2018年7月20日金曜日

アンディ・ウォーホルのキャンベルのスープ缶

和食のテンプラのことは、数年前からイタリアのプロの料理人たちもぼちぼち語るようになりました。
和食がメジャーになりつあることは、最近、強く感じます。
今月の「総合解説」には、抹茶が登場しました。

イタリア語ではtè matcha in polvere”とされていました。
まだ少し説明は必要なようですが、2016年に記念すべき初登場です。

リチェッタはP.6の“ラズベリーといちごのチョコレートケーキ”。
チョコレートケーキの表面を固めたビターチョコレートで覆い、その上に赤いラズベリーパウダーと一緒に振りかけて、美しく飾っています。

マッチャ・ティラミス
 ↓



今月紹介したシェフはリゾットの魔術師ことクリスティンとマヌエル・コスタルディ兄弟。
彼らが好んで使っているこしょう、サワラクのこしょうpepe di Sarawakは、昔からシェフたちのお気に入りのこしょうです。

同じく彼らのリゾット、“サフランのリゾット、バッカラ・マンテカート添え”と“アスパラガスと帆立貝の春のリゾット”に登場した“マイクロハーブ”は、初登場の食材でした。

オランダのKoppert Kress社が開発した小型のハーブです。
このまま料理のトッピングにすると、とても美しいです。
独特の香りもあるようです。



日本にも提携先があるので、もう出回っていそうですね。

とろこで、マイクロハーブを料理に使ったコスタルディ兄弟ですが、
彼らがリゾットの魔術師と呼ばれるのは、リゾットの作り方の理論をまとめたから。

例えば米を炒めるのは、米の気泡を熱で開けるため。
こうすると味を吸い込みやすいので、こうなってから米に塩、こしょうで調味します。

これは、母親やおばあちゃんの調理方法を受け継いでそのまま再現するのが中心だった家庭料理から生まれたイタリア料理の世界では、珍しい発想です。
天才が料理を体系立てて弟子に伝えてきたフランス料理的な考え方です。
マンマがこうしていたからではなく、こうするとこうなる、という合理的で科学的なアプローチ。



彼らにかかれば玉ねぎのソッフリットもワインも必ずしも必要ありません。
詳細は「総合解説」に訳を載せました。

彼らの名物料理が、アンディ・ウォーホルの作品で有名なキャンベルのトマトスープ缶に注いだトマトのリゾット。



トマトスープを使うのではなく、缶を使うというぶっ飛んだアイデアです。
トマトソースは4時間かけてトマトと香味野菜を煮て作っています。
そういえば、ウォーホルを有名にしたのはトマトスープじゃなくて缶の絵でした。
しかも、トマトスープと書いてある缶の絵は左上の1個だけ。



凡人はみんな思ったはず。
これのどこが芸術なの?

文字通り、新世代の料理人です。



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“クリスティアン&マヌエル・コスタルディ”のリチェッタの日本語訳は、「総合解説」2016年3月号に載っています。
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