2016年9月15日木曜日

ヒメジのリヴォルノ風

前回の

「シチリアの家庭では、マジパンは冷蔵庫に常備していることが多い」

に続いて、もう一つ、今月の「総合解説」の中で強く印象に残る言葉がありました。

それは、“ヒメジのリヴォルノ風”の記事の中の一文です。
リヴォルノと言えば、先月は、リヴォルノ風カッチュッコの話を取り上げています。

トスカーナの街ですが、魚料理が美味しいところなんですね。

で、印象に残った言葉は、


「(南地中海で捕れた)ヒメジは1ケースで奴隷一人分、と言われるほど高価だった」


古代ローマ時代の話です。

Coppa di Triglie!

だけど、ヒメジ1ケースって、あまりピンと来ないので、奴隷の値段について、ちょっと調べてみました。
奴隷の価値は、時代や場所によって変わるので、はっきりいくらと言うことはできません。
あくまでも参考程度ですが、わかりやすかったのは、牛1頭より高くて馬1頭よりは安い、というたとえ。

いくらなんでもヒメジ1ケースで売られた奴隷は、不憫だなあ。
まあ、それほどの高級魚で、当時は皇帝の宴席に登場するような、特別な食材だったという訳です。

とにかくローマ時代から高級魚として人気があったヒメジですが、砂場のヒメジより岩場のヒメジのほうが美味しい、というのも、イタリアではよく言われていること。

ヒメジのリヴォルノ風は、16世紀後半にリヴォルノのユダヤ人コミュニティーの中で生まれた料理というのも興味深い話です。
記事にはさらりと書かれていましたが、かつてリヴォルノは、地中海各地で宗教的な迫害を受けていた人々を受け入れていたそうです。
魚とトマトの組み合わせは、ユダヤ料理の特徴でした。
リヴォルノにトマトを伝えたのはスペインやオスマン帝国から逃げてきたユダヤ人だとも言われています。
それが広まって、今では、トマトをたっぷり使う魚料理がリヴォルノ料理の特徴と言われるほどです。

カッチュッコの話の時は、地中海各地から漁師が集まる街、という話でしたが、それだけではない、多国籍な街だったのですね。

そもそもカッチュッコもユダヤ料理がルーツなんだとか。
イタリア料理の中には、イタリア人もユダヤ料理がルーツだとは知らないものがたくさんあるそうですよ。

ヒメジのリヴォルノ風
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“ヒメジのリヴォルノ風”の記事とリチェッタの日本語訳は、「総合解説」13/14年8月号に載っています。
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2 件のコメント:

vittorio さんのコメント...

ヒメジ、フランスではRouget と言ってました、高級魚ですよね、味が濃くて香ばしくて、この料理にぴったりですね、

よく魚を料理していると香りだけで美味しさが分かります。

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん

普通に高級魚ですよね。
日本では食べたことは数えるぐらいしかありません。
たまに魚屋で見るけど、料理したのは1回しか記憶にない・・・。
美味しいですよねー。

バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...