2016年7月25日月曜日

イワシのパスタ

今日はammuccamuなシチリア料理の話。

ammuccamuとはシチリアの言葉。
“うまい”という意味で、こんな風に言います。
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「アンムッカーム」
今月の「総合解説」で紹介している地方料理2品目は、シチリア人なら思わずammuccamuと言ってしまうパスタです。

言うなれば、シチリア人に愛されるシチリアを代表するパスタです。

さーてなんでしょう。

答えはイワシのブカティーニです。

『サーレ・エ・ペペ』誌の記事では、シチリア料理史学者でグルメな作家のピーノ・コッレンティ氏の本、『Libro d'oro della cucina e ei vini Siciliani』から、この言葉、ammuccamuを引用しています。

このピーノ・コッレンティさんは、シチリア料理の大家で、本もたくさん書いています。
中でも、
Il diamante della grande cucina di Sicilia』という本は有名で、クレアパッソでもよく売れたのですが、残念ながらだいぶ前から売り切れ状態です。

再発売される気配が全然ないので、ディアマンテの代わりに、このオーロを仕入れてみようかなあ、という気になっています。
多分、金の次はダイヤモンドだー、いう勢いで安易にディアマンテというタイトルにしたんだろうなあ。
でも、その逆だと格下げ感出ちゃって、もったいないなあ。





記事には、この料理が誕生したいきさつの言い伝えが記されていました。

それによると、シチリアの質素な食材と、アラブのリッチな食材を前にしたアラブの料理人が、どうすれば両方を活かせるか、と考えた末に生まれたのが、この料理だそうですよ。

もちろん、伝説なので、なんの根拠もないと思いますが。

シチリアの質素な食材とは、イワシと野草のフィノッキエット・セルヴァティコ、それにオリーブオイル。
アラブのリッチな食材とは、サフラン、レーズン、アーモンドなどだそうです。

さらに、シチリアではイワシとフィノッキエットの旬は夏。

伝統的なパスタはブカティーニですが、編み棒で成形するトラーパニ地方のパスタ、ブジアーティもお勧めだそう。



さらに、魚が苦手なスペイン人も喜んで食べるようなるという秘密の技は、仕上げに散らすパン粉。
これを、少し前に紹介した硬質小麦トゥンミニアのパン粉にするという究極の裏技。





最後に、イワシのブカティーニと組み合わせるお勧めのワインは、ラグーザ県のヴィットリア平野のぶどう畑の間を通る県道の番号をワインの名前にしたSP68

強いネロ・ダーヴォラとエレガントなフラッパートという組み合わせの赤。

造っているのは強烈な個性を持つこの女性。
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素朴すぎるくらい素朴なイワシのパスタですが、いろんな物語が詰まっていました。


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“イワシのブカティーニ”の記事の日本語訳は、「総合解説」13/14年7月号に載っています。
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2 件のコメント:

vittorio さんのコメント...

イワシやフィノッキォを見るとprezzemoloさんに教えて頂いたフィノッキォと同性愛者の関係のお話しを思い出します、
フランスではPDと言ってました、フランスの友人がイタリアに遊びに来た時パドヴァ?のナンバープレートのPDを見て笑っていたのを思い出しました、

このイワシのパスタは昔から好きで最近またハマってきましたので記事がアップされたの拝見した時ビックリしました(笑)、


フィノッキエットは手に入らないのでフィノッキォの葉っぱで私用で作ってます、粉チーズの変わりの硬質パン粉を炒ったのをかけるのもバランスがいいですよね、

ブカティーニは私用にあるようなものなのです(笑)。

prezzemolo さんのコメント...

Vittoriozさん

フランス人はPDに反応するんですか。
知らなかったなあ。

イワシのブカティーニがいける口なら、きっとシチリア料理と相性抜群ですね。
私はブカティーニも苦手です。

木村

キャビアはしばらく見ないうちにずいぶん種類が増えてました。

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