2012年9月28日金曜日

モンティ・シビッリーニ、ノルチャ

イタリアで一番上等のレンズ豆の産地と言われるカステッルッチョは、プーリア州のノルチャ県にあります。 (あちゃー、失礼しました、ウンブリア州でした。Graie 太谷さん)
ノルチャは、豚肉の加工品とトリュフで有名ですよね。
モンティ・シビッリーニ国立公園の一角なので、豊かな自然にも恵まれた地方です。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で紹介しているアグリトゥーリズモ、La VAlle del Sambucoは、利用者の評判も上々で、また行きたいという声がたくさん上がっています。
例えばこちら
 ↓
http://www.agriturismodinorcia.it/agriturismo_a_norcia/agriturismo_di_norcia.php

特に、朝食のビュッフェの自家製ジャムのクロスタータが美味しいと人気。
サンブーコのジャムも好評ですねえ。
記事によると、ここでは、豚を飼育して、レンズ豆を栽培し、2匹のトリュフ犬と一緒にトリュフ採りをするとかで、この地方の美味しいものがいっぺんに味わえそうじゃないですか。
犬の訓練に同行できるってのも楽しそうですねえ。


別のアグリトゥーリズモの紹介動画ですが、ノルチャのアグリトゥーリズモの雰囲気が伝われば・・・。
 ↓

ノルチャ。
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カステッルッチョ
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イタリアにもある、静かで穏やかな地方。

モンティ・シビッリーニ国立公園
 ↓


モンティ・シビッリーニは、“リトル・チベット”と呼ばれていますが、そう名付けたのは、フォスコ・マライーニという有名な登山家で、民族学者、東洋学者、作家、写真家、詩人という多才な人物。
実はこの人、第二次大戦の頃、北海道大学でアイヌ民族の研究をしていたことがあるらい。
彼の話は、こちらのページに詳しいです。
 ↓
 http://aach.ees.hokudai.ac.jp/xc/modules/Center/Review/trance2/Maraini.html


フォスコ・マライーニ
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こんなに日本を愛したイタリア人の山男が、いたんですね。
知らなかった。



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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、カステッルッチョのレンズマメを含む“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月24日月曜日

レンズ豆のリチェッタ

レンズ豆の話、続けます。

インドとイタリアの融合
レンズ豆カレーとスパイシーフォカッチャ
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ispirazione indiana


レンズ豆は、見た目も味も地味なので、いきおい、この豆を評価するには、その栄養価を讃える、というのが手っ取り早い方法。
肉に匹敵するタンパク質とビタミンの供給源として大昔から多くの国で栽培されていたし、植物繊維やミネラルも豊富で脂肪は少ない。
加熱しないと食べることはできませんが、長期間保存ができます。

あれ、栄養価も意外と地味だなあ。

となると、あとは奥の手、レンズ豆を新年に食べれば、小金がたまる!
このブログでも何度も取り上げてます。 レンズ豆とコテキーノ。
  ↓
Cotechino e lenticchie


年末年始のイタリア料理に、縁起物のレンズ豆は欠かせませんから、コテキーノは無理でも、レンズ豆は一年に一度くらいは食べてますよね?

それでは、カステッルッチョのレンズ豆IGPのサイトで紹介されている地元の典型的なリチェッタを訳してみます。
原文はこちら。
 ↓
http://www.lenticchiaigpcastelluccio.it/la_lenticchia/

材料/4人分: カステッルッチョ・ディ・ノルチャのレンズ豆ー・・400g
水・・1リットル
セロリ・・1本
にんにく・・1かけ
塩、こしょう
・豆を鍋(できれば陶器の鍋)に入れ、水、セロリ、にんにくを加えて40分煮る。
・仕上げに塩とパンのクロスティーニ(トーストしてにんにくをこすりつけて油をかける)を加える。


あら、超簡単。
ちなみにここで登場するセロリですが、私も偶然最近知ったのですが(Grazie ミホコセンセ)、ウンブリアの伝統料理でセロリという場合は、“セダノ・ネロsedano nero”(黒セロリ)を意味する場合があります。

こんなセロリ

http://www.flickr.com/photos/treviturismo/3749064460/

特に黒くもないごく普通のセロリようですが、『Spedialita d'Italia』によると、このセロリは18世紀半ばから、主にトレーヴィで栽培されていました。
第二次大戦までは、週末の市場にはどこでも見られたそうですが、戦後、アメリカ品種のセロリが大量に輸入されるようになって、姿を消してしまったそうです。
でも、トレーヴィでは今でも昔ながらの方法でこのセロリを栽培しているそうす。
セダノ・ネロの特徴は、香りが強く、硬い筋がなく、葉や軸が長く、その色がやや濃いこと。
このセロリを使った料理と普通のセロリを使った料理では、出来上がりが違うそうですよ。


この基本のリチッタに、さらに玉ねぎ、にんじん、じゃがいもなどの野菜を加えて裏漉しすれば、レンズ豆のクリームスープになります。
もっとボリュームのある一品、レンズ豆とサルシッチャLenticchie con salsicceなら、
グアンチャーレをバターで炒めたところに玉ねぎとセロリを加えてソッフリットにし、豆、トマトのパッサータ、ブロード・ディ・カルネを加えて煮込み、塩、こしょうで調味したら焼いたサルシッチャを加えます。
サルシッチャの代わりにショートパスタを加えれば、パスタ・エ・レンティッキエpasta e lenticchie。
スプーンで食べるミネストラ。
パスタ・エ・ファジョーリのバリエーションですね。
見た目は絶望的に田舎風。
でも、運が良ければスープがびっくりするほど美味しかったりする。
 ↓








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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、カステッルッチョのレンズマメを含む“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月20日木曜日

カステッルッチョのレンズ豆

今日はカステッルッチョの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事の解説です。

カステッルッチョはウンブリアのノルチャというコムーネの、標高1400mの山の上の小さな集落。
wiki によると、2001年の人口はわずか150人だとか。

ウンブリアとマルケの州境にあって、ウンブリアの屋根と呼ばれる小さな町ですが、ここは、料理の世界ではイタリアで一番上質の緑のレンズ豆の産地として広く知られています。
なぜかイタリアでは大絶賛されているんですよね。
もちろん、ウンブリアを代表する特産品です。

モンティ・シビッリーニ国立公園にも含まれていて、高原に様々な色の花が咲き乱れる季節には、富良野を思い起こさせるような美しさ。

これはカステッルッチョのwebcam。
背後に見える山は2476mのモンテ・ヴェットレ。
 ↓
http://www.umbriameteo.com/webcam/castelluccio/



これは7月の風景
  ↓
 
 
 
この中に、レンズ豆の花もあるんでしょうか。
そもそも、レンズ豆の花って何色?いつ咲くの?

カステッルッチョは山の上だけあって、3月まで雪が残っているそうです。
雪が溶けたらすぐに畑を耕して種をまき、5月頃、高原は最初の開花期を迎えます。
そしてレンズ豆の花が咲くのは6月。
さらに1か月もたつと上の動画のような一面のお花畑になるんですねえ。
レンズ豆はもう収穫期です。

そしてこれがレンズ豆の畑。
 ↓
tappeti naturali


まばゆい黄金色ですね。
花畑の色は、季節によって刻々と変化します。
その景色に魅せられて、一年中高原の写真を撮っている人もいます。
花畑の一年
 ↓
http://www.castellucciodinorcia.eu/foto.php?cdalbum=Fioritura 2012
美しいですねえ・・・。
ちなみに赤いのはポピー、紫はビオラなど。

レンズ豆は収穫後乾燥させて8月に脱穀。
そして9月に共同組合から出荷されます。
カステッルッチョのレンズ豆はIGP製品。

カステッルッチョのレンズ豆は小粒でデリケートな味が特徴。
皮が薄いので戻す必要がありません。
これだけ標高が高いと虫もつかないので薬品を使う必要がなく、安全。

豆になると、地味な色彩に・・・。
  ↓
...coltivava un gusto particolare per i piccoli piaceri...




残念ながら生産量は決して多くないので、手に入りにくいレンズ豆ですが、次回は料理の話などを。




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関連雑誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2011年5月号、“モンティ・シビッリーニ”の記事は「総合解説」2011年5月号に載っています。

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2012年9月13日木曜日

シチリアのパン

イタリアのパンの話。
最後はシチリア。

この島は、何と言ってもごまつきパンが有名。

Pane Siciliano

Pane Siciliano

シチリアのパン屋さん
  ↓


『IL LIBRO DEL PANE』によると、シチリアは、イタリアの小麦文化発祥の地です。

ギリシャ神話によると、豊穣の女神ケーレスの娘、ペルセポネは、エンナ郊外のペルグーサ湖畔から、冥府の神によって、黄泉の国に連れ去られてしまいます。
彼女の足取りにそって小麦が地面にこぼれ、春になる前にたちまち芽を出しました。


ペルセポネはローマ神話ではプロセルピナといいます。ラテン語で「出てくる」という意味のproserpereが語源で、「小麦が育つ」、という意味合いがあるそうです。

シチリアは、ギリシャの支配によってローマより早く小麦が広まり、さらにアラブから伝わったごまを散らした洗練されたパンが、シチリアの名物となりました。


パーネ・シチリアーノは、シチリア産の小麦を独特の製法で挽いた粉と独自の酵母を使用。
  ↓



エンナはシチリアの島の中央に位置するため、シチリアのへそとも呼ばれる町です。
エンナとカターニア県で作られているパニョッタ・デル・ディッタイーノは、シチリアの最新のDOP製品です。
  ↓
  



毎朝、焼きたてのパンを店に並べるために夜中に働くベッルーノ(ヴェネト)のパン屋さん。
Viva パン屋さん!
   ↓ 






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=====================================テン

2012年9月10日月曜日

サルデーニャのパン

今日はサルデーニャのパンの話。
サルデーニャのパンと言えば、パーネ・カラザウPane caraau。

このパン、こんなに平らなのに、実は、かなり時間をかけて発酵させます。
見かけの割には手間暇のかかるパンです。
  ↓


この島には他にもさまざまなパンがあります。
平らじゃないパンももちろんあります。

例えば、『SPECIALITA' D'ITALIA』で紹介されているのは、
Civraxiu
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Pistoccu
  ↓

  

Coccoi pintatus o pintau
  ↓

といったパン。

Tradizione Gusto Passione』には、

Pane di Orieri
こんなパン
http://www.flickr.com/photos/mondodelgusto/6737089557/


Pane pistocu
こんなパン
http://www.ricettario-bimby.it/ricetta/13582/pistocu-o-carta-da-musica-ogliastrino.html


そして、この本には、パーネ・カラザウにペコリーノをのせてグリルして蜂蜜をかけた、素朴なデザートの写真がil pecorino grigliato sul pane carasau e condio con miele。
写真が紹介できないのが残念ですが、本のP.40ページに載っています。
超美味しそうで、いかにも羊飼いの島、サルデーニャの黄金の組み合わせ。
香ばしい斜めの焼き色がついたパーネ・カラザウの上にのったペコリーノがとろりと溶けかかり、さらに蜂蜜の照りで輝いています。
ちなみに、P.43のボッタルガとアーティチョークのサラダも、この店の料理。
これもオレンジ色のボッタルガがフレッシュで色鮮やかで、とても美しくて美味しそう。
アーティチョークの中でもカルチョーフィ・サルディという品種がサルデーニャの特産品。

カポテッラのRistorante Sa Cardiga e Su Schironiの一品です。
店のwebページはこちら
魚料理が中心の店。

この本で紹介されている料理は、ほんとにどれもすごーく美味しそうです。
盛り付けとアングルが素晴らしい。
南イタリア関連での今一番お勧め本です。



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2012年9月6日木曜日

中部~南部のパン

『IL LIBRO DEL PANE』のイタリアのパンの話。
どんどん行きます。
各地の代表的なパンのごく一部です。

まずはティジェッレTigelle。

Tigelle

エミリア・ロマーニャの山間部で生まれたパン。
イングリッシュマフィンによく似た形。
暖炉で焼くときに、生地を栗の葉で包んで“ティジェッリtigelli”という道具ではさむところから、この名前に。
ティジェッリとは、瓦と言う意味のテーゴレtegoleの方言。
2段に切って具をはさみます。
定番は、すり潰したラルドににんにく、ローズマリー、パルミジャーノ風味。
野菜のピクルスを添えます。
または、ゆでた青菜、チーズとサラミなど。

型でつける焼印が個性的。
  ↓





パーネ・シャーポPane sciapo。

pane sciapo o re sciocco

トスカーナなど中央イタリア。
ご存知塩気のないパン。



パーネ・カフォーネPane cafone。


Pane Cafone Napoletano

カンパーニア。
天然酵母のパーネ・カゼレッチョ。
“パーネ・コン・レ・フーニ(ケーブルのパン)”が縮んで“カフォーネ”に。
ヴェズヴィオ山からケーブルて降ろして運んだからだとか。
クープが入っていないのが特徴。
  ↓




フリゼッレFriselle。

Frise


プーリア。
一説によると、フェニキアから伝わったパンで、長期間保存できるところから、航海用の食糧だった。
海水で戻して、オリーブオイルをたっぷりかけて食べたという。

 


パン屋さんに行きたくなりました。
おまけの動画。
ジェノヴァのパン屋さん。
+ジェノヴアのフォカッチャ。
  ↓


みんな働き者だなあ。



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2012年9月3日月曜日

グリッシーニ

『IL LIBRO DEL PANE』から、イタリア各州のパンを紹介していますが、今日はピエモンテ。
グリッシーニgrisssiniです。

ミラノの有名店、リストランテ・クラッコのグリッシーニ。
グリッシーニ専用皿が超おされ。
 ↓
Grissini


白くて柔らかいクラムの部分が全くなくて、硬い皮だけの棒状のパン、グリッシーニ。
このパンがこんな形になったのには、諸説あるようですが、本では有名なのを2つ紹介しています。

まず1つは、グリッシーニは、1676年(75年という説もあります)、サヴォイア家御用達のパン職人で、トリノのランツォ村出身のアントニオ・ブルネーロが、当時10歳で胃腸が弱くて病弱で、パンのクラムが食べられなくなったサヴォイア家のお坊ちゃま、ヴィットリオ・アメデオ2世のために、医者の処方に基づいて、消化が良くて食べやすいパンとして考え出したんだとか。

別の説では、14世紀に起こった大飢饉の際に、財政難からパンがどんどん小さくなり、とうとうみじめな棒状にまで細くなっちゃったー。
という説。


何とグリッシーニの誕生にまつわる再現ドラマがありました。
  ↓



パン屋の発明を医者が横取りしたいうオチですねー。
お坊ちゃまは、グリッシーニのおかげで立派に成長して、後にサルデーニャ王国の王様になるなど、絶大な権力を握ったそうです。
この動画では、グリッシーニの前身はトリノ県キエーリのルバタというパンとされています。
ちなみにルバタとは“落ちた”という意味。
パン職人が、切り落としたパン生地の端を腕で転がしながら台から床へ落としていたからなんだそうです。


うーん、どっちの説を取りますか?
有力なのは前者ですが、実際にはパン職人が地元でいつも作っているパンにちょっと手を加えただけだったかもしれないけど、時の権力者で、のちにはイタリアの国王となる一族の名前が出てきちゃうと、誰だって、無名の町のパン、とするより、王様がらみのドラマチックな説を採用しちゃいますよねー。


とにかくのちの王様の大好物となったグリッシーニですが、食べ物には無頓着だったというナポレオンも、グリッシーニがお気に入りで、“トリノのバストンチーニ”(トリノの棒)と呼んでいたそうです。

グリッシーニのリチェッタ
  ↓



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