2022年4月27日水曜日

西のパレルモと東のカターニアは同じシチリアでも全然違う美食都市。

今日の料理はシチリアのイワシ料理2品。
まずはサルデ・ア・ベッカフィーコsarde a beccafico(CIR2020年7月号P.9)。
開いたイワシに炒めたパン粉と柑橘果汁の詰め物をのせて巻き、オーブンで焼くインボルティーニです。
イワシを巻いた姿が貴族の狩りの獲物の小型の野鳥、ベッカフィーコの料理に似ているところからこう呼ばれています。貴族料理を庶民がアレンジしてこうなりました。
詰め物は地元の食材を使うので、場所によってバリエーションがあります。
パレルモ版がよく知られていますが、詰め物がやや違うカターニア版もあります。
セコンドピアットですが、重要な食事では前菜としてもサーブします。
パレルモのトラットリアのリチェッタ↓



洗練されている印象が強いプラネタのリチェッタ
sarde a beccafico/サルデ・ア・ベッカフィーコ
材料/4人分
イワシ・・400g
パン粉・・200g
サルタナレーズン・・20g
松の実・・20g
砂糖・・大さじ1
レモン汁、オレンジの汁、ローリエ
イタリアンパセリ・・1房
ビネガー、EVオリーブオイル、塩、こしょう

・イワシは頭と骨を取って開き、ビネガーと水で1時間マリネする。
・パン粉をフライパンで焦がさないように炒め、焼き色がついたら油を回しかけてよく混ぜる。
・レーズンと松の実、砂糖、塩、こしょう、イタリアンパセリのみじん切り、オレンジとレモンの汁をよく混ぜる。
・イワシに少量の詰め物をのせてインボルティーニ型に巻き、油を塗ったオーブン皿にローリエと交互に並べる。油をまわしかけてレモン汁とオレンジの汁少々をかけ、パン粉を散らす。高温のオーブンで約5分焼く。
プラネタのリチェッタでは、インボルティーニの間の緑のローリエ、紫玉ねぎ、レモンとオレンジの薄切りを交互にはさんでいるので、色合いがイワシ料理とは思えないほど華やかです。

カターニア風サルデ・ア・ベッカフィーコ。
パン粉に卵を加えたり、イワシで詰め物をはさんだり、パン粉をまぶして揚げたりと、微妙に違います。

西のシチリア最大の街パレルモと、東のシチリア第2の街カターニアはどちらもシチリアを代表するグルメ都市。
カターニア↓

パレルモ↓


シチリアのイワシの名物料理、次回はサルデ・ア・キアッパ。

おまけにラグーザ・イブラのリストランテ・ドゥオモのチッチョ・スルタノシェフの動画をどうぞ。


材料/
レモン、玉ねぎ、イタリアンパセリ
唐辛子
レーズン
松の実
アンチョビ
ブロンの牡蠣
パレルモ風パン粉
オリーブオイル
豆乳

いきなりパンを作り出しましたよ。しかも、カステルペトラーノの黒パンというシチリア産の2種類の小麦粉の天然酵母の名物パン。これをスライスしてクロスティーニにします。

さらに豆乳とオイルを乳化させてクリームにします。これもパン粉に加えます。

イワシはオリーブオイルを加えて真空調理。

パン粉は絞り袋に入れて、イワシに絞り出すのかとおもったら、牡蠣に詰めてます。
焼いたクロストーニにも詰め物を絞り出し、田舎の朝食のレモンのサラダをちゃちゃっと作り、皿に盛り付けるのかと思ったら、マリネ液を急須に入れてます。

パン粉をまぶした牡蠣をフライパンで焼き、その上にクロストーニをのせてさらに真空調理してオーブンで焼いたイワシをのせます。レモンの皮のジュリエンヌで飾り、レモンのサラダの汁をかけて出来上がりです。
どんな料理になるのか、まったく想像できませんでした。
さすがはシチリアを代表する有名シェフ。

ラグーザ・イブラのリストランテ・ドゥオモ

シェフの店があるラグーザや隣のモディカもシチリアの美食都市。


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イタリアの料理月刊誌の日本語解説『(CIRクチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)
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2022年4月26日火曜日

シンプルなだけに何を詰めるかが大切なトマトのグラティナーティ。チェターラのアンチョビとブロンテのピスタチオを詰めるとちょっとしたご馳走に。

今日の料理は“トマトのグラティナーティ”。別名、トマトのリピエーノとも呼ばれる入門編のイタリア料理です。

Pomodori gratinati al forno/トマトのグラティナーティ


・イタリアンパセリの葉を茎から外してみじん切りにする。
・トマト(動画では軽い酸味が欲しいので完熟でないトマトを選んでいる)のへたを取って半分に切り、格子状の切り込みを入れる。
・オーブンシート(トマトから水分がたくさん出るので油は引かない)を敷いた天板にトマトを並べる。
・イタリアンパセリと赤にんにく1かけをみじん切りにする。唐辛子1本のみじん切り、パン粉、ドライエストラゴン小さじ1を加えてよく混ぜる。
・各トマトに油少々をかけて塩をし、その上に香草パン粉をのせる。再び油と塩をかけ、150~160℃で約1時間焼く。
・皿に盛り付けて油をまわしかける。

トマトとパン粉のシンプルな料理なので、今回も食材の選び方がポイント。今月の(CIR)のリチェッタは(P.7)、パン粉がピスタチオ入りなのでシチリア風かと思いきや、コラトゥーラで知られるチェターラのアンチョビのオイル漬け入りで、カンパーニアの名物食材も入っています。
上の動画ではパン粉は田舎パンから造っているようです。
チェターラはティレニア海のアンチョビの故郷と呼ばれている場所で、別名青い真珠とも呼ばれています。アドリア海のアンチョビより脂が少なく、水揚げ後すぐにすべて手作業で加工されるアルティジャナーレな製品。アマルフィ海岸のアンチョビです。
リチェッタでは、アンチョビはオイルで溶かし、ピスタチオはオイル少々と一緒にすり潰してクリームにしてからパン粉に加えます。

チェターラのアンチョビ漁

次回はシチリアのイワシ料理です。

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2022年4月25日月曜日

南イタリアからの移民によって、イギリスの植民地に広まった料理、パルミジャーナ

ナポリの人気料理、パスタのフリッタータの次の今月の(CIR)のリチェッタは、シチリアとの間で容赦のない本家争いが起きている料理、なすのパルミジャーノです。

由緒正しいナポリの名物食材となすを使った夏の料理として、世界中(特にアメリカ、オーストラリア、カナダ、ほお、これは見事にイギリスの植民地ですねえ)に広まった料理、パルミジャーナ。
もちろん世界中の人は、これがナポリ料理かシチリア料理かなんて、どっちでもいいいでしょうが、おそらく南イタリアからの移民が広めたイタリア料理の名品、ということに異議はないでしょう。
さらに言えば、カラブリアにもパルミジャーナという伝統料理はあります。

シチリア派の根拠は、料理書に初めて登場したのが、ナポリで出版された歴史的料理書、ブオンビチーノ公ことIppolito Cavalcanti著、『Cucina teorico-pratica』(1837)だとされているのです。彼は今でも当時のナポリ料理の基礎を本にまとめた人物として尊敬され、彼の名前を冠したホテル学校や博物館もあります。

ベースのなすのパルミジャーノを、他の野菜(今回はパプリカ)で応用するので、ベースのナポリ風パルミジャーナのリチェッタを見てみます。

なすのパルミジャーナ/Parmigiana di melanzane

材料/
なす・・2㎏
トマトソース・・700g
モッツァレラ・・300g
おろしたパルミジャーノ・・100g
小麦粉・・大さじ4
バジリコ、塩、こしょう
EVオリーブオイル

・なすの皮をピーラーでストライプにむき、厚さ7~8㎜にスライスしてざるに入れる
・塩をして重石の皿と水を張ったボールをのせ、30分置いてアクをだす。
・モッツァレラを小角切りにして水気を切る。
・なすの水気を抜き取って小麦粉を薄くまぶし、190℃のたっぷりの油で両面を揚げる。
・シートに取って油を切る。
・オーブン皿にトマトソースを敷き、なす、トマトソース、モッツァレラ、ちぎったバジリコ少々、パルミジャーノ少々の順で3~4段重ねる。
・最後の段はトマトソースで覆ってパルミジャーノを散らす。
・180℃のオーブンで25分焼く。

ちなみに、なすはアラブから中世後期にヨーロッパに伝わりましたが、例の料理書に登場したのは19世紀とかなり後になってからです。
なすの苦さが敬遠されていたのでした。
そのため、パルミジャーノに使ったのはズッキーニやパースニップが一般的でしたし。
なので、ズッキーニのパルミジャーノというのもおいしいはず。

パプリカのパルミジャーナ/PARMIGIANA con PEPERONI 


材料/
パプリカ
EVオリーブオイル
ハム、モッツァレラ
パン粉、ターメリック、パプリカパウダー、塩、砂糖

・パプリカをオーブンでローストしてむらし、皮をむく。
・オーブン皿に油を引き、パプリカを並べて塩をする。
・モルタデッラ、モッツァレラの小角切り、油を重ねる。これを繰り返し、パン粉を散らす。
・180℃のオーブンのグリルで焼く。

ズッキーニのパルミジャーナ





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2022年4月24日日曜日

ナポリでパスタ産業が発展して、都市と田舎の食文化は大きく変わった。都市の食べ物の代表がストリートフード。

今日の料理はフリッジテッリのスパゲッティのフリッタータです。リチェッタは(CIR7月号P.6)
フリッジテッリはきのう紹介したように、ししとうのことです。
紛らわしいけど、チーマ・ディ・ラパことフリアリエッリfriarielliとは違うナポリ野菜です。

フリッタータはナポリの人が大好きな料理。
ピッツァにそっくりな形状がナポリ人にささるのか、フリッジテッリ、サルシッチャ、パスタなど、様々なタイプのフリッタータがあります。
ナポリ料理の研究家として知られるルチアーノ・ピニャタロ氏の本、『リチェッテ・ディ・ナポリ

には、フリッタータはナポリ人が大好きなストリートフードの系列の食べ物だとあります。

ストリートフードの歴史を語る時に欠かせないのが、ナポリの庶民の生活を描いた19世紀頃の絵画。スパゲッティを手づかみで食べている絵が大量に出回りました。
当時ナポリの人は、北イタリアの人からマンジャマッケローニと呼ばれてからかわれていました。まだフォークが普及する前の時代です。スパゲッティを高々と持ち上げて口の中に落とす様は、少なからず衝撃的ですが、こんな風景が広まるのも、ナポリでパスタ産業が大発展して都会と農村の食文化がはっきり分かれた結果でした。

ナポリのストリートフード


パスタを手で食べる方法としては、フリッタータはかなりの傑作。
ちなみにナポリ人は、マンジャマッケローニと呼ばれる前はマンジャフォーリアと呼ばれるほど野菜好きでした。野菜のフリッタータはかなり人気だったはず。
しかもフリッタータは残り物を再利用して作れます。

パスタのフリッタータFrittata di pasta

材料
トマトソースのスパゲッティ・・200g
卵・・3個
おろしたグラナ・パダーノかパルミジャーノ・・20g
モッツァレラの小角切り・・70g
イタリアンパセリかバジリコのみじん切り・・大さじ1
塩、こしょう
EVオリーブオイル・・大さじ3~4

・卵、塩、こしょう、ハーブ、おろしチーズを混ぜてスパゲッティを加える。
・モッツァレラを加える。
・フライパンにオイルを熱し、混ぜたスパゲッティを入れて卵を行きわたらせ、弱火で5~6分焼く。3~4分焼いたら蓋を使って裏返す。必要なら油を足し、3~4分焼いて焼き色を付ける。皿に滑らせて盛り付ける。サラミの小角切りを加えてもよい。

玉ねぎのフリッタータFrittata di cipolla

かなり庶民的なパンのフリッタータ。

ゴージャス版パスタのフリッタティーネ。





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2022年4月23日土曜日

ナポリでは、民間信仰で広まった唐辛子型のお守りも、プラスチックの量産型じゃなく、アルティジャナーレでないと効き目がない、と言われている。

今日の(cir7月号)のリチェッタは、“フリッジテッリのスパゲッティのフリッタータ”です。
自らを農民料理人と呼び、ベズビオ山の麓で地元の人たちと一緒に畑を耕しながら料理を作るPietro Parisiシェフの本、『ピエトロ・パリージ』/クオーコ・コンタディーノ


』に出会って以来、身近になったナポリ野菜の1つです。
1年前までは名前も聞いたことがなかったのに、最近では、料理雑誌でもよく見るようになりました。
それではフリッジテッリをどうぞ。
フリッジテッリのソテー↓。

・フリッジテッリはへたと種を取り、にんにく1かけと唐辛子の辛みを加えたオリーブオイル、塩少々で丸ごと炒める。蓋をして弱火で10分熱する。焦げそうなときは水少々を加える。

こ、これはシシトウ・・・。どっから見てもシシトウ。
シシトウは辛くない唐辛子。こちらのページによると、日本で一番生産量が多いのは高知県だそうです。

そしてフリッジテッリはカンパーニアの野菜のカンパーニアでの名前。

特別でもなんでもない野菜なのに、なぜか今まで全然知られていなかった野菜です。
そしてなぜか今、ブームを迎えています。

グイド・トンマージの地方料理シリーズの『クチーナ・ディ・ナポリ

では、フリッジテッリではなく、ペペロンチーニ・ベルディ・ドルチと呼んでいました。甘い緑の小さなピーマンという意味です。これを一言でいうとフリッジテッリなのですが、マイナーすぎる名前なので、わざわざ言い換えたのでしょう。
ところが、解説を見ると、「ナポリでは唐辛子はとても人気がある・・・」とあります。
小さくて辛い唐辛子は幸運の角としてお守りになり、悪意や悪運を追い払う、と信じられています。
唐辛子の赤い色は、血や力の象徴で、動物の角も昔から力の象徴でした。中世以降、この考えがナポリ市民の間で流行しますが、プラスチックの量産品ではなく、手作りのアルティジャナーレなもので、人からプレゼントされたものでなければ効き目はない、というめんどくさい条件も付いています。

アルティジャナーレのコルノ。
でも今どき、店頭に並ぶ大量のコルノを見ると、中国産のプラスティック製品じゃないものをこんなに大量に売れるかなあという疑問はすぐに浮かぶ。
どう考えても〇〇製。

これぞアルティジャナーレ。

もちろん料理にも使う。
シンプルにゆでてにんにく風味のオイルで炒めて、細切りトマトを添えるなど。
(CIR)のリチェッタは、ナポリ市民に人気のパスタのフリッタータ版アレンジ。
詳細は次回です。

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2022年4月22日金曜日

アルティジャナーレなパスタ、キタッラはシェフの想像力が生きるロングパスタ。

昨日のメカジキのパスタに続き、今日は、メカジキのブリーモ。(CIR/7月号から)プリーモ4品め、“キタッラとメカジキ”です(リチェッタはp.5)。
この料理はなんといっても見た目が美しい魚料理とプリーモ・ピアットの盛り合わせです。
魚はメカジキの切り身。
フェンネルシード、ミント、といったシチリアのスパイスやハーブ、ライムの果汁でマリネして鉄板で焼きます。
パスタはアブルッツォ生まれで硬質小麦粉と卵の、断面が四角いパスタ、キタッラ。
キタッラは低温長時間乾燥の影響がでやすい太い麺で、スパゲットーニなどの量産型パスタとは違うアルティジャナーレのパスタ。
リチェッタを提供したシェフは、パスタは国産小麦を使ったパスタで、小麦の産地から近い所で加工した麺が良い、と語っています。

でも、プレーンのパスタとメカジキでは、どちらも白くて料理の印象がかなり薄め。
プレーンなパスタを華やかにするための工夫は、ズッキーニ、にんじん、パプリカ、葉玉ねぎのカラフルなジュリエンヌを炒めてゆでたパスタと混ぜる、というもの。そしてトングとレードルを使って巻いて横長に、メカジキの切り身と同じ長さに盛り付ける。
キタッラがカラフルになり、インパクトが一気に強くなります。
昨日のシチリア料理のメカジキのパスタのように、魚を小角切りにしてソースに入れるのは、よくあるリチェッタですが、鉄板焼きにしてパスタの横に添えるというのに欠かせないのは巻いたパスタを横向きに盛り付けるという技。

レードル、トング、セルクルを使ってスパゲッティを盛り付ける。
盛り付けにはセンスが出ますねえ。かなり楽しんでます。


革新的なシェフのパスタを集めた本、パスタ・レボリューション
には、オリジナルな盛り付けのパスタがたくさん載っています。
中でも巻くパスタが圧巻なのは、先日取り上げた、シチリアのピーノ・クッタイアシェフ。

クッタイアシェフのイワシのパスタ。



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2022年4月21日木曜日

メッシーナ名物、メカジキ、なす、ミントのパスタ。

今月の(CIR)のパスタ、2品目は、ミントとパン粉のペーストのパスタ(P.4)です。
お手軽価格の“ピッコロ・ス分ティーニ・シリーズ”のペーストの本、『ファッチャーモロ・ペスト

は、ミキサーでちゃちゃっと作る今時のペーストの本。
ペーストにできないものはなく、ペーストにすれば料理に使うのがとても簡単になる、ということを教えてくれる本。
ミントのペーストは、バジリコのペーストにミントとパン粉を加えてたもの。

簡単に応用できます。
ペーストなのでリグーリア料理を軽く調べましたが、ミント入りのリグーリア料理というのは見つからず。代わりにミント入りの料理がたくさん見つかったのは、シチリア料理でした。
どうやらシチリアの気候はミントによくあったようで、シチリアを代表するハーブの一つになっています。
ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズ

や、“グリバウド・グランデ・クチーナ・レジョナーレ”シリーズ

のシチリア料理を見てみると、すぐ気が付くのが、メカジキのミント風味。

メカジキとなすとミントのパスタ。pasta con pesce spada emelanzane e menta

材料/4人分
・メカジキ500gを小角切りにする。
・にんにく1かけ、イタリアンパセリのみじん切り、ミント少々一緒に油で炒めて塩、こしょうする。
・にんにくを取り除き、ブランデー44gでフランベして取り出す。
・トロペアの赤玉ねぎ1/2個を薄く切る。
・ダッテリーニ(楕円のミニトマト)300gを4つに切る。
・メカジキを炒めたフライパンに油を足し、赤玉ねぎ、塩、こしょうを加えてソッフリットにする。ミニトマト、刻んだバジリコとミントを加えて20分煮る。
・白ワイン135gをかけてアルコール分を飛ばし、さらに20分煮る。
・パン粉150gをフライパンで炒り、焼き色がついたら火から下して油少々をたらす。
・丸なす1/2個を小角切りにしてたっぷりの油で揚げる。シートに取って油を切る。
・メカジキをトマトのソッフリットに加える。
・パスタ(パッケリ)320gをゆでる。
・なすとパスタのレードル1杯のゆで汁、パスタをトマトソースに加えてなじませる。
・皿に盛り付けてパン粉を散らす。

メカジキはメッシーナの名物。メッシーナ海峡のメカジキ漁はシチリア名物。頑なに人力の昔ながらの漁。
当然、この料理もメッシーナ料理。ミントはほとんど飾りのような使われ方。言い換えれば、メカジキとなすのパスタ。
でも、シチリア感は強まる。
メカジキのパスタにも仕上げにパン粉が欠かせないのがシチリアのパスタ。
(CIR)のミントとパン粉のパスタ、ペーストにパン粉を加えることはさらっと流したけど、ミントとパン粉の組み合わせは、シチリア料理のアイデンティティーだったかも。

メッシーナ海峡のメカジキ漁。



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2022年4月20日水曜日

パルミジャーノのスプーマは、“パダナ平野の霧”になっておばあちゃんの地方料理をアルタ・クチーナに変身させる。

きのうのティンバッロは、こてこてのシチリアの地方料理のアルタ・クチーナのシェフによるアレンジでした。
イタリアのアルタ・クチーナは、一昔前から、地方料理を軽く、モダンにすることに全力で取り組んでいるようです。
今日の(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)の料理は、トスカーナ料理、パッパ・アル・ポモドーロのモダンなアレンジです(リチェッタの日本語訳は7月号P.3)。
下の動画はトスカーナのオステリアのシェフが、おばあちゃんのリチェッタで作る1品。かなり素朴で田舎風の質素な農民料理ですよね。これが、どうすれば軽いモダンな料理になるのでしょう。


リチェッタは、(CIR)も動画も、まずトマトソースを作ります。
そして固くなったパーネ・トスカーノを加えてトマトソースを吸い込ませます。
これを煮崩してバジリコとオリーブオイルを加えてマンテカーレします。

なるほど、かなり素朴で、見た目は離乳食のよう。
この料理を、オリジナルにほとんど手を加えることなく、今どきな1品にしたのが今月の(CIR)の料理です。
解決策は、パルミジャーノの皮の真っ白いスプーマで料理を覆う、というもの。
真っ赤なズッパに真っ白のスプーマが載っているというのは、見た目のインパクトが強烈です。
ボットゥーラシェフの歯ごたえの違うパルミジャーノの使い方↓

パルミジャーノのスプーマは、ボットゥーラシェフの得意の使い方。
でも、ズッキーニの花から温泉卵、ジェラートまで、さまざまな料理の仕上げにスプーマをのせています。
パッパにのせたスプーマは、パルミジャーノの皮を浸した牛乳から取ったブロードをサイフォンで泡にします。
パンをトーストする時にオイルとレモンの皮のすりおろし少々を散らすというのも美味しそうなアレンジ。
生ハムの骨から取ったブロードをスプーマにする、というテクニックもあります。
生ハムはよく熟成させたものを使うそうです。

パルミジャーノの皮でブロードを取るリチェッタは、おばあちゃんが教えてくれたそうです。彼はこの泡を“パダナ平野の霧”と呼んで、故郷の象徴として使っています。
2015年のミラノ万博ではパルミジャーノの皮がテーマの発表をしたボットゥーラシェフ。
金儲け以外にも地域社会と積極的に関わっていこうとする姿勢が尊敬できるシェフ。



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2022年4月19日火曜日

ピーノ・クッタイアシェフのノルマ風パスタ。

(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)7月号の記事から、パスタ・ンカッシャータのお題が続いていますが、このパスタは、言い換えればなすのパスタでもあります。
シチリアでなすのパスタと言えば、ノルマ風。
パスタ・ンカッシャータがお勧めの店は、偶然か、どこもノルマ風パスタもお勧めです。
今日は、シチリアのアルタ・クチーナのシェフの一人、ラ・マディア(店のwebページ)のピーノ・クッタイアシェフの作るノルマ風をどうぞ。

Pasta alla Norma di Pino Cittaia/ノルマ風パスタ

材料/4人分
パスタ(リガトーニ)・・500g
なす・・600g
玉ねぎ・・100g
バジリコ・・20g
羊のリコッタ・サラータ・・100g
EVオリーブオイル・・80g
揚げ油用EVオリーブオイル・・400g
ダッテリーノ(楕円形のミニトマト)トマトのパッサータ・・750g

・玉ねぎを水分が出ないように粗いみじん切りにして鍋に入れ、風味づけのバジリコを加えてソッフリットにする。
・なすはピーラーで皮をむき、厚さ1㎝にスライスする。
・玉ねぎのソッフリットにパッサータを加える。
・その間に揚げ油を熱し、なすを揚げる。
・仕上げにオーブンで焼くのでパスタを硬めのアルデンテにゆでる。ゆで汁に塩は加えない。
・なすの香りで揚げ具合を判断し、茶色くなりすぎないうちにシートに取って油を切る。
・パスタを取り出し、おろした羊のリコッタをまぶす。
・型を揚げたなすで覆い、中にパスタを1本ずつ立てて詰める。パスタの中にも入るようにトマトソースをかけ、型を台にたたきつけて空気を抜く。表面をなすで覆い、キッチンペーパーをかぶせて抑え、蓋をする。
・160℃のオーブンで10分焼く。
・型から出してバジリコで飾る。

これはなすのティンバロのバリエーションですね。
シチリアのオーブン焼きパスタにありがちな巨大でボリューミーな料理ではなく、貴族の料理がルーツのティンバロの洗練さや、シェフのファンタジーも感じるような1品です。

クッタイアシェフのレストラン・マディア↓はミシュラン星付きながら、かなりリラックスした雰囲気。
そういえば、かつてシェフが注目された料理の一つに、“イカの卵”というのがありました。見たことなかったので、どんなものだろうとあれこれ探しまくったことがあります。結局謎のままで、それ以来、イカの卵と聞くと、クッタイアシェフを思い出します。

なすのティンバッロ。


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2022年4月18日月曜日

シチリアのオーブン焼きパスタの傑作、ティンバロには、シチリア以外では見かけない小粒のパスタ、アネッレッティが最適。

“パスタ・ンカッシャーテ”のあまりのボリュームに、見てるだけでもおなか一杯状態だったのですが、
シチリア料理のミニシリーズ、“ブランカート・クチーナ・シチリアーナ”シリーズの『イン・ターボラ』で、アネッレッティのオーブン焼き、というンカッシャーテを人間サイズにしたような小型のオーブン焼きパスタを見つけました。
一番の違いはパスタです。ンカッシャーテはマッケロンチーニ、またはセダノ・リッシというマカロニで造りますが、アネッレッティは小さな指輪というその名の通り、小型でかわいいパスタ。
ラグーの具も、パスタの大きさに合わせた小角切りやみじん切り、挽肉にします。

アネッレッティのオーブン焼き

アネッレッティはかなり個性的なパスタで、シチリアの名物パスタですが、オーブン焼き以外にはあまり使われません。
ワインメーカープラネタの力作シチリア料理の本、

シチリア/クチーナ・ディ・カーザ・プラネタ』によると、

シチリアの外ではあまり見かけないパスタだそうです。
小さいパスタなので周囲を固める必要があり、オーブン皿に入れて焼くオーブン焼きや、生地に包んで焼くシチリア名物のティンバロにするのに最適。
には、米、パスタ、なすの薄切りで固めたティンバロがありますが、パスタのティンバロはかなりの大作になります。
パスタ・ブリゼで覆うパスタのティンバロ↓
祝日に作るかなりのご馳走。


一方、プラネタのアネッレッティのティンバロは、パスタを鍋に入れてパン粉を散らして表面をカリっと焼き上げるという、かなり都会的な洗練されたスタイル。

それでは、プラネタのアネッレッティのティンバッロのリチェッタをどうぞ。
本には、「私たちシチリア人にとって、アネッレッティのティンバロは復活祭の料理だ。外側のパン粉の皮は、もっと厚くすることもできるが、マイルドで軽い料理にしたかったのでパン粉は薄くした。」とあります。

アネッレッティのラグーがけのティンバロ/Timballo di anelletti al ragù

材料/6~8人分
アネッレッティ・・1㎏
ブローボラ・ドルチェ・・150g
パン粉・・150g
おろしたペコリーノ・シチリアーノ・・80g、塩
《ラグー》
豚肩肉・・600g
牛すじ肉・・600g
玉ねぎ・・2個
にんじん・・1本
セロリ・・1本
トマトのパッサータ・・2ℓ
トマトペースト・・大さじ1
水・・1カップ
熟成した赤ワイン・・1カップ
ローリエ、EVオリーブオイル
《グリーンピース》
生のグリーンピース・・400g
玉ねぎ・・小1個
バター・・50g
塩、こしょう

・玉ねぎのみじん切りを水1カップ、油少々で鍋でソッフリットにする。
・小さく切った肉を加えてよく炒め、ワインをかけてアルコール分を飛ばし、10分煮る。
・トマトペースト、パッサータ、ローリエ、塩を加えて弱火で2時間煮る。
・肉が柔らかくなって煮崩れたらラグーの出来上がり。
・玉ねぎのみじん切りを油で炒め、グリーンピースを加えて5分煮る。
・パスタをアルデンテにゆでてラグーであえる。冷ましてブローボラの小角切りとグリーンピースを加える。
・深いオーブン皿に手でバターを塗り、パン粉一握りを入れて全体に広げる。
・中央にアネッレッティを入れて押して均一に平らにし、パン粉とブローボラを散らす。
・180℃のオーブンで30~40分焼く。


組み合わせるお勧めのワインは、プラネタ・エルツィオーネ1614・カリカンテ。
エルツィオーネとは、噴火という意味。1614年の噴火という名前のワインです。名前だけで飲んでみたくなる。さすがのネーミングセンス。

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2022年4月17日日曜日

パスタ・ンカッシャーテは、シチリアのお母さんの愛情が詰まったオリンポスの神々向きパスタ。

シチリアのパスタ・ンカッシャータは、オリンポスの神々に出すくらいのボリュームで、敏腕警部の推理にも影響を与えるくらい複雑な味のオーブン焼きパスタ。メッシーナのお母さんたちの愛情と料理の腕が詰まっています。リッチな肉のラグーが入るのはメッシーナ地方独特で、その他の地方では、トマトソースを使います。
詳しいリチェッタは(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ7月号P.22)にあります。
パスタを揚げたナスとラグーであえて、溶けると糸を引くタイプのチーズ、サラミ、ゆで卵などを加えてオーブンで焼きます。
下の動画の人はこれで6人前だと言ってます。
オリンポスの神々向きで、人間向きじゃないけど・・・。
たくさん食べれる若い頃に出会いたかった料理だなあ。


シチリアにはティンバッロというオーブン焼きパスタの伝統があります。
もっと気軽な人間向きのオーブン焼きにするパスタの定番はアネッレッティanelletti。
リチェッタは次回に。
シチリア料理のお勧め本、お手軽な4冊のシリーズ本、
“アネッレッティ・アル・フォルノ”



2022年4月16日土曜日

モンタルバノ警部の好物、パスタ・ンカッシャッータ。

今日は(CIR/クチーナ・イタリアーナ・レジョナーレ)7月号から、シチリアのパスタの話です。
リチェッタは解説のP.22~にあります。
正確には、パスタ・ンカッシャータというオーブン焼きのパスタです。
特にメッシーナの祝日のご馳走として知られています。
シチリア料理の話になると必ず登場するのが、イタリアでも人気のTVシリーズの主役、モンタルバノ警部の話。

モンタルバノ警部のトレーラー。
シチリア料理を食べるシーンもふんだんに登場。


なんでもこの料理はモンタルバノ警部の大好物らしいのですが、巷にupされている動画もメッシーナのオーブン焼きパスタという紹介の仕方より、モンタルバノの好物のパスタ、という紹介ばかり。
この動画もそう。
モンタルバノ警部はアンドレア・カミッレーリというミステリー作家のモンタルバノ警部シリーズの主役。ラグーサの海辺とう素晴らしいロケーションに料理上手な家政婦さんと住んでいる独身でグルメで人情に厚い警部。
下の動画はモンタルバノ警部が仲間とオーブン焼きパスタを食べるシーン。


モンタルバノが家に帰って冷蔵庫の中を見ても、何もなかった。で、オーブンの中を見てみると、2人前も食べればオリンポスの神々でも十分な量の巨大なパスタ・ンカッシャーテが4人前入っていた」
といったシーンです。
パスタ・ンカッシャーテは小説の中で警部が何度も食べている料理。
でも、作家は詳しいリチェッタを一切明らかにしていないので、リチェッタは家政婦アデリーナの秘密とされ、謎が謎を呼んでちょっとした話題に・・・。
さらに、オリンポスの神々の引用は、巨大で強い、人間離れした存在を意味するので、オリンポスの神々のサイズで4人前、というのは尋常でない巨大な量、ということがわかります。家政婦さんのモンタルバノに対する愛情があふれちゃうことが、こんなさりげない一言で伝わってきます。
アデリーナのパスタ・ンカッシャーテに乾杯!するシーン。

モンタルバノシリーズに登場するシチリアの風景は聖地巡礼のメッカになってます。




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2022年4月15日金曜日

クラテッロ、パルミジャーノ、バルサミコ酢が名物のカノッサの屈辱で知られる地方、レッジョ・エミリア。

このところ、お題はずっとエミリア・ロマーニャ地方のトルテッリーニでした。
トルテッリーニと言えば、ボローニャを始めとするエミリア・ロマーニャの料理、というイメージがあります。
下の動画はボローニャのトラットリアを紹介する動画ですが、トルテッリーニの食べ方もわかります。スプーンで食べます。皮が薄いので、口の中で溶けるそうです。

トルテッリーニには、イタリア各地の食文化が詰まっています。
まず生地は、軟質小麦粉。北イタリアの小麦粉です。
そして詰め物は、肉、野菜、チーズ。牛肉と豚肉はエミリアの主役。牛や豚の飼育はロンバルディアから広まり、フレッシュチーズは古代ローマの羊飼いたちによってイタリア中に広まります。詰め物入りパスタはイタリア各地にあります。

ロマーニャ地方のカッペッレッティcappeelletti。
これもスプーンで食べてますね。
詰め物は去勢鶏とフレッシュチーズがベース。ボローニャのものと比べるとかなり大きい。去勢鶏(カッポーネ)やひね鶏のブロードでゆでるのがポイント。
トルテッリーニより軽くてマイルド。


カッポーネはクリスマスのご馳走のために去勢して太らせた鶏。
モロッツォ(クーネオ)のカッポーネが有名。

スローフードのパスタの力作、パスタ・フォルメ・デル・グラノ

によると、トルテッリーニとカッペッレッティはどちらもエミリア・ロマーニャの手打ちパスタの伝統から生まれたパスタですが、カッペッレッティは長い間、発祥地のレッジョ地方から外に出ることはなかったそうです。カッペッレッティの語源は“caplet”(大きな帽子)で、トルテッリーニより大きく、イン・ブロードにするよりは、パスタシュッタとしてソースをかけて食べたようです。また、動物性脂肪を絶つ“マーグロ”の日にはフレッシュチーズを詰め物にしました。
ボローニャとモデナはよく似た食文化の街ですが、もう一つ、クラテッロ、パルミジャーノ、バルサミコ酢の産地のよく似た街がありました。レッジョ・エミリアです。名物のカッペッレッティはトルテッリーニにそっくり。

レッジョ・エミリア料理

レッジョ・エミリアの地元民に愛されてるカッペッレッティ。
レッジョ・エミリア人にとっては家族の思い出と結びつく大切な故郷の味。

この街の歴史上の有名人は11世紀頃に街を納めていたマティルデ・ディ・カノッサ。1077年のカノッサの屈辱という事件の当事者です。名前の衝撃が強すぎて、何が起きたのかまったく知らない出来事ですが、この地方には宝石のような美味しいものがある集落があります。例えば、下の動画の酪農場、ラッテリーア・サン・ジョルジュはミラノの高級惣菜店、ペックに40年前からパルミジャーノを販売しています。平野部にある大手メーカーと比べると1日の製造量が20個以下とかなり限られている特別なパルミジャーノ。


サルミフィーチョ・ジャンフェラーリSalumificio Gianferrariのクラテッロは、最高のクラテッロを選ぶ会議でグラン・クラテッロ賞を受賞しています。

中世には4つの城があったことで知られるクアトロ・カステッラ地区ですが、今は白は1つしか残っていません。その城は古い田舎家風に改装されて、ロカンダ・マティルデというホテルレストランになっています。ミシュランの星もついています。
ロカンダ・マティルデ↓




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西のパレルモと東のカターニアは同じシチリアでも全然違う美食都市。

今日の料理はシチリアのイワシ料理2品。 まずはサルデ・ア・ベッカフィーコsarde a beccafico(CIR2020年7月号P.9)。 開いたイワシに炒めたパン粉と柑橘果汁の詰め物をのせて巻き、オーブンで焼くインボルティーニです。 イワシを巻いた姿が貴族の狩りの獲物の小型の...