。
プーリアも、次々に注目のシェフが登場するようになりました。






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“アンジェロ・サバテッリシェフ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年4月号に載っています。
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2017年8月21日月曜日

粉の強さとショパン


今日は小麦粉の話です。
イタリアの小麦粉には、0とか00といった番号がついています。
これは、粉の精製具合を表す数字です。

あくまでも、どれだけ精製しているか、を示す表示で、粉の品質とは関係ありません。
最近、イタリアの小麦粉事情が変化しています。
それはどうやら、家庭でお菓子やパンなどを手作りする人が増えては、消費者が、粉の性質をもっと知りたいと思うようになったことと関係があるようです。

イタリアの消費者は、粉のどんな性質に興味があると思いますか?
それは強さです。
粉の強さはタンパク質の含有量によって生まれます。
日本では、強力、中力、薄力と名前を付けて分類していますが、イタリアでは、ショパンのアルベオグラフ値で表しています。
これ最近、イタリアの料理雑誌ではよく見かける値です。
ショパンと呼んでも作曲家のショパンとは関係ありません。
Wと数字で表される値です。

粉は水と混ざるとグリアジンとグルテニンという2種類のタンパク質ができます。
これらが結びつくとグルテンになります。
グルテンは目の詰まった網のようなもので、発酵の間、内部にでんぷんとガスを貯めます。
この力をWで表します。
つまり強さは粉が生み出すことのできるグルテンの量で、水を吸い込める量によって左右されます。
グルテンが多いほど生地も膨らみます。
W90~70の薄力粉は水分が少なくて発酵が短いものに適しています。
ビスコッティ、グリッシーニ、クロスタータなどです。

W180~260は中力粉、食パン、バゲット、生パスタなどに適しています。

W270~310は強力粉です。
これは水分をたっぷり吸いこみ、粘りのある、ゆっくり発酵する生地に適しています。
チャバッタ、ロゼッテ、パネットーネ、ブリオッシュなどに使います。

チャバッタ
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チャバッタの生地には3リットルも水を加えるんですね。
水分をたっぷり吸いこむ粉を使うんですね。

ロゼッテ
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W330とか400の小麦粉を使っていますね。


W320~370の粉はマニトバ粉と呼ばれています。
単独で使われることはほとんどなく、他の粉と混ぜて強さを出すために使われます。

イタリアの家庭用の市販の小麦粉にはまだWの表示が記載されているものは少ないようですが、徐々に増えているそうです。






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“粉の強さ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年4月号に載っています。
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2017年8月17日木曜日

メカジキのシチリア風

今日はメカジキの話。
イタリアのメカジキといえば、独特のスタイルの漁をするメッシーナ海峡のメカジキが有名。
最近、マグロの伝統漁の話をすっかり聞かなくなったけど、もう消滅してしまったのでしょうか。
メッシーナ海峡のメカジキ漁の話も聞かなくなりましたが、どうなっているのか。

こんな漁。



普通に釣っても冒険心を大いに刺激する魚なのに、何世紀も前から変わらない道具と方法で、メカジキと1対1の勝負をする漁なんて、ロマンしかない。

でも、どう考えても非効率的で危険な漁、いつまで存続できるでしょうか。
すでに後継者不足のようだし。

とにかく、メッシーナ海峡の漁師は、メカジキに関しては、相当なエキスパートのようです。
『サーレ・エ・ペペ』に、メカジキの習性について、ショッキングな話が載っていました。
メカジキはつがいの絆が強い魚で、オスはメスが捕まると一緒に死のうとする習性がある、なのでつがいでいる時はメスをモリで突くんだそうです・・・。

そりゃ、それが漁というものだとは知っていますが、ちょっとロマンチックすぎて、メカジキとメカジキ漁のイメージが大幅に変わりましたよ。

シチリアの人気のメカジキ料理の一つ、“アッギオッタ”。
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「総合解説」で取り上げた料理はブラチョーレは別名インヴォルティーニ。





ラブラブのつがいのメカジキじゃなかったことを祈ります。



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“メカジキのブラチョーレ”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年4月号に載っています。
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2017年8月14日月曜日

モレッティ、バラディン

ビールの話の続きです。

イタリアのビールのCMでもどうぞ。

まずは代表的で身近な、昔からあるイタリアのビール、モレッティ。
イタリア各地の風味を再現したレジョナーレシリーズ。
フリウリからシチリアまで、色々あります。





アンジェロ・ポレッティ




最後はテオ・ムッソからあふれ出るアイデアの一つ、ビアホール。
ローマのオープン・バラディン。




ミラノ、ボローニャ、トリノにもあります。
ローマはカンポ・デ・フィオーリ地区のVia degli Specchi にあります。
料理の監修はなんとカット・ピッツァの王様、ガブリエレ・ボンチ。
最強のタッグですね。
web ページはこちら


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“イタリアのクラフトビールの世界”の日本語訳は、「総合解説」2015年3月号に載っています。
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2017年8月10日木曜日

イタリアのクラフトビール、ルリジア

今日のお題は、イタリアのクラフトビールです。

『クチーナ・イタリアーナ』によると、今や、イタリア女性の3人に一人は、外食の夕食ではビールを選ぶんだそうです。
イタリアのクラフトビールブームの勢いは、まったく衰えていないようです。
それにしても、なぜイタリアのクラフトビールはこんなにバリエーションが豊かなのでしょうか。
やはり、職人技を尊重する食文化があって、クリエイティブな力に溢れた職人が大勢いるからでしょうか。

イタリアのクラフトビールの種類は飛躍的に増えています。
『クチーナ・イタリアーナ』誌は、「新しい女性と新しいビールは似ている」と言っています。
その心は、どちらも自由だが、一方で敬虔で、タブーもたくさんあるからだそうです。
これもイタリアの食文化を言い表す名言ですねー。

ビール造りにはどんな発想も許されるけれど、その飲み方には、厳格な掟がある、それがイタリアのクラフトビール。

という訳で、ビールと料理の組み合わせにも、厳格な掟がありました。

プリーモ・ピアットを例に考えてみましょうか。

まず、パスタやリゾットとビールの組み合わせを考える時、重要なのはソース。

例えば、イカ墨にはヴァイツェンが合うそうです。
ラディッキオにはラガー、ミラネーゼにはバランスの取れたエールだそうです。

カルボナーラや、ペスト・ジェノヴェーゼに合うのは、エールのルリジア・スペチャーレやピルスのピルスナー・ウルケル。

ルリジア
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ルリジアはミネラルウオーターのメーカー。
ルリジア・スペチャーレはピエモンテの山の澄んだ水、イタリア産大麦を使っています。




ピルスナー・ウルケルはチェコのビール。
何を言ってるのか一言もわからないけどピルスナーは飲みたくなる。



おまけの動画
ルリジア・ノルマ―レを語るテオ・ムッソ。
イタリアのクラフトビールブームを作った天才は、ずいぶん美味しそうにビールを飲むんだなあ。




彼のXyauyù'シャオユーは傑作でビール造りの新しい波、世界的にも高く評価されているビールだそうです。
ビールというよりシャンパンみたい。





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“イタリアのクラフトビールの世界”の記事の日本語訳は、「総合解説」2015年3月号に載っています。
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2017年8月7日月曜日

モンテロッソのアンチョビー


チンクエテッレに足が遠のく原因の一つは、交通の便が悪い、というイメージです。

中世にできた沿岸部の住民にとっての唯一の道、センティエロ・アッズーロ。
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昔から、5つの集落を結ぶルートはわずかしかなく、1930年代マナローラとリオマッジョーレを結ぶ“愛の道”というルートができたおかげて、ようやく2つの集落を安全に行き来することができるようになりました。

愛の道という名前はかなりこっ恥ずかしい。
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すごい断崖絶壁。
確かに昔は移動が大変そうだけど、今はモンテロッソからリオ・マッジョーレまで、鉄道で20分で移動できてしまいます。

さらに、船から上陸するという手段もあります。

ところが意外なことに、船は天候に左右されて、いつもすんなり上陸できるとは限らなかったんですね。
これが、地元の伝統料理に魚料理が少ない理由なんだそうです。
そししてわずかな例外が、アンチョビー。
昔はモンテロッソでだけ水揚げされて、それを各集落に運んで売っていました。
各家庭では、塩漬けにして保存して、フリットなどにしていたそうです。
モンテロッソのアンチョビーはリグーリアの名物食材
モンテロッソに行ったらアンチョビ料理を忘れずにチェックですね。

モンテロッソのアンチョビーのフリット祭り。
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モンテロッソのアンチョビー
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モンテロッソのアンチョビーのスパゲッティ
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サーレ・エ・ぺぺ誌のモンテロッソ・アル・マーレのお勧めレストラン、ミッキー。
カンティーナもあります。




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“チンクエ・テッレ”のグルメガイドの日本語訳は、「総合解説」2015年3月号に載っています。
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2017年8月3日木曜日

チンクエテッレのネプチューンの巨像

今日はチンクエテッレの話。

イタリアの有名な観光地の一つなので、行ったことのある人も、行こうと思っている人も、少なからずいるとは思うのですが、実際に行った人となると、他の有名観光地と比べて、ややマイナーな存在かもしれませんね。



私もいつか行きたいなあ、とは思っているのですが、アクセスの不便なビーチリゾートなので足が遠のいていました。
ところが今回、『サーレ・エ・ぺぺ』の記事を訳していて、あるホテルが“有名なネプチューンの巨像の近く”にある、という文章に出会い、念のため、ネプチューンの巨像というのを調べてみて、その幻想的な姿に、軽くショックを受けました。
元々彫刻が大好きだったこともあって、今やチンクエテッレは、行けるならぜひ行ってみたい場所になりました。

Statua del gigante o di nettuno a Monterosso al mare - Liguria

さすがはミケランジェロの国だなあ。
断崖の端っこに筋骨隆々のネプチューン像を彫って庭園を支えさせるなんて発想は、幻想的過ぎて、何時間でも見ていられそう。

モンテロッソ・アル・マーレのフェジーナ・ビーチにあります。
アッリーゴ・ミネルヴィという人が1910年に、アルゼンチンに移民して成功したイタリア人、パスティーネ夫妻のために造ったヴィッラ・パスティーネの巨大なテラスの一部で、高さ14mの像です。
第2次世界大戦の爆撃などでかなり被害を受けましたが、一部修復されています。
片足と両腕を失って重そうにテラスを支えるとか、アングルによってはかなり痛々しい姿で、その前で海水浴客がのんびり日光浴している姿はちょっと違和感ありますが、
違和感あるくらい、彫刻が写実的で素晴らしいということでしょう。
いつか行く日のために、行った方でなにかアドバイスがあったら教えてくださーい。

そうそう、記事にあったすぐ近くのホテルというのはこちら。
朝食が美味しいそうです。
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“チンクエ・テッレ”の記事の日本語訳は「総合解説」2015年3月号に載っています。
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